東京タクシードライバー

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023312609

感想・レビュー・書評

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  • 街ですれ違う名も知らぬ人々は、どんな人生を送っているんだろう。人の暮らしをのぞき見たい性癖が自分にはあって、それはおそらく他人の実在感の欠如の裏返しなのだが、そんな自分にとって、名もなき人の濃密なる人生を描いたこの本はドンピシャだった。
    タクシードライバーをテーマにしたのが良い。底辺にこぼれ落ちた人々、流浪の人という印象があるから。やりがいのあるはずのない仕事で、それを受け入れざるを得ない人生、環境、あるいは性格。そこにこそ、語るべき個性がある。
    成功者の自伝には出てこない、澱、よどみ、吹き溜まり。それが大多数の人生の真相なのだ。
    本書の最後の章が、作者自身の半生を振り返った「長いあとがき」であるのも、そういうことだ。彼自身も、華々しく活躍もできず、かといって隠遁もできず、様々な苦難に耐えながらも都会を行き来する、タクシードライバーの一人なのである。

    文章も格別旨いわけではないが、要所は抑えている。「人生をてづくり」という言葉が良かった。

  • ノンフィクション。人生の悲喜こもごもを味わう。あとがきを読み、余計しみじみする。泣き笑いの多い人生を選択する人って、いるよね。私は、そんな勇気無く、平凡の退屈を読書で埋めてる。でも、平凡を選択しても、それなりに色々とあったりする。
    作者の魂の一冊、私の心にしっかりと届きました。

  • 東京のタクシードライバーさんに聞いた悲喜こもごものルポ集。この手の本が好きなのもあり、本の性質上本文章も平易ですぐ読めた。著者の長いあとがきがこれまた良かった。色々なことが起きるけれど、そして人生は続く。

  • いろんな人生がある。

  • 流れに流れ着いた先がタクシードライバーだった。

    ホームレス一歩手前で踏みとどまり職を得た人。大企業で働き過ぎて燃え尽き、家族との時間を過ごすために辿り着いた人。理由は千差万別なら、来し方もそれぞれが1本のショートフィルムになりそうな業界もそうないのではないだろうか。
    まずこれだけ色んな仕事があるのだということに改めて驚く。
    タクシードライバーという職務上、こんな客がいた、こんな場所に行かされた、などネタは語るほどあるだろうが、ドライバーに辿り着くまでにもこれだけのドラマがあるとは。

    また著者がライターとして働き過ぎた経緯を綴った「長いあとがき」で、この本が生まれた理由も納得。ただのインタビュー集ではない、人間の生き様を耽溺。

  • タクシー業界に生きる人の声を集めたエッセイ集。様々な人生の追い立ちを持つ人々のリアルな声が聞こえる内容です。そこは、小説よりもっとリアルな現実の話が。

  • 面白かった。人生いろいろた。今度タクシーに乗る時は後ろから観察してみよう。

著者プロフィール

ノンフィクション作家

「2019年 『パラアスリート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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