- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023316287
感想・レビュー・書評
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日銀法改正による独立性を高めた日銀の20年
9803速水優ー0303福井俊彦ー0804白川方明ー1303黒田東彦
橋本ー小渕ー森ー小泉ー安倍ー福田ー麻生ー鳩山ー菅直人ー野田ー安部晋三
政治からの完全独立はあり得ないが、政治との駆け引きはむしろ大きくなった
日銀の政策に的を絞った経済金融史は中々ない 記憶にないので有益だった
頭の整理に成ったと同時に、金融政策は変わり映えしない、という感想
「デフレからの脱却」に挑戦し、金融政策の安定性とのバランスに苦心し
行きつ戻りつした20年
我々国民には何を成したのか、という徒労感がある
人口減少・生産年齢人口の急減という基本構造には抗えないのか
従来型と違う道はないのか
貯蓄超過で財政ファイナンスができるうちは従来路線を継続する
しかしそれには持続性が担保されているのか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1997年の日銀法改正から現在(執筆されたのが2017年)までの日銀の独立性を巡る政治的な相克を描いた好著。全七章で構成されており、前半の第四章までが速水日銀から白川日銀まで、後半は黒田日銀誕生から現在までの状況が書かれている。徹頭徹尾、ジャーナリスト的な目線で日銀を巡る人間模様が描かれており、最近出た岩田規久男『日銀日記』の補助教材として使えるだろう。筆者の金融政策の理解が怪しいところもあり、理論的な話を知りたいのなら他に本を読んだ方が良い。
色々と知られざるエピソードが豊富。白川芳郎と麻生太郎が同じ福岡県出身で、古くからの知人であり、麻生は白川に対して同情的だったとか、本田悦郎と安倍晋三が三十年来の友人であることとか、岩田規久男が定年後に海外に移住する予定だったとか、色々と初めて知る事が書かれていた。「誰それが誰々と会った」、「誰それが誰々と友人だった」とエピソードの羅列で理論的な事は書かれていないので、かつて『人民元の興亡』でこんな書評をしていた山形浩生氏が読んだら、”日銀をネタにした単なるゴシップ本”だと斬り捨てるだろう。
https://cruel.hatenablog.com/entry/2017/09/13/193400
筆者は中立的な視線で書いたと言っているが、少しだけリフレ派寄りの視点で描かれている。自分はかなりのゴシップ好きなので楽しく読んだ。改めて、日銀と政治を巡る歴史について知りたい人にはいい本だろう。
評点 8.5点 / 10点 -
自分がまだ経済のことに興味がなかった時代に政治と日銀がいかにデフレに対峙したか、その一端を知ることができる。エンターテイメントとしても楽しめる本。