- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784033130903
感想・レビュー・書評
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あらいぐまのリトルラクーンはお母さんに頼まれて
小川にざりがにを取りに行くことになりました。
リトルラクーンが歩いていくとハリネズミに会いました。
ハリネズミは「気をつけていくんだぞ。
君にはぼくのような針はないんだから」と言いました。
次にスカンクに会いました。
スカンクには「君はぼくみたいにすごいにおいは出せないんだぞ」と言われました。
そしたら今度はうさぎに会いました。
うさぎに小川には怖いあいつがいることを教えてもらったけど
平気だと思いました。
でも、小川に着いて小川をそーっとのぞくと・・・いましたいました、あいつが。
はじめてのおつかいを描いています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小さいけれどとても勇敢なあらいぐまのリトルラクーン。
ある日お母さんに小川でザリガニを捕って来るよう頼まれます。
でも、小川にはこわーい“あいつ”がいるんです。
リトルラクーンがどうやって“あいつ”がいる小川を渡ったのか?
とってもかわいいお話です。
今、一人で2階に行くのを怖がる息子(1年)とリトルラクーンがちょっぴり重なってしまう私です。 -
ひとりでいけるからいいなと思った。
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あらいぐまのリトル・ラクーンが、初めてのおつかいに挑戦です。
ある満月の夜、リトル・ラクーンはお母さんから「夕ご飯のざりがにを獲ってきて」と頼まれるのです。小さくても勇敢なリトル・ラクーンは「うん、いいよ」と二つ返事で引き受けます。ザリガニが沢山獲れるのは、まず、小川が広がった浅い淵まで行き、そこにかかる丸木橋を渡った向こう岸。お母さんが食べたことのないような、美味しいザリガニを獲ってこようと、リトル・ラクーンは、はりきって出かけるのでした。
生まれて初めての、一人っきりでのお出かけです。知らず知らず、心がウキウキするのでしょう。
ちょっと あるいて ちょっと はしって ときどき スキップしています。
ざりがに獲りに向かう途中、リトル・ラクーンは、最初にヤマアラシおじさんに、そして二番目には大スカンクに出会います。ヤマアラシおじさんも大スカンクも、小さなあらいぐまの子供が、たった一人で夜道を歩いているのを見てビックリしています。二人とも、リトル・ラクーンの行き先を尋ねます。
「たった ひとりで どこへ いくんだね?」
「おがわだよ。ゆうごはんの ざりがにを とりに」
リトル・ラクーンがそう答えると、ヤマアラシおじさんも大スカンクも彼を案じて忠告するのです。お前は自分たちのように、針もなければ、すごい臭いを出すことだって出来ないのだから、気をつけて行くんだよ、と。
「ぼく、こわくなんか ないや」
リトル・ラクーンは月光を頼りに歩いていきます。
小川の近くまで来ると、そこには、でぶちんウサギがいました。でぶちんウサギもリトル・ラクーンの一人歩きを見て驚きます。けれども今までと違っていたのは、でぶちんウサギが、彼を不安にさせる反応を示したことなのでした。
リトル・ラクーンが小川の向こう岸まで行くことを、得意になって話したところ、でぶちんウサギは、
「きみ、こわくないのかい?」と問うたのです。
「こわいって、なにが?」
「水の なかの あいつだよ。 ぼくは こわい」
水の中のあいつって、一体なんでしょう? 人間の子供達なら、ちょっと想像すれば答えはすぐに分かるのですが、リトル・ラクーンのような小さいあらいぐまには、それはまだ未知のものなのでした。
リトル・ラクーンは小川に着きました。そこには丸木橋がかかっていて、彼はそこを渡ろうとするのですが…。でぶちんウサギの言葉が気にかかっていたリトル・ラクーンは、ついつい川面を覗きこんでしまったのでした。
いる! ほんとに なにかが いる!
リトル・ラクーンは怖がっているのを気取られたくなくて、水の中のあいつに向かい、しかめっ面をしてやったのですが、あいつも意地悪い顔でしかめっ面を返してきたのです。リトル・ラクーンは堪らず引き返してしまいます。そして彼は、大スカンクやヤマアラシおじさんに対抗策を考えてもらうのです。大スカンクは「石を持って行け」とアドバイスします。ヤマアラシおじさんは「棒を持って行け」と教えます。リトル・ラクーンは、彼らの言うとおりに石や棒切れを持って淵に向かいますが、水の中のあいつも石や棒でリトル・ラクーンを威嚇してくるのです。
怖い。もう無理。頑張れません。リトル・ラクーンは一目散に、お母さんのもとまで逃げ帰ってくるのでした。
事情を聞いたお母さんは、もう一度小川まで行って来るようにと、リトル・ラクーンを諭します。加えて、お母さんのアドバイスは、大スカンクやヤマアラシおじさんのものとは違っていました。
「こんどは みずの なかの ものに むかって、にっこり わらうだけに するの」
「それだけで いいの?」リトル・ラクーンは聞きました。
「ほんとに?」
「ええ いいの。ほんとよ」
リトル・ラクーンは、勇気をふるって再び小川の淵に行きました。そして、そうっと水面を覗き込み、水の中のあいつに向かって、にっこり笑いかけてみたところ…、
あっ、あいつも わらった。
「あいつ、なかよく したいんだな」そんな独り言まで出てきます。
すっかり恐怖心の消えたリトル・ラクーンは、無事に橋を渡り終え、丸々と肥ったざりがにを沢山かついで、意気揚々と家路につくことが出来たのでした。
自分の力で獲ったざりがには本当に美味しそう。リトル・ラクーンの持って帰ったざりがにを、おかあさんが大切そうにじっくり味わいながら頂いている表情が、とても素敵です。
「ぼく、もう いつでも ひとりで ざりがに とりに いけるよ」
「水の なかの あいつだって もう こわくないよ」
「あいつ、ちっとも いじわるじゃないよ」
リトル・ラクーンは、今夜の経験で、少しお兄ちゃんになったようです。
本書『ぼく、ひとりで いけるよ』は、絵本ではありますが文字量が少々多めです。それだけに、ストーリー展開がしっかりとしていて、「可愛い子には旅をさせよ」の親心や、勇気を持つことの大切さ、食べ物を得ることの大変さなど、数々のテーマが明確に伝わってきます。
リトル・ラクーンが遭遇したのは、つまるところ水面に映る自分の影だったわけですが、他者との接し方についての重要な示唆も与えてくれている絵本です。それこそ、他者との付き合い方は鏡の中の自分を見るようなもので、乱暴でぞんざいな態度をとれば、相手も同様の態度で接してくるでしょうし、反対に笑顔で働きかければ、相手からも笑顔が返ってくるものなのです。時にはセオリー通りにいかないこともありますが、リトル・ラクーンの笑顔を、大人になった私たちも心のどこかに覚えておいて損はないはず。小さい彼の、(にまっ)とした可愛い笑顔は、心の緊張をゆるめてくれます。
それから、リトル・ラクーンが「あいつ、ちっとも いじわるじゃないよ」と言った時、お母さんが「ええ、そうよ」と答える箇所があるのですが、これが「ええ、そうね」という単なる相づちでないところにも注目したいのです。「ええ、そうね」だと、あいつが意地悪でないということへの相づちにしかならないのですが、「ええ、そうよ」という少し肯定的な言い回しだと(水の中のあいつは、実はあなたなのだから、当然あなたは意地悪ではないのよ。あなたが頑張り屋さんでいい子だということは、お母さんは、ちゃあんと分かっていますよ)という意思表示になっているような気がします。
こういう風に子供を認め、励ましてあげられる大人に、私もいつかなりたいものです。 -
あらいぐまのリトルラクーンがお母さんにたのまれて、夜、ザリガニを採りに出かけていく。途中、川の中に変なものを見つけて、怖くて逃げ出す。ヤマアラシ、スカンク、ウサギの助言を受けて、にらみつけたり、石を持ったり、ぼうを振りかざしたり...。そんなラクーンにお母さんは「にっこりわらうの」と言う。
このお母さん、とってもいいなぁ。 -
どんなお話かもよく覚えていなくて、ただただ夜、あらいぐまが川にざりがにを取りに行くその風景だけぼんやりと印象にあった。月明かりの感じ、なんだか寂しいような、でも守られているような感じ。なんともいえないその柔らかい暗闇を覚えていた。