どうぶつさいばんライオンのしごと

著者 :
  • 偕成社
4.13
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本棚登録 : 364
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784033313603

作品紹介・あらすじ

タンザニアの草原にたつ一本のイチジクの木。大きなイチジクの木は、ずっとずっとむかしから草原をながめていました。イチジクの木はたくさんのことをしっています。草原はずっとかわらないこともしっています。そのイチジクの木のもとでくり広げられる「どうぶつさいばん」。うったえたのはヌー。うったえられたのはライオン。かずかずの証言、タンザニアの草原、ライオンに罪はあるのか?長年、野生動物の獣医として動物を診続けてきた著者竹田津実と、動物園の飼育係として20年以上、動物と生活を共にしていた画家あべ弘士が、動物たちのあるがままの姿を語る絵本。5歳から。

感想・レビュー・書評

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  • 「キタリス」の竹田津実さんとあべ弘士さんによる絵本。
    フォローしている方に教えて頂き、図書館で借りました、ありがとうございます。

    草食動物の群れを襲うライオンが裁判にかけられる。
    犠牲となった身内が涙ながらに訴えるのだが、しかし、ライオンのしている事は罪なのだろうか?
    と、サバンナの諸動物や読者に考えさせる。

    ライオンが狩をすることで、悪い病気が流行るのを防ぐことができる。
    ライオンが狩をすることで、草食動物が増え過ぎず、食糧である植物がなくなることもない。

    今や、自然界の理から大きく外れてしまった人間の存在は?
    こんなことを言ってはいけないのかもしれないが、定期的に大流行する感染症は、地球が自らバランスを保つために起こることなのではないだろうか?とこの絵本を読みながら考えてしまった。
    2020.7.26

  • そういうことなのかぁと腑に落ちた。
    このどうぶつさいばんシリーズすごいな。

  • 「おおお!そうだったのか!」と、思わず声をあげて、その後はまるで登場する動物たちのように「いいさいばんだった!!」と感心してしまった。

    タイトルを見ると??となるが、お母さんを食べられてしまったヌーの子が、食べたライオンを訴えるという話。
    舞台はタンザニアで、8つの証言があり、その後判決が出る。
    果たしてライオンの罪は・・?
    それらすべてを見守る大きなイチジクの木が、象徴的だ。

    ダイナミックで色鮮やかな挿絵を手がけたあべ弘士さんは、20年以上旭山動物園に勤務し、飼育係としてあらゆる動物たちの世話をしながら絵を描いていたという。
    作者の竹田津実さんは、91年に獣医を退職してからも、傷ついた野生動物たちの保護・治療・リハビリに取り組んでいるということだ。
    つまり、おふたりの長年の経験とその中で培われた考えの結晶のような作品と言えるかもしれない。

    ライオンの罪と言っても、それは弱肉強食の世界だしやむを得ないだろうと、ほとんどの方が考えるだろう。
    それぞれが生き抜くための手段としての、行為だと。
    私もそうだった。だが、これは目がウロコの真実が見えてくる作品なのだ。
    自然の摂理とはこんなにも懐が深いものなのかと、驚かされるだろう。
    そして、かたや人間は、足ることを知らずいかに貪欲に他の動植物の命を奪ってきたことかと、恥じ入ってしまう。
    動物たちに訴えられなければいけないのは、まっさきに私たち人間だろう。
    生きていくことは、食べること。
    でももっともっと「いのち」と「食」に対して謙虚にならなくてはと、心から反省させられる。
    マサイの村の牛の話と、モンゴルの羊飼いの老人の話は、特にドキリとする。

    約10分。4,5歳からでもOKだが、まずは大人が読んでみてね。

  • 食べられたヌーのお母さんの子どもと食べたライオン、そしてそれぞれの証人が裁判でする主張に考えさせられます。

    竹田津実さんの文はやさしく、あべ弘士さんの絵は迫力があります。

    子どもと一緒に読むのがおすすめです。

  • 〝タンザニアの草原にコビエと呼ばれる大きな岩がありました。コビエのいちばん高い処に、一本のイチジクの木が立っています。大きなイチジク木は、ずっとずっと昔から草原を眺めていました。イチジクの木は沢山のことを知っています。そのイチジクの木のもとで「動物裁判」が始まりました。訴えたのは、子どもを食べられた母親のヌー。訴えられたのは、ライオンでした...かずかずの証言がとび出す...果たしてライオンに罪は? 判決は?〟動物たちのあるがままの姿を、獣医さんと飼育員さんが伝えたかった絵本。

  • ライオンが訴えられました
    訴えたのはお母さんを食べられたヌーの子供
    それぞれに弁護士がつき、証人も呼ばれます
    ハイラックスが裁判長
    ライオンが動物を食べることの必要性がわかる絵本
    読み聞かせ時間は10分弱です

  • ライオンはヌーを食べる。
    これは悪いことなのか?
    裁判を動物を通じて身近に触れられる本。

  • ヌーの子どもがライオンを訴えます。
    「お母さんが殺され、食べられた」と。
    ライオンは小さな声で言いました。
    「だって殺してほしい。食べてくれーと、あのヌーが言ったんだもの」

    民事裁判なのかしら。
    ゾウがヌーの弁護士となり、オオカミギツネがライオンの弁護士となります。
    そしてそれぞれに証人も。

    私は「生きていくためには食べなければならないのよ」という論調でライオンの無実が訴えられるのだと思って読んだのですが、そんな単純な話ではありませんでした。

    生きていくこと。生き延びること。生かされること。
    自然の中で生きることの冷徹なまでの命のやり取り。

    “「いいさいばんだった」「いいさいばんだった」と、みんな草原のなかにかえっていきました。”

    “狩りはライオンのしごとでした。しぜんはそのしごとのなかに、もうひとつの役目をかくしていました。”
    その役目とは…。

    いい絵本でした。
    目に見える行動と目には見えない役割。
    読み終わって「ほうっ」とため息が出ました。

    あべ弘士の絵も力強くて良いです。

  • 食物連鎖の重要性が描かれた作品。
    あべ先生の絵が好きで、今回も色味が鮮やかで最高の作品と思いました!!

  • 《図書館》【再読】ライオンは、歩くない。弱肉強食の世界だから。

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著者プロフィール

獣医師,動物写真家


「1992年 『☆新版☆ 北海道の鳥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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