わたしのいもうと (新編・絵本平和のために)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034380505

感想・レビュー・書評

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  • 「わたしをいじめたひとたちは、もうわたしをわすれてしまったでしょうね」

    家族をいじめの末亡くした遺族から受け取った一通の手紙。
    それがこの絵本の始まりだったそうです。

    これは私が生まれた年にできた本。
    初めて読んだのは幼い頃でした。

    小学校でいじめに遭った妹が、やがて部屋に閉じこもり、家族にも心を閉ざす。
    やがて年月が過ぎ、いじめていた子たちは中学生になり、高校生になり。
    そして時間が止まったままの妹は・・・

    よく「自分がされて嫌なことは人にしてはだめ」と怒る人がいます。
    でも自分がされて嫌なことでも、相手にとってはそうではなかったり、
    逆に自分は大丈夫でも相手にとってはとても嫌なことだったりすることがあります。

    自分にとって”ほんの冗談のつもり”、”からかっただけ”が、
    相手にとっては取り返しのつかないほど深い傷を与えているかもしれない。

    まず最初に、目の前の”あなた”のいのちに想いを馳せること。
    1冊の絵本の中に、人として生きる上で大切なメッセージがぎゅっと込められています。

  •  転校してから、いじめは始まった──
     悪口、仲間外れ、無視。4年生の妹はとうとう学校へ行かなくなり、部屋の中で鶴を折って過ごすように……。


     図書館本。
     いじめの話とは知っていたが、淡々とした語り口と、なんとなく予感のあった結末がなんともやりきれない。
     転校は選ばなかったんだなと思ったら、1987年の出版。それよりも前の出来事だろうから、転校という手段に出る家庭もそう多くはなかっただろう。
     悲しいことに、味戸ケイコの寂しくほの暗い絵がこの上なく合っている。

     『作者のことば』に『ほんのいたずらだったのに、加害者はそう思っています。』と書かれているが、松谷さん、甘いですよ。昔とは違う。
     たぶん“いたずら”なんて思ってないでしょ。単なる遊び、いじめられる方が悪い、やられて当然としか思ってないよ……。

  • 実話をもとにしたいじめのお話し。
    わたしをいじめたひとたちはもうわたしをわすれてしまったでしょうね。
    この台詞を聞いてほしくて高学年に読み聞かせをしました。いじめられた子はずっと背負っていくんだよ。傷は薄くなるかもしれないけど決して消えない。
    それを心のどこかに残して置いてほしいなと思います。

    妹さんのご冥福をお祈りします。

  • 「わたしをいじめたひとたちは
    もうわたしを
    わすれてしまったでしょうね――

    新しい町へ引っ越し、新しい学校に通いはじめた小学校4年生の妹は、ふとしたことから、言葉がおかしいと笑われ、とびばこができないといじめられ、クラスの子たちから無視されるようになります。遠足でもひとりぼっち。
    やがて妹は、学校へ行かなくなり、ご飯も食べず、口もきかず、部屋にとじこもるようになり……。

    いじめに傷つき、心を閉ざし、孤独の世界にとじこもっていく小さな妹の背中。ページに書かれた言葉の意味が、心にしみこんでくるはしから、言葉で語ることができない、悲しさ、絶望、切実な願いなどが押し寄せてきます。
    彼女を傷つけ、あざ笑い、ののしった友達は、中学生になり、高校生になっていく。でも、妹の時間は凍りつき、やがて止まってしまう。冒頭の文章は、妹が亡くなった後、残された手紙です。」

  • 悲しい

  • 妹がいじめを受けて弱っていく姿と、いじめた同級生が小・中・高と成長していく姿が姉の視点から描かれていることで、生々しさが表現されている。いじめを受ける側とする側の時間の流れる速度の差を感じてもなお、いじめをしようと考える人はいないと思う。
    (さちこ)

  • 悲しさと悔しさにあふれていて怖かった。いじめで傷つくってこういうことなんだ。いじめということがどれほど恐ろしいことをしているか、この絵本なら伝わるんじゃないかと。

  • 幼児の子供には衝撃が強かったようですが、何も言わず最後まで聞いて静かに本を片付けていました。

  • 「いもうと」の最後の短い手紙
    この文に、全てが集約されています。

    ここには書きませんが
    涙を禁じ得ません。

    残念ながら「いじめ」につながりそうな事象が発生した時に、
    道徳の授業として、この絵本を取り上げます。
    (実践としては色々な形がありますが、私は向山洋一氏の授業追試を行います。)

    前回読み聞かせたのが、2年前。
    もう、そういった意味で、この本が使われないことを願うばかりです。

  • 絵本にしてはとても暗く悲しい話。
    いじめられた事でうつ状態になる妹をずっと見る姉と、あっけなく自殺してしまう妹の結末に悲しく辛くなる話でした。家族で妹で、どうしたら良かったのか、うつ状態にある妹にどう対応したら良かったのか、一緒に考えさせられる話でした。

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著者プロフィール

1926年、東京生まれ。1944年頃より童話を書きはじめ、1956年、信州へ民話の探訪に入り、『龍の子太郎』(講談社)に結実、国際アンデルセン賞優良賞を受ける。以来、民話に魅せられ創作と共に生涯の仕事となる。日本民話の会の設立にかかわり、松谷みよ子民話研究室を主宰。著書に『女川・雄勝の民話』(国土社)『日本の昔話』『日本の伝説』『昔話一二ヶ月』『民話の世界』(共に講談社)『現代民俗考』8巻(立風書房)など。

「1993年 『狐をめぐる世間話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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