つくろいものやはじめます (お江戸あやかし物語)

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035166108

感想・レビュー・書評

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  • 江戸のお屋敷の蔵の中で、長いこと放っておかれた裁縫箱。年をとりすぎた道具の中には、つくも神になるものがある。

    裁縫箱の道具達がつくも神となり、つくろいものやを開く。そこでのお客さんとのお話。

    表紙や挿し絵の着物の柄や江戸の町の様子、色使いが素敵。

    小学校中学年~

  • お江戸の町に「つくろいもの いたします」の看板が。そこは、お裁縫箱の中身があやかしとなり、縫い物とあればなんでも引き受ける店で…?!

    「針供養」を題材にした面白い読み物はないかなぁと、図書館で検索していて見つけたのが本作。「あやかしの店」「お猫さま」「血吸い姫」「針供養」の4つのエピソードから成っており、プロローグからグイグイ物語に引き込まれる。

    こまちねえさん・ちょきち・ぬいばあの主要メンバーは勿論のこと、各エピソードの登場人物がそれぞれに魅力的。章と章との間に箸休め的に紹介されている江戸の暮らしの紹介(長屋・装い・時間・立ち売り)も、読み応えたっぷり。挿絵もふんだんで、ページをめくるのが楽しみになる。

    つくも神が主人公だからこそ、針供養のエピソードが一段と活きてくる。物を大切にする精神が、あったかいおでんのようにストンと落ちていく(どうしておでんなのかは読めば分かる)良質な児童文学。

  • お江戸の町の大きなお屋敷の中に、長いこと放ったらかしになっていた裁縫箱。その中のまち針、ぬい針、糸切りばさみがつくも神となって飛び出した。つくも神たちあやかしは、町で繕い物屋を始めたのだった。

    江戸の町を舞台にした少し不思議な物語。あやかしたちが出てきますので少し怖い要素もありますが、基本は愉快なお話です。
    江戸時代の暮らしや道具や言葉に関しての説明も欄外に記されており、また幕間には江戸の長屋、着物、時間などについての豆知識コーナーもあり、時代もの独特の世界にも入りやすくなっています。
    考えてみればテレビから時代劇が消えたいま、江戸時代の(というよりも時代劇の)お約束的設定や言葉使いに馴染みのない子も多いでしょう。児童書で自然とその世界に触れることで、時代劇文化が継承されていくかも知れません。

    見たことのない軽い木地の着物を持ってきた女の子、猫に取り付いたお侍の敵討ち、血吸い姫の噂、針供養で出会った天狗。石橋富士子さんの挿絵もふんだんに使われており、楽しく読める一冊です。

  • つくも神。つくろいもの屋営んでいるのは、妖たち。猫に魂が宿ったお侍など、可愛いイラストもたくさんあった。

  • 最初はふつうの人間の物語だと思ったけど、 、あやかしたちの物語で、ドキドキしてとても面白かったです。

  • イラストが可愛く、たくさん入っています。

  • 江戸の町を舞台に、ちゃきちゃきした“こまちねえさん”と、いたずらっこの“ちょきち”と、嫌みばかりの“ぬいばあ”のつくもがみ3人?組が、繕い物屋さんをしながら人と出会ったり別れたり…。
    人情味溢れるお話が収録されていました。

    可愛いイラストが満載。
    お江戸の豆知識も満載。

    楽しく読めました。

  • 江戸の大店のお嬢さんが、手習いが休みになったので、お蔵をのぞくと、百年もの間お蔵にしまわれていた道具たちが、つくも神となって外に飛び出していく。お嬢さんが興味を持ったお裁縫道具のつくもが神たち、マチバリ・糸きりハサミ・縫い針…、人間の姿で長屋に住み繕いもの屋を始める。その店に訪れる人たちを助けていく連作短編集。

    畠中恵のつくも神シリーズを意識しているのかな?小学校中学年向きの読みやすいお話。

  •  年をとりすぎた道具のなかには、魂が宿り“つくも神”になるものもある。江戸の町のかたすみにあるつくろいもの屋こまち。そこは、さいほう箱からとびだしたあやかしたちが始めた店。こまちねえさんはまち針、ちょきちは糸切りばさみ、ぬいばあはぬい針。「北へまっすぐぬったなら、こんどはまがって西へゆけ。ちょちょいのちょい」

  • お江戸が舞台のあやかしファンタジー。
    年古りてつくも神となった裁縫道具たちが、つくろいもの屋をいとなむという話。
    絵も文も、書ける人が抜いているタイプの心地よい柔らかさで安心して読める。ほのぼの楽しい。

    メインキャラクターは、きっぷのいいまち針のこまち姐さん、糸きりばさみの小僧ちょきち、てのひらサイズでちくちく嫌味をいいたがる縫い針のぬいばあ。
    この三人のバランスに加えてゲストキャラクターも良い具合。

    話もさることながら、絵がすごくいい。本当は全部カラーで見たい。
    安定したシンプルな線に、落ち着いた色の重ね方がきれい。
    背景に当時の風俗が仕込んであるのも楽しい。
    一度読み終わってから絵を眺めて、これは何屋さんだろう、この花はなんだろう、この小物はなにに使うんだろう、なんて考えてまた楽しめる。

    話と話の間には、江戸の風俗を絵で説明するコーナーがある。
    「江戸の長屋」「江戸の装い」「江戸の時間」「江戸の立ち売り」
    楽しく知識を見せてくれるよい本。


    子供にはむずかしそうな言葉に注釈がついている。国語の教科書みたいに下部を一段あけて説明をいれるタイプ。
    説明の段と本文をわけるラインが縫い目で玉結びもついてる。かわいい。
    ただ説明がちょっと違うときがある。
    「おさむらいさん」弓、剣などの武術にすぐれ、地位の高い人に仕える人。刀を持つことをゆるされていた。p18
    「山伏」山にこもって、きびしい仏教の修行をする人p118
    これは違わないか?


    続編『あやかしの店のお客さま」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4035166200

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