- Amazon.co.jp ・本 (138ページ)
- / ISBN・EAN: 9784035401001
感想・レビュー・書評
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安房直子、今まで短編しか読んだことがなく、嫌いではなかったが、これを読んで「好き!」に変わった。
短編でも感じることだが、安房直子のファンタジーには幻想的で暗い部分があり、その暗さは人間の本質を見つめる目からきているのだが、この作品からはさらに「寂寥」を感じた。
母に去られた娘の気持ちをつまびらかに描き込んだりはしないが、いかに主人公が内面に孤独を抱えているかが、読み手に伝わってくる。
父にも祖母にも愛されているが、それで埋められるさびしさではない。
山姥の娘という設定は他の作家も使っており、誰が最初に考えだしたのかは知らない。
しかし、富安陽子の登場人物のように、超人的な能力を自在に操って冒険をしたりはしない。この主人公には自分の能力に対する「畏れ」があるから。
父の再婚を受け入れる娘の微妙な心理を描く最後の朴の木の話が特に素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4年教科書掲載本
「やまんば」というとおばあさんのイメージだったのがくつがえされた。
やまんばと人間の間に生まれた女の子、小夜のお話。
温泉が好きなので、「紅葉の頃」が一番気に入ったけど、他もやさしい文体ですんなり物語の世界に入り込めた。
忙しかったり嫌なことがあっても、これを読んだらみんな、やさしくあたたかい気持ちになれるんじゃないかな。 -
設定がとても面白かった! それだけでも嬉しいのに、優しい文体がクセになります。
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小夜のお母さんはやまんばの娘。お父さんと結婚しますがある日風になって帰らず、それきり。山で旅館を営むお父さん、おばあちゃんと暮らす小夜に起きる出来事を描いた連作童話。様々な体験の中で小夜は自分の中に母親の血を感じるのですが、果たして母親ややまんばに会えるのでしょうか。残酷で切ない、しかし同時にあたたかな幸せに包まれる結末。安房さんは子供だからといってはぐらかさないところがすごい。
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ハーフだからいつも境目でふわふわしておるのだな。
でも最終的にふつうの子になっちゃうのか。 -
なじ■
「山の子」小夜の、優しく、綺麗で、悲しい物語。
情景描写の豊かさにうっとりし、
小夜の心根の可愛らしさに気持ちが現れるようでした。
ラストがどうしようもなく切なかった… -
[ 内容 ]
山のふもとの旅館の娘小夜は山んばの娘。
毎日のように深い山の中を歩き、山の精とあそぶ。
[ 目次 ]
花豆の煮えるまで
風になって
湯の花
紅葉の頃
小夜と鬼の子
大きな朴の木
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]