闇の守り人 (偕成社ワンダーランド)

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 1811
感想 : 193
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035402107

作品紹介・あらすじ

女用心棒のバルサは久しぶりに生まれ故郷のカンバル王国にもどる。幼い日、カンバル王に父を殺されたバルサは父の親友ジグロに助けられ、生まれ故郷をあとにしたのだった。しかし、ジグロはそのため汚名を着ることになった。バルサはジグロの汚名を命がけで晴らそうとする。野間児童文学賞、産経児童文化賞受賞の『精霊の守り人』の姉妹編。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ第2弾。バルサは自分の故郷であるカンバル王国に戻る。そこでは、バルサの育ての親・ジグロは裏切り者の汚名を着せられていた。バルサの父を殺したログサム王はすでに亡くなっているものの、権力が王とユグロ(ジグロの弟)に集中する状態になっており、ユグロはバルサを排除しようとする。
    ラストは胸熱でした。
    このお話も、山の王やヒョウル(闇の守り人)など、普段人間が暮らしている世界と異なる世界がでてきます。神様とか仏様とか、目に見えないけど私たちを守ってくれている存在を思わずにいられませんでした。

  • バルサとジグロのやりまいが、すごく印象に残った。難しくて、つらそうだけど、きれいで、楽しそうでもある。とにかくすごい。ユグロだったら、隠している悪い性格がにじみ出て、悪い計画もばれて、殺されていたと思う。
    一番好きなのは、カッサ。自分の命が危なくても、村のためにがんばるところがすごいと思った。いじめられるタイプの子なのに、勇かんで優しくて、約束も守れるし、一番に村のことを考えている。ぼくにはできないような気がするけど、そんなふうになりたいなと思う。牧童たちも、優しくて好き。(小6)

  • 再読。
    精霊の守り人ではヨゴ国の王子チャグムを守った用心棒のバルサが母国カンバルに戻り、養父で恩人のジグロのために、再び最善を尽くす。
    何のために先へ進み、槍をふるい、戦うのか。失われた時間を悔やんでも仕方がないと分かっていても浮かぶ怒り。
    バルサに共感したく、バルサに共感してもらいたくて、手に取った一冊。
    彼女のように、強く、優しく生きられたらと思います。
    素敵な物語を描いてくれる上橋菜穂子さんに感謝。

  • 『精霊の守り人』がおもしろかったので、読んだ。

    守り人シリーズ第2作。
    「女用心棒のバルサは久しぶりに生まれ故郷のカンバル王国にもどる。幼い日、カンバル王に父を殺されたバルサは父の親友ジグロに助けられ、生まれ故郷をあとにしたのだった。しかし、ジグロはそのため汚名を着ることになった。バルサはジグロの汚名を命がけで晴らそうとする。」
    (カバーそでより)

    ぎゅっ、としてました。
    目次の次、見開き2ページの登場人物紹介・用語集に圧倒された。
    でも大丈夫。
    作中に久しぶりに出てきたカンバル語には()書きで日本語訳が付されていたりと、親切だ。
    第一章の2「ルイシャ〈青光石〉」からとたんにおもしろくなってくる。
    あのどきどき、はじまるよ!という感じ、たまらない。
    地図があり、カンバル用語があり、独特の料理と民俗がある、ファンタジーの世界はゆたかだ!
    牧童、ティティ・ラン〈オコジョを駆る狩人〉など、人間以外の存在をきちんと認めているのがいい。
    本当は、この私たちの世界にだって、動物も植物もいるのに、私たちは自分たちがいちばんだと思っている。
    私がヒョウル〈闇の守り人〉の正体に気づいたのは最後のほうだった。
    ジグロにもバルサへの憎しみがあった、というのが、自然でよかった。
    感情はそんなに簡単にわりきれるものではないからだ。
    バルサが助けたのは、カッサで何人目だろう。
    バルサも過去に向き合うことができたし、タンダのいる炉端へ帰れる。
    帰れる場所があるのは、幸せなこと。

  • 小五で読んだ。
    衝撃だった。
    生きることは美しいだけじゃないって
    ちゃんと言ってくれた
    大人は夢や希望ばかり語る

  • 「精霊の守り人」を読んだのが9年前。
    常に貸出し中で、予約なんて制度も知らず、当時は学生でお金もなく買えず、半ば忘れ去られついに今まで読まずにきました。
    先日図書館に行った際に全巻揃っていて感動。思えば、もう出版から10年も経ってるんですね。それでも魅力は全く色褪せません。
    「精霊の守り人」も再読した上で、わくわくしながら読みました。

    上橋さんの描く世界観がすごく好きです。
    大人になってから出会った「獣の奏者」は外伝まですべて買い揃えたほど。
    今回は舞台がカンバルです。バルサがとうとう過去と、自分としっかり向き合います。同じシリーズでありながらヨゴ国とはまた違った世界が描かれているのが印象的です。
    「小さな狩人」や「闇の守り人」などファンタジー要素も盛りだくさんですが、子どもだけじゃなくて大人も楽しめる深さもありました。
    もう1つの世界を感じられたら、世界はまるで違って見えるんでしょうね。
    ラストではその世界の広がりを感じられて、まるで目の前がすっと開けたような温かく泣きそうな気持ちになりました。

    「闇の守り人」の正体にも、「最後の扉」の意味にも、深い余韻が残りました。
    改めて、なんて素敵な世界を描くんだろうと思わされます。
    これだけファンタジーでいながら、きれいごとで終わらず人間の非情さ、ずるさ、醜さも描き出しているのがいいですよね。それが悪役的王様一人に留まらず、誰もが負の感情を持ちうることを主人公クラスの人間で示しているのもいい。

    読み終わりたくない素敵なシリーズをこれからも読むことができて幸せです。残り6冊。大事に読みたいと思います。

  • 1作目で意表を突かれたため、2作目を読了。
    事前知識なしに読み始めたので、まさかファンタジー系だとは思わなかった。

    流石に2作目になると、「あぁこんな感じだったな」と安定して読めた。ただ最初の頃の驚きが薄れてしまったので、若干期待しすぎてた点も。

  • 2作品目
    本から目が離れないぐらい物語に夢中になる。
    バルサとジグロの親子愛に感動した。

  •  自分の生まれ故郷に帰ったバルサを待っていたのは、自分の名声や権力の為には、なんでも出来てしまう、叔父だった。
     その叔父からすべてのものを守る為に力を尽くすバルサには、様々な協力者が現れてくる。
     あまりのも無慈悲な状況に悲しくなってしまう場面もあったけど、それだからこそ大人が読んでも面白いファンタジーなんだって、実感しました。
     最後に、「山の王」と「ルイシャ(青光石)」「闇の守り人」の秘密がわかった時には、ほのぼのとした気持ちになりました。
     

  • 前に読んだ時はタンダもチャグムもいない物語に物足りなさも感じていたけれど、ちゃんと読んでみるとそう感じた自分は子供だったんだなと思う。陰謀に巻き込まれ穢され歪められたヒョウル〈闇の守り人〉の想いが槍舞いで浄化されていく。やり場のない怒りについでわき起こる悲しみの表現はじつに巧みでクライマックスは引きずりこまれる。バルサが前に進むためにも、ジグロや歪められてしまった多くの王の槍たちの弔いのためにも必要な物語だと強く思います。すべてが終わった時、バルサがタンダのいる場所を帰る場所と思っていた事がすごく嬉しい。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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