神の守り人<帰還編> (偕成社ワンダーランド(29))

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035402909

作品紹介・あらすじ

アスラは自らの力にめざめ、サーダ・タルハマヤ"神とひとつになりし者"としておそろしい力を発揮しはじめる。それは、人の子としてのアスラの崩壊を意味していた…はたして、バルサたちはアスラを救うことができるのだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 「来訪編」も「帰還編」も、おもしろくて一気に読んだ。
    一番印象に残っているのは、アスラがイアヌを助けようとしたところ。アスラにタルハマヤを招くわなみたいなものだから、ドキドキした。それから、バルサたちがみんなで助けようとしたから、みんなが死んじゃうんじゃないかと思って、またドキドキした。アスラが、タルハマヤと戦ったのはすごかった。元にもどりたい、人を殺したくないという気持ちが、すごく強かったんだろうな。すごくがんばったと思う。
    もし、自分がアスラだったら、がんばれるかわからない。自分のお母さんが殺されちゃったとしたら、がまんできないかもしれない。でも、トリーシアは、自分のむすめにタルハマヤを宿すというのは、ひどい。アスラの意識が戻って、チキサと楽しく暮らしてほしい。
    今回は、スファルが好きだった。優しい。シハナはスファルを殺せるかもしれないけど、スファルはできそうにない。そういうところが好き。(小6)

  • 人は物事の片側からしか観ず、あらゆることを判断しているか、そのことがどれだけ危うさを含んでいるかということをテーマにしてた物語だったと思う。

  • 2020.05.05

    大きな物語は、必ず誰かを犠牲にして成立する
    為政者の思惑か
    弱者の言い分は決して後世には残らない
    極端に見えるものいいも、虐げられた歴史を見返せば、反論することは難しい

    人と人とのつながりは、あたたかなだけではすまされない
    自分が得ている日常や幸せは、誰かの不幸を踏み台にしたものなのかもしれない

    大きな物語のなんとそら恐ろしく、ざわざわと鳥肌の立つ感じがすることか
    宗教の、信ずるものの見方の違いで、こうも悲劇は起こるのか…だから、宗教という漠然とした存在に触れるのに二の足を踏む

    答えは出ない
    知っているつもり、仕組みをわかっているつもりでも繰り返される、血なまぐさい出来事
    無力…こんなに心がざわざわしたまま本を読み終えるとは

  • 人の裏切りや欲望に揉まれて我が道を捻じ曲げられていくアスラ。その中で、最後の最後まで信じ切ったバルサとチキサやタンダ。彼らたちのおかげで、あの最初の事件のように我を失わなかった。彼女にとって大事な人が誰なのか、誰を信じなければいけないのかが分かったのではないだろうか。

  •  予想とは全く違った結末になりましたが、良かったです。
    アスラの近くに人間味のある暖かい人達が居た事や、彼女自体がまだ12歳という純真な年齢だったのが幸いしたと思います。
     でも、人間の醜さや神の欲望等に身をゆだねることなく、自分を殺してでも、なつかしい人々を守りたいという気持ちが勝ったのが素晴らしかった。
     姿を消したシハナはきっとこれからの守り人シリーズにきっと再登場してくる気がします。
     どんどん世界が広がっていく「守り人シリーズ」やっぱり最後まで読みたくなりました。

  • 女用心棒バルサシリーズ。
    バルサとタンダがやっと会えてよかった。
    今回はバルサが何度も何度も危機に陥ります。
    その度に驚異的な体力と精神力で少女アスラを救おうとします。

  • 心優しい少女でも邪神に取り憑かれると我を忘れて凶暴化する様子に恐怖を感じた。
    特にラストのシーンのアスラの恐ろしさには身震いした。
    次巻「蒼路の旅人」がとても楽しみ。

  • バルサは不死身だなあーとつくづくかんじた。 大分心配したけど、タンダの献身的な介抱が良かったのだろう。 アスラが可哀想な終わりになった。

  • 「狼殺し」
    命の危機を感じた瞬間には。
    自分がやった事に恐怖心を抱いているなら兎も角、高揚感を感じているのは危険極まりないのではないだろうか。
    人柄のせいという場合が多いのだろうが、彼も命の危機を何度も味わっている苦労人だよな。

    「罠」
    出会った時から始まってた。
    偶然出会ったのか必然的に出会ったのか分からないが、寸前まで罠に気付かないほどとは中々に用意周到だよな。
    本当の話と嘘の物語を程よく混ぜるて語ると、全てが事実だと思い込んでしまうらだろうな。

    「サーダ・タルハマヤ〈神とひとつになりし者〉」
    目覚めさせる為に仕組んだ。
    幼い子供を相手にするのなら、下手な大人を陥れるよりも簡単に掌の上で操る事が出来るだろうから楽だったろ。
    記憶の中に残っていたからこそ抵抗したのだろうが、何もなければ一瞬で終わっただろうな。

    「サラユの咲く野辺で」
    魂は奥深くに眠ってしまい。
    これまでやってきた事を受け入れれるには幼すぎるだろうが、目覚める為には全てと向き合うしかないだろう。
    苦しみを味あわせたくない気持ちはあるだろうが、眠っている間にすることではないだろう。

  • クライマックスがこの本である。最後はそれほどひっぱられなくて終わったが、アスラが目覚めないことで終わっているので、ハッピーエンドではないと感じられるであろう。

  • ファンタジー好きの私としては少し物足りなかった。描写はうすいし、完全ファンタジーじゃなくてちょっと政治とか入るし、主人公は30代だし、若い子向けというよりは大人向け?でも分厚い割に文字数少ない?のかさくさく読めたし、シンプルな言葉遣いで分かりやすい。全巻はキツいけど読んで面白かったと思えた作品。おすすめするなら40代50代女性かなぁと私は勝手に思いました。

  • 【読了メモ】今までの話も重たかったが、神の守り人は本当に重たい…。

  • 文庫を読んだ時にも思ったけれど、本当に皆よく頑張った!特にアスラ!!(ToT)チャグムもアスラもバルサとの出会いがなければ、どうなっていたんだろう?(>_<)

  • 神を持っている人が、神を封じ込めていたので面白かったです。

  • なぜこれほどリアルさを感じられるのかいつも感服する作品です(^^)

  • 守り人シリーズもずいぶん進んできて、今回は新ヨゴ皇国の西隣のロタ王国のお話。そして初めての上下巻。
    今回は古い血に飢えた恐ろしい神を召喚する能力をもった少女と王国の人々の話。
    いつもながらバルサはまっすぐに人の命、特に弱いものの生命を守りに飛び込んでいってしまう。それは優しいタンダも同じなんだけど、バルサにはもう少し、複雑なものがあるのかも、と今回初めて思った(上橋さんが匂わせているのだから、思ったというより、「思わされた」のかもしれないけど)。バルサは今も、常に、自分が奪った生命の贖いを無意識にしようとしているように思える。そして自分の生命をとても軽く……思ってるわけじゃない、バルサは人一倍精一杯生きてるんだけど、でもどこかとても深いところで軽く扱ってしまっているように。
    いつか、アスラが目覚めるかもしれないように、いつか、バルサも心の底から、血にまみれた自分を許せる時が来るんだろうか……。 生きることの業の深さ、のようなものを思った。

  • バルサ、無敵すぎる。

  • シハナが描く緻密な謀略、
    翻弄されるアスラとチキサ。
    シハナ側だと思っていたスファルの意外な動き、そしてクライマックスに向けた大きなうねり…

    これまでのシリーズの中でも屈指の壮大さであり、よく練られた話なのだがなぜかいまいちのめりこめなかった。

  • 意外に重い結末だった。
    「目ざめなよ、アスラ。生きるほうが、つらいかもしれないけれど」と最後にバルサがアスラにかける言葉は、とても現実的で厳しいものだけど、どこまでも優しく響きました。

  • まだまだ続く、物語のとじかたでした

    バルサは、アスラを通して幼かった自分を
    どうにかしてあげたかったのかな
    きっかけの小さな一つだろうけども

    どんな人間でも生きている
    それに気づいた少女は尊い

  • 歴史小説などで戦略が上手くいくのは壮観だけど、小さな子供を思惑通りに動かそうとするのは怖い事だと思いました。

  • 相変わらずバルサはかっこいい。

  • 大き過ぎる力を手にして、いい塩梅で使いこなすのは難しいね(・_・; バルサとタンダ、よその子のために駆けずり回ってもう家族じゃない!

  • テレビドラマに合わせて再読。ほぼ原作通りにドラマ化されてたのでちょっと びっくり。10年以上まえに読んだので内容はすっかり忘れていた自分にもびっくり。

  • 再読

  • Those books are worth a second reading.
    Each of her words hit me.
    Since I was dying to know the thread of the story last time since, I looked over the papers.

  • 再読。
    守り人シリーズで一番苦手というか読むのが辛い話。バルサはチャグムと違って国を背負ってないから、そこに国家というものがからんでくると息苦しさを感じてしまう。
    アスラは12歳。あれだけの苛酷な体験をして意識を閉じ込めてしまった結びはとても悲しいものがあった。もう少し明るい未来が予言される結末がよかった。

  • アスラの運命やいかに…
    ずっと図書館で借り続けていましたが
    ドラマも始まり、もう一度「精霊の守り人」から読み返したいのと、早く続編を読みたいのとで、ついに軽装版12巻セットを購入してしまったというぐらい、すっかり「守り人」シリーズにはまっています。

  • ちょうどロタの国王はチャグムも呼ばれたサンガル王国の式典のために不在。王弟が代わりに式典を仕切ることに。
    その式典でうごめく陰謀は、小さな少女とその兄を翻弄。それに巻き込まれたバルサとタンダも傷だらけに。
    ロタで動く敵味方それぞれ入り乱れて混乱に陥りますが、それを計画した張本人はどうやら逃げ切った模様。いずれまた禍根を持って現れるのかもしれません。
    恐ろしき神をその身に受ける少女は、最後の最後で人としての一線を守り切り、自らの手で封印。
    それにはやはりバルサの言葉や旅の途中で会った人々が思いとどまらせたのだと思うと、いかにして人と関わるか、良縁が大切なのだとわかります。
    人生は、甘い言葉ばかりではなく、辛い言葉も真摯に向けてくれる人もいるのです。自分がそれを受け入れる度量があるかどうか。
    私はバルサの生死を背にした信念、生き方がやはり好きです。

  • よくしたい、よくしたいという気持ちはあるときには負の原動力にもなってしまう。
    自分が完璧だなんて、なんで思ってしまうのだろう、自分が正しいことなんてほとんどないはずなのに。正しいと思い込んでいるだけ

    ルールを守らない人ってなんでいるんだろうって自分もそういう人を許せない気持ちになってしまうけど、
    そういう人たちがいること、なんでそうなってしまうのか考えること、自分の行いでその人が、というよりその置かれている環境がよくなることを考えてることが大事なのかも。

    身近なことでも、国際問題でも。
    なんか、いろいろと考える神の守り人だったな〜
    続きが楽しみ。もう少しで読み終わってしまうのも寂しい!

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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