ニルスのふしぎな旅〈4〉[全訳版] (偕成社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036510603

感想・レビュー・書評

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  • 0709読了。
    あっという間に最後まで読んでしまった!

    【ヴェステルボッテンとラプランド】
    アニメではラプランドが夢の都のように描かれているけどそうではないのが面白い。
    イヌワシのゴルゴに連れられついにニルスはラプランドでガンのアッカやモルテンと合流した。
    きつねの〈ずる〉がスカンセンにいたけどニルスが脱出の知恵を教えたことがおまけのように書かれているけど、ちゃんと脇役にも配慮があってよい(笑)。

    【ガチョウ番のオーサとマッツ】
    ニルスが人間の頃からの知り合いで、カラスの話で空き家の主として出てきて、また湖の氷を渡るところでも木靴を拾ってくれるのでちらちらと本編に出てくるけれども、彼らの物語がここで完結するまで描かれているとは!
    同時流行していた?結核の話、家族をたくさん失い子どもだけになり…離ればなれになった父を探しに行き、そして最後にはたったひとり生き残ったオーサと父が出会う。
    ラップ人という先住民?の話や関わりがでてきてそれも面白い。

    【イェムトランドの伝説】
    3巻くらいからニルスには伝説が多くなる。スウェーデンの伝説は巨人ばかりだ。臼を引いたり、帽子をおいたり、岩を投げたりすると山や豊かな土地ができる。川や滝の出で立ちも同じように巨人の所作でできる。
    すごく民話が残っていて素敵だなぁと思う。

    【小さな屋敷】
    南にすすむガンの一行と合流したニルスがある晩フクロウに襲われそうになる。
    その時登場したのがこの物語の作者!というふしぎな展開。

    【大きな屋敷】
    勉強だけでなく手仕事もきちんと出来、人生に豊かさと喜びをもたらすためのカリキュラム、それを実施する教員たちの養成所「手工講習会」についての話。
    訳注で、香川氏(父)がニルスの物語にそってスウェーデンを巡った際に、この講習会で日本人の名簿を確認し、しかもそれが香川氏の恩師であったというところにすごく驚いた!

    【ガンの群れとの別れ】
    ニルスは最後まで友に誠実にいたことでもとの人間の姿へ戻れた。
    見違えるように立派になったニルスは最後に人間の姿でアッカたちへの別れを伝える。
    もう言葉が通じなくなってしまい、お互い悲しみのうちに別れるのが切ない。
    最後、ニルスが“また〈親指〉になって、陸や海の上をガンの群れといっしょに飛んでいきたい”というエンディングが最高だった。

    最後に:
    訳者の香川父子が2代に渡る翻訳をしたことにちょっと感動した。
    また全訳をされたのがアニメのオンエア後だったのか?と思うと、アニメ制作はどのようにされていたのだろう(一から訳して脚本を?)などいろいろ思いを馳せた。

    終わってしまうのが惜しいくらい満足でした!
    ありがとうニルス!

  • (後で書きます)

  • ひたすら長かった。

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

  • ニルスとモルテンの旅も最終巻です。ラップランドでガンの群れと合流できたニルスは、スコーネへと戻っていきます。

    ガチョウ番の姉弟、オーサとマッツの物語が印象的です。ふたりは作品を通じてあちこちで登場するので、「ガチョウ番とはそういう仕事?」と瞬間思ってしまうのですが、ある理由からほんとうにふたりだけで生きていかなければならなくなった(このへんはアニメでは描かれない)ことが明かされます。そのうえ、さらに悲しいできごとがふりかかってきます。これが本当に切ないというか、やりきれないというか…それでもがんばるお姉さんのオーサの毅然とした態度に「がんばれ!」とそっと声援を送ってしまいます。

    いよいよ故郷のスコーネに帰ってくるニルスに、ガンのアッカは「立派なお屋敷で仕事をしたとご両親に言えるように」とあるものを贈ろうとする50章が切ないです。ニルスと距離を取ろうとして、アッカの台詞がどんどん丁寧というか、他人行儀になっていくんですよね…。でも誇り高く、温かい態度が素晴らしいです。あることをしてニルスが人間に戻るラストは、人間のニルスとしてはハッピーエンドかもしれませんが、小人のニルスとしてはどうなんだろう…と当時からしんみり哀しくなったものでした。

    スウェーデンの自然と人間(と伝説)、生き物の営みが真摯に描かれており、知人もいないので一生行く機会もないのではないかという土地を旅する機会を得たように思いました。ありがとうございました!ということでこの☆の数です。この作品にはこの香川鉄蔵・節さん訳のほかに、井伏鱒二さんの訳(岩波書店刊だったと思いますが未完)もあり、こちらも手元において楽しんでいました。思い出の本です。

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