宇宙戦争 (偕成社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036525409

感想・レビュー・書評

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  • 後にアメリカでラジオドラマとして放送されたが、あまりのリアリティに多くのパニック者を出した「宇宙人来襲」の原作。

    H31年大河ドラマ「いだてん」に出てくる天狗倶楽部が活躍するSF「火星人の逆襲」を読んでみようと思った。これは「宇宙戦争」でイギリスを攻撃した火星人が、13年後に日本を襲ったという物だそうだ。ではまずは元ネタの『宇宙戦争』を。
    なお、大河ドラマの天狗倶楽部皆様はこちら。
    https://www.nhk.or.jp/idaten/r/cast/index01-13.html


    ***
    火星に謎の爆発が確認された。
    その数日後にイギリスの郊外に隕石が落ちる。
    人々は隕石孔を覗きに行ったが、突如熱線攻撃にさらされる。
    それは、火星人が人間を喰うために地球に仕掛けた攻撃の始まりだった…。

    記載は、「記録者である“私”は、火星人が設置した基地の足元に隠れていたため、火星人の生態を身近に見ていた。すべてが終わった今これを記す」としているので案外淡々としています。
    火星人はいわゆるタコ型で、大きな頭に触手がうねうねしている。(表紙挿絵参照)
    重力の違いにより地球では動きが鈍くなるので、その代りに攻撃ロボット、飛行ロボット、作業ロボットを扱う。ロボットはいずれも大きな頭にうねうね触手。
    地球攻撃の目的は人間の血を吸い取り、自分たちに注射することにより食料とすること。
    熱線攻撃により建物を壊し人を焼き殺し、巨大な攻撃ロボットと念密な作業ロボットにより次々攻撃基地を作ってゆく。
    いままで地球最強だった人類は、火星人の前では蟻んこ以下の存在で戦いにすらならない。

    語り手は火星人攻撃から逃れることができたがその時に出会った人々との不信や不和も書きます。
    共に火星人から隠れた男は極限下にも関わらず泣き言と無計画を晒し、語り手は彼の死に関わる。そして火星人支配下での反撃を計画する兵士には誇大妄想的な不信を覚えます。

    結局、思わぬ弱点により火星人が倒れ去ってゆき人類は火星人からの支配を免れます。

    イギリスに火星人が来襲というSFではありますが、書かれた1989年は、米西戦争が起こり、ドイツと清が調印したり、世界情勢も不安定で、そのためイギリスにおいても不穏な空気は満ちていたのでしょう。

  • 完訳、とあったので古本屋で買う。ジュニアの棚。
    時代が古く、馬車が活躍する英国はロンドン近郊に、突如落下した謎の物体。
    この頃こういう内容が書けたウェルズはやはり凄い。
    火星人の攻撃のものすごさだけでない、パニックに陥った人間達の怖さ。
    本には関連地域の地図も付いていて、お得な105円でした。
    スピルバーグの映画は、原作の時代や設定を微妙に変えているが、大筋では原作を忠実になぞっている気がした。暗澹とした絶望感が特に。

  • 『タイムマシン』につづくウェルズの長編第二作、侵略テーマSFの濫觴。語り手が哲学者設定で(作者自身が労働者階級出身であることもあって)火星人が地球人類を自然資源視し意思疎通を試みないこと(「言語を用いずテレパシーがあると思われる」)や栄養摂取法(「我々も肉食の習慣について反省しなければならない」とは開国と獣肉提供を無理強いした日本への同情があるのかもしれない)について考察が試みられる。/大砲等の武器は貧弱であったが、それでも文明の中心地の英国に集中して飛来したことは超文明の人類文明を破壊の戦略が見て取れる

  • 「天空に赤く輝く神秘の星、火星。その表面で、ある夜、無数の爆発が観測された。それから6年後、イギリス各地に、夜空を切り裂いて緑色に輝く流星群が降りそそいだ。当初、隕石と思われた謎の物体のなかから、やがて驚くべき姿の生物と巨大なマシーンが出現!人々を焼きつくし、次々に村や街を破壊してゆく。その圧倒的な力の前に、人類はなすすべもなかった…SF史上に燦然と輝く不朽の名作」

    コロナ禍で読んだのがよかった、宇宙人が町を破壊して大パニックになっていても、隣町に行けば人々は噂を聞きつつも、他人事で呑気。この状況、隣の国や国内の遠い地域で感染が広まってもどこか他人事だった私達と状況がそっくりだ。

  • 名作、古典と呼ばれるのにはそれなりの意縁があるわ、良かった❗️

  • ゲーム『十三機兵防衛圏』に出てきたので興味を持った本。
    スピルバーグ監督作品『宇宙戦争』の原作。
    舞台はイギリス。

  • 120年程前に書かれたSF小説ですが、まったく古びていない傑作だと思います。SFとしての魅力に加えて、著者の文明批評の姿勢が鮮やかです。

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