壁のむこうの街

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制作 : ウリ オルレブ  Uri Orlev  久米 穣 
  • 偕成社 (1993年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037264703

壁のむこうの街の感想・レビュー・書評

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  • 北欧映画祭で「バード・ストリート」という題名で上映されたのを観た。(その後「マイ・リトル・ガーデン」名で一般公開)そのときの上映後質疑応答で「その原作は読んだことがある」という方がいて調べた。映画はレンブラントライトで割と美しく隠れ家を撮っていた。「戦場のピアニスト」子ども版みたいにワルシャワのゲットー内で子ども一人サバイバルする。映画だと冒険ものの要素が強くて(あと、サバイバルしてるとは思えないぽっちゃりした子が演じていたこともある)、原作の方が切実で大変。ゲットーの外でのサバイバルが同作者の「ふたつの名前を持つ少年」の原作『走れ、走って逃げろ』。

  • 第二次世界大戦下のポーランド、ワルシャワ蜂起のちょっと前が舞台。
    ユダヤ人が移送されたあとのゲットーにひとり隠れて父親が迎えにくるのをまつ少年の物語。
    戦場のピアニストのような状況。
    著者は1931年ポーランド生まれのユダヤ人でホロコーストを経験している。
    この物語の主人公の状況は十分ひどいんだけど、多分著者の経験よりずっと希望に満ちている。
    これはきっとお話のなかでだけ叶えられる希望。

    秘密基地のような隠れ家や他のアパートの家探し。
    ネズミが友だちの生活に、こっそり触れる外の世界。
    こういった暮らしは、命がかかっていなければ素敵な冒険にさえ見える。
    でも、ギリギリの生存を強いられている状況は、本でよむ物語の中の冒険と決して同じではない。

    アレックスの父親は、(本当は隠したかったけれど)アレックスに武器の使い方を教えてくれる。
    銃の扱い方と情勢と逃げ方。知識は武器だ。
    ここしばらく「なにも教えてもらえない子供」の話を読むことが多かったから、子供に武器の使い方を教えなければいけない不条理とともに生き延びさせる責任が描かれていることに、ちょっとほっとした。


    訳がたまに読みづらい。
    “ぼくたちがやらなかったことといえば、いつものようにスノーをテーブルの上にのせなかったことぐらいだ。”(p33)とか。これはいつもテーブルにのせるハツカネズミをその日はのせなかった、の意。
    自分の好む物語(倫理)の枠におはなしを押しこめようとする訳者あとがきも気に入らない。

    イラストは表紙と中で全然違う。中のほうがいいのにもったいない。


    p231、祖母の習慣。切った爪を全部あつめて燃やす。そうしないと体が滅びた後に魂が爪を探してさまよい続ける。
    宦官が「宝」を棺にいれるのと同じことか。「完全な体」で次の世に行く。
    http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4121800079

    危険をおかして食べ物や道具を探す。そのときに本も探して持って帰る。
    運よくみつけたニンジンはものすごく貴重な野菜。(普段手に入らないから)
    このへんに「フェリックスとゼルダ」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4751522248を連想した。

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