源平の風 (白狐魔記 1)

著者 :
  • 偕成社
4.15
  • (104)
  • (87)
  • (52)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 791
感想 : 95
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037442101

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人間の生き様に興味を示した一匹のキツネが、仙人のもとで修行し人間に化ける術を習得。“白狐魔丸”という仙人ギツネとして生まれ変わる。
    このキツネが、日本史上の大きな事件や英雄たちと遭遇し、人間がなぜ殺し合うのかという疑問の答えを探し、時を旅する大河タイムファンタジー。(本書の紹介文から引用) 続刊あり。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    【源平の風】
    源平合戦の最中に源義経と出会い、命を救われる。後に頼朝に追われるようになった義経一行と再会し同行する。武士の生き様をしかと見届ける中、
    「戦は敵も死ねば味方も死ぬ。戦いに勝つよりも、戦いをうまく避けるのが大将の務めではなかろうか」
    という答えを出す。今日の戦争を思い、考えさせられる。

    キツネが人間に興味を持ち、言葉を取得する…という展開が、同著者の猫が主人公の話「ルドルフとイッパイアッテナ」を思い出し、私は好きだ。
    本書もキツネから見た人間の世界がよく観察され提示される。
    ・人間は「縁」という言葉をよく使う。人と人との見えない関係をいっているようだ
    ・執念深いのはおろかなこと など。

    また源平の歴史の他、仏教の教え「転生」についても触れる。生き物は死ぬと別のものに生まれ変わるという。キツネの化身を、生きながらにしてなりたいものになれる“転生”と見立て、我々人間の日頃の行いや生き方を省みることの提示をされているかのようだ。
    大人なのに知らない気づかないことを、教えられたり考えさせられたりする。とにかく斉藤洋さんの物語の内容は深い。

    ブク友のやまさんのレビューから興味を持ちました。やまさん、ありがとです。

    • やまさん
      なおなおさん♪こんばんは(^-^)

      なおなおさん♪のレビューを見ていて気がついたのですが、
      本を登録するときに「タグ」で㋐、㋑とかを...
      なおなおさん♪こんばんは(^-^)

      なおなおさん♪のレビューを見ていて気がついたのですが、
      本を登録するときに「タグ」で㋐、㋑とかを入力しているのを見ました。
      タグで検索するのにいい方法ではないかと思い。
      私も、著者名の部分を少し著者名の前に㋐、㋑を入力しました。
      ありがとうございます(*^_^*)
      2022/08/10
    • なおなおさん
      やまさん、コメントをありがとうございます(^^)

      やまさんのレビューの「えぇーキツネが人に化けたい…」×源平の話に惹かれ、図書館で借りて読...
      やまさん、コメントをありがとうございます(^^)

      やまさんのレビューの「えぇーキツネが人に化けたい…」×源平の話に惹かれ、図書館で借りて読みました。
      面白かったです。

      タグの㋐とか㋑ですね(^^)!
      作者タグをすぐに検索したくて、目立つようにやってみたんですよ。
      そしたら、読んだ冊数別になりますが、あいうえお順に並んでくれるので、大変便利です。
      やまさんも是非!
      ちなみに好きな登場人物タグも設けており、「♡」を付けております^^;
      2022/08/10
  • えぇーー、キツネが人に化けたい…
    設定が面白い、
    そして高評価。これは読むしかない。

    母キツネから独立した幼いキツネが、猟師に追われて逃げて行くうちに、敵である人間を知ることだと思い。人里に踏み入り、人を観察し、人の習慣を知り、その過程で人の言葉を覚える。途中で平家を討つ源義経に助けられながら。
    キツネは、人に化けることができる仙人がいる白駒山をめざして東に旅をする。仙人が、白い大きなキツネから若者に変わるのを見て白駒山で修業をし、キツネも人の姿になることが出来たが、尻尾がついている。どんなに変身しても尻尾のついた人間になる。仙人は、心を「空」にすると……と言うが。キツネにはわからない。
    ある日、源頼朝から逃げる義経を逃がすために郎党・佐藤忠信を無心に助けていたら。何回人間に変身しても尻尾が現れなくなった。キツネは、もしやこれが仙人が言った「空」かと思う。

    【読後】
    子供向けに分かりやすく書かれています。分かりやすく、人の生き方を書いているように思いました。面白く、展開が早く、飽きることがなく、先に先にとページをめくっていきます。

    【この本を知ったきっかけ】
    斉藤洋さんの本を読むのは初めてです。図書館で手に取った時に、字の薄さと、堅そうな表紙と絵を見てこの本は読めるのかなと一瞬思いましたが。皆様のレビューを読んでこれは面白そうだと思ったことを、思い出し持って帰って来ました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    源平の風 ー 白狐魔記(しらこまき)シリーズの1冊目
    1996.02発行。字の大きさは…小(字の大きさは中、字が薄いので小)。
    2022.07.19読了。★★★☆☆
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    • なおなおさん
      やまさん、こんにちは。

      やまさんのレビューが面白くて、私も読みました(^^)
      "羽州ぼろ鳶組"も読みました!どこかで報告コメントしたのです...
      やまさん、こんにちは。

      やまさんのレビューが面白くて、私も読みました(^^)
      "羽州ぼろ鳶組"も読みました!どこかで報告コメントしたのですが、お礼を言いたく、しつこくてごめんなさい^^;
      2022/08/10
    • やまさん
      なおなおさん♪こんばんは(^-^)

      素適なレビューですね。
      「羽州ぼろ鳶組」の登録は、
      玉麒麟 羽州ぼろ鳶組シリーズの8作目からで...
      なおなおさん♪こんばんは(^-^)

      素適なレビューですね。
      「羽州ぼろ鳶組」の登録は、
      玉麒麟 羽州ぼろ鳶組シリーズの8作目からです。
      なお、ブクロクでの登録は、
      平成31(2019)年3月27日に読み終わった本から
      ブクロクで管理するようにしています。
      このために8冊目の前は登録していません。
      ありがとうございます(*^_^*)
      2022/08/10
    • なおなおさん
      やまさん、お返事をありがとうございます。

      「羽州ぼろ鳶組」8作目からでしたね!
      そこにコメントを書いたのかな…。
      江戸の火消に興味がわき、...
      やまさん、お返事をありがとうございます。

      「羽州ぼろ鳶組」8作目からでしたね!
      そこにコメントを書いたのかな…。
      江戸の火消に興味がわき、博物館にも行っちゃいました!
      オススメくださり感謝です。ありがとうございました(^_^)
      2022/08/10
  • 母ぎつねから独り立ちしたきつねが主人公のお話。
    このきつね、他のきつねと違ったのは、とても耳が良かったということ。
    風の音や木々の立てる音、あらゆる音を聞き分ける優れた耳を持ったきつねは、やがて人間の言葉を聞き分けることができるようになります。
    そしてこのきつねがもう一つ変わっていたのは、人のそばで暮らすと決めたこと。
    人間に姿を見せないように注意しながらも、人里の近くに暮らし、人間の生活を垣間見て、人間に思いを寄せていきます。
    ある時きつねは、子どもたちに話す和尚さんの話から、北の山の仙人のところで修業をすると、きつねは人間に化けることが出来るようになるという話を聞きますが…。


    とても面白かったです。
    歴史が絡むお話は切なくなってしまうことが多いような気がして少し身構えてしまいますが、このお話は、切ないながらも、人間を見つめるきつねの目線がフラットで、それでいてどこか温かで、読み手も感情的になりすぎず、俯瞰した視点から、歴史のうねりや人間の生死を見つめることができました。
    1巻のタイトルが『源平の風』ということで、源平合戦の頃の史実に基づき(多分)話が進んでゆき、途中で源義経一行ときつねの時間軸が重なります。タイトルからして、もっとがっつりと義経と絡んでゆくのかなぁと想像していたのですが、きつねと義経との冒険譚!という訳ではなく、きつねの生きている線上に、一時、義経たちの生が重なるというイメージで、その描かれ方がまたとてもよいと思いました。
    そして、このきつねの性格というか、語り口が、淡々としているのだけれど、肝は押さえているといった感じで、きつねと一緒になって人間について、生について考えさせられ、ハッとさせらる場面が多々ありました。
    どうして人間は、自分が生きるためでなく、他の人間の命を奪うのか。
    合戦を見てきつねが思ったことは、現在の私たちにも等しく突き刺さります。
    けれど、ただ、生きるために、食べるためだけに殺すだけではいられないことを、きつね自身が身を以て経験していく様は、きれいごとではいられない生というものの罪深さを思い出させます。
    猟師との場面では、宮沢賢治の作品を想起しました。
    場面場面が明確に頭に思い描かれる描写は、分かりやすく読みやすいです。
    淡々とした文章であるのに、きつねの言葉がいくつも心に留まりました。
    大人の人におすすめかもしれないです。

    白駒山の仙人の存在はとても不思議。既存の仙人像とは一味違い、漫画にでも出てきそうなキャラクターです。仙人とのやりとりでは、きつねの性格も浮き彫りになり、ちょっと楽しいです。

    次巻以降も楽しみです。

  • ありそうでなかった人を化かす狐が主役の話。
    妖狐ものとかはあるけど。
    あくまでもふつうの、ふつうに生まれた狐が
    少しずつ人間の世界を学んでいく、というのがとても面白かった。

    主人公の狐さんの性格が真面目で頭が良くて、
    とても好感がもてる。
    炭治郎みたいだね。
    炭治郎には戦う理由があったけれど。
    「真面目な主人公」がブームなうちに
    おすすめしていきたいなあ。

    人間はなんで殺し合うのだろう。
    戦争ってなんだろう。
    武士ってなんだろう。
    というのが、狐の目線で描かれているのが
    とても新鮮。
    このあとも読みます。たのしみ!

  • 人間を知りたいという、一風変わったきつねが、白駒山の仙人のところでくらし、
    人に化けることを学んでいく。
    狐の好きな言葉で言うと、修行する、若いきつね白狐魔丸の成長日記。
    山を降り、故郷を目指す折り、
    源平の戦に巻き込まれ、人が戦い殺し合うことを疑問に思いながら、仇討ちなる人の感情を知っていく。

    きつねの真面目なキャラクターと、飄々とした仙人とのやりとりがおかしく、また語り口もやさしくて、とっても読みやすい。
    きつねをからかいながら、さらりと大切なことを教えていく仙人さながら、読み手をぐいぐい引き込む。

    尾っぽが化けきれないきつねに、仙人が、尾は「空」だと解くところもとても良かった。
    修行したがるきつねに対して仙人の言うセリフもいい。

    「滝にうたれて、ああ、おれは苦しい修行をしているんだと思って、気持ちよがっているのは、温泉につかって、ああ、いい湯だ、といっているのと、変わりない。」

    戦の描写は辛いところもあるけれど、人情を学ぶ白狐魔丸と一緒なら、ゲームみたいに人が死ぬ感覚とは違う大切なものがわかるはず。

    ちょっと、アーサー王伝説を思い出しながら(斉藤洋さんも訳している)騎士道も武士道も、どこか貫いたものは同じで、かっこいい。

    この本は、本が苦手な子にも進められるんじゃないかと思うし、私のように日本史が苦手な人も楽しめるのだー

  • すごくおもしろかった。
    努力したきつねが、人間に化身できるようになってよかった。ぼくは人間だけど、きつねと同じように、争うのはいけないと思った。
    義経にみんながひかれるというのはわかる気がするけど、ぼくは仙人の方が気になる。ものしりで、おもしろいし、優しい、強いことをいいことに使っている。すごい。それから、忠信がかっこいい。優しくて、こわいことからもにげない。
    きつねは、これから仙人のところにもどるのかな。続きが早く読みたい。(小5)

  • 源平合戦に白狐が入ってきて、おもしろい視点から進めている。もしもあのとき、なるほどと、歴史を楽しみながら読み進められた。こどもたちにぜひとも読んで欲しい一冊だ。

  • 小学生高学年向けの本と侮るなかれ。
    化身の術を仙人の元で学び、人に化けることが出来るようになった狐から見た歴史物語。
    中でも、修行修行と息巻く狐と、やったら自然体な仙人とのやりとりは秀逸。
    さあ、続きも読むぞ。

  • キツネ目線で源頼朝と義経の関係、義経と弁慶や忠信との関係、人間像が見えてくる。児童書なのでサクッと読めて、歴史に興味を持つきっかけに面白いと思う。

  • ときは鎌倉時代、主人公は一匹の野生のきつね。
    きつねは、人里で「白駒山の仙人のもとで修行して神通力を身につけた、人間を化かすきつね」の話を聞き、興味を持ち白駒山を目指すことにする。

    児童文学ということもあり、言葉がとても易しくて、丁寧で、読んでいて心地良い。
    なぜ人は人を殺すのか、武士の生き様とは何なのか─真面目で純朴なきつねと一緒に、考えることができる。日本史の勉強の一歩にもなる。昔読んだな、と思って読み返したけれど、懐かしかった。

全95件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年、東京都生まれ。中央大学大学院文学研究科修了。1986年、『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学新人賞受賞、同作でデビュー。1988年、『ルドルフともだちひとりだち』で野間児童文芸新人賞受賞。1991年、路傍の石幼少年文学賞受賞。2013年、『ルドルフとスノーホワイト』で野間児童文芸賞受賞。「どうわがいっぱい」シリーズの作品に、「もぐら」シリーズ、「ペンギン」シリーズなどがある。

「2022年 『がっこうのおばけずかん シールブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斉藤洋の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
上橋 菜穂子
上橋 菜穂子
森 絵都
荻原 規子
荻原 規子
有川 浩
有川 浩
有川 浩
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×