手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

著者 :
  • 偕成社
4.23
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感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039633101

作品紹介・あらすじ

冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思います。その夜、母狐は子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出しました。はたして子狐は、無事、手袋を買うことができるでしょうか。新美南吉がその生涯をかけて追求したテーマ「生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」を、今、黒井健が情感豊かな絵を配して、絵本として世に問います。

感想・レビュー・書評

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  • 新美南吉さんの作品に黒井健さんの挿絵というと、誰もが知っている『ごんぎつね』だが、
    こちらも負けず劣らずの名作。
    タイトルを聞いただけで、なんだか胸の奥がじんとしてしまう人も多そうだ。

    色鉛筆を粉状にしてオイルに溶かし、それを布につけてこするように描くという手法は
    「ごんぎつね」が最初で、この作品も同じ手法で描かれている。
    ふわっとにじむような、幻想的な色彩。
    それでいて、お話が心にじかに伝わる鋭さも秘めている。
    とりわけ雪の世界の美しさ・冷たさは、こちらまでしんしんと手足に伝わってくるほどだ。
    一枚一枚に、どれほど時間をかけて丹念に描かれたことだろう。
    この絵を見るためだけにこの作品を読むのも大いにありだと思われる。
    それほど、黒井健さんの挿絵の魅力が大きい。
    新美南吉さんの文章の美しさも際立っていて、絵も文も、奇跡のようなコラボだ。

    母きつねの子を思う心、小さな子ぎつねの愛らしさ。
    手袋を買いに、はじめてひとりで町まで行く怖さと期待と。
    子どもをひとりで行かせなければならない母きつねの葛藤。
    上手に買えたときの達成感。
    そして無事に帰れた時の、親子が抱く安心感。
    どの瞬間もそれは丁寧に、しかも簡潔に言葉を選んで書かれている。
    特に、お店の人(人間)が良い人だったことに、子供たちの安堵感がどっと伝わってくるところは、とても素敵だ。

    う~ん、こういう作品をじっくり味わうのが、子供の心にはどれほど良いことだろう。
    でも現実にはそんな時間は限られているのだろうなぁ。
    約10分かかるけど、ぜひお子たちのためにゆっくりお読みあれ。

    • 8minaさん
      nejidonさん、こんばんは!
      この本、ずいぶん昔に知人のお子さんにプレゼントした本だと思います。やわらかなトーンが印象に残る絵本でした...
      nejidonさん、こんばんは!
      この本、ずいぶん昔に知人のお子さんにプレゼントした本だと思います。やわらかなトーンが印象に残る絵本でした。
      2015/02/06
    • nejidonさん
      8minaさん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいましたね。
      お気に入りとコメント、ありがとうございます!

      知人のお子さん...
      8minaさん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいましたね。
      お気に入りとコメント、ありがとうございます!

      知人のお子さんへのプレゼントになさったのですね。
      いいなぁ、素敵な贈り物ですね。
      きっとこの年の寒い日にページを開いてみたことでしょう。
      絵だけでもじゅうぶん過ぎる魅力なのに、日本語がとても美しい。
      子供の頃には、こういった作品にたくさん出会ってもらいたいですよね。
      2015/02/06
    • 杜のうさこさん
      nejidonさん、はじめまして♪

      たくさんの花丸とリフォロー、ありがとうございます!
      そしてコメントまで、私からご挨拶するつもりが...
      nejidonさん、はじめまして♪

      たくさんの花丸とリフォロー、ありがとうございます!
      そしてコメントまで、私からご挨拶するつもりが…すいません。

      この本、子供のころ一番好きなお話でした。
      nejidonさんの本棚、大好きな絵本がいっぱいで、目移りしてしまいます(#^^#)

      プロフィールに”25匹にゃんこと同棲中”ってあって、うわ~素敵♪って。。。
      そして、超おっとりさんで腕力ゼロ。
      まるで私…とすごく親近感持たせていただいてます。

      動物物に弱くて(特に猫ちゃん)すぐ泣いてしまう私ですが、これからもどうぞよろしくお願いします(*^-^*)
      2015/10/14
  • ぼうやだけに行かせて頑張ることに、感動します。さらに、間違った手を出してしまったときには、大丈夫かなと心配になりました。

  • 1. 実体験に基づく苦く怖い思いは、長い間その人の価値観を支配してしまう。

    2. 一方で、そのような苦く怖い話を他から聞いていたとしても、自身の実体験が良ければ自身には良い記憶として残る。

    3. この対比は非常に興味深い。またポジティブな経験はネガティブな経験をした人の気持ちをも変えられる可能性を秘めている。

    4. そのため、ポジティブの連鎖が広まるよう自分もできるだけ出来事をポジティブに捉えられるよう努力したい。

  • キツネのぼうやがまちがったてをだしちゃったけどてぶくろをちゃんとかえてよかったなあとおもった!

  • 繊細な絵に癒されます。
    帽子やさんの優しさ、読んでいてほっこり嬉しくなります。

  • 坊やが人間と上手におつきあいできる賢い狐になってくれるといいな。

  • ちがうてをだしたけどだいじょうぶだったのがびっくりした!

  • 久しぶりに読んだ。いつ読んでも、狐親子の絆と帽子屋さんの温かさにホッとする。最後のお母さん狐の言葉は意味深長だ。

  • 日テレ読み聞かせで注目!
    子狐の手を見て、母狐は手袋を買ってやろうと思います。無事に、手袋を買うことができるでしょうか。

  • 五木寛之さんが今なお読み続けている絵本「手ぶくろを買いに」。小さいころ、学校の図書館で手に取った方も多いのではないでしょうか。

    寒い冬、母狐が子狐を気遣い、人間の街へ手袋を買いに行かせる物語。子狐は母の注意に従って、警戒しながら店へと向かいますが、最後は無事に手袋を手に入れ、母のもとへと戻ります。子狐が「人間は怖くなかった」と報告すると、母は「ほんとうにそうかしら」とつぶやいて、物語は終わります。

    →続きはこちら
    GUEST 115/五木 寛之:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2014/03/post160254.html

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著者プロフィール

1913年、愛知県知多郡半田町(現・半田市)に生まれる。中学時代から童話を書き始め、『赤い鳥』『チチノキ』などに投稿。東京外国語学校在学中に病を得、20代後半の5年間は安城高等女学校(現・県立安城高等学校)で教師をしながら創作活動を続けた。1943年、29歳の生涯を終える。代表作に「ごんぎつね」「おじいさんのランプ」「手袋を買いに」「でんでんむしの悲しみ」を始めとして、多くの童話・小説・詩などの作品を残す。

「2019年 『子どものすきな神さま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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