猫の事務所 (日本の童話名作選)

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039634207

感想・レビュー・書評

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  • 理不尽なイジメの絵本。
    めでたしめでたし、で終わらないから、ただただ後味が悪い。

    でも、だからこそ考えさせられる。どうしてかま猫は嫌われないといけなかったんだろう、って。どうすれば幸せになれるんだろう…って。

    宮沢賢治の作品はそういうのが多いですね。

    ああ、それでも、猫が机から落ちたお弁当箱やペンを手(前足)をのばしてひろおうとする仕草はほほえましく感じました。

  • 人間世界の愚かで澱んだ習性を、
    猫たちの世界に凝縮して描いた
    宮沢賢治の傑作です。

    どこにでもだれにでも
    起こりうること。
    だけど、孤独といわれのない差別は
    本当に辛く苦しいこと。

    最後に登場する獅子の大いなる力は
    頼もしいけれど、同時に切なくなります。

    きっと読むたびに感想が違うんだろうな。
    本当に理解できる日はいつになるやら。


    たくさん種類はあるけれど、
    私はこの黒井健さんのイラストのものが一番すきです。

  • 低学年には少し難しい内容でした。

  • 4匹の猫が、猫の地理や歴史を調べる事務所があり、底での出来事。釜猫が他の猫たちから虐められていて最終的に事務所を解散させられる話。読んでいて他の3匹の猫に非常に腹たった。金色の獅子が入ってきて物語が展開していくのかなと思ったら急に解散命令が出て終わりだったのでちょっとびっくり。その後が気になる作品でした。

  • 猫たちがでてくるからゆるふわか?と思いきや、現代社会でも頻繁に見かけられるイジメの物語でした。宮沢賢治の時代にもこんな陰湿なイジメがあったのでしょうか?ひたすらびっくり。かま猫がどうか、この物語が終わったあとで幸せに暮らしていてほしいと思いました。かま猫泣かすの許さない。可哀想すぎる。

    しかし現代社会には獅子のような存在がいないような気がします。

  • 特別な行動では無いのに かま猫くんは優しさ猫なんですね きっと誰か貴方を見ているよ

  • 座右の銘ならず
    座右の絵本Best5の一冊です。

    以前、友達にもらった絵本です。

    大人になって読み返すとまた、感慨深いものがあって。いいもわるいも、必ずだれかが見ていてくれる!神様は、いつも見ていてくれル!って。
    安心、安心^ ^

  • 宮澤賢治の小説を読み、絵本になっていることを知りました。黒井氏の絵がちょっとダークで現実離れした猫の世界に合っていると思います。

  • 童話であるが、ここに描かれているのは「差別」である。

    猫の事務所で働く「かま猫」は、優秀であるのに外見が薄汚いという理由で、他の猫たちから差別される。唯一親切にしてくれた事務長も、ある告げ口をきっかけに手のひらを返したような態度となってしまう。なぜ自分は差別されるのか?思い悩むかま猫。
    猫が主人公ではあるが 人間社会の縮図と見て間違いないだろう。


    この童話では、作者と思われる「ぼく」が 2度、突然顔をのぞかせる。
    2度目である 最後の一文は 「ぼくは半分獅子に同感です」。
    私はこの最後の一文に どきりとした。


    獅子の登場によって 猫の事務所は廃止される。
    かま猫が差別される「状況」は解決されるのだから、「ぼくも同感である。(めでたしめでたし)」と終わるのか、と思ったが、「ぼく」は「半分」だという。


    何故 半分なのか?
    絵本を閉じた後も ずっとその理由を考えている。
    差別はいけないことだ、と言うのは簡単だ。だが、外部からの圧力で解決できるほど、人間の心は簡単ではない・・・。差別はもっと、人間の奥深いところに巣食っている。哀しいことに。


    読んだ人それぞれ、答えを探さずにはいられない童話なのでは ないでしょうか。大人になって読み返すのも いいものですね。
     

  • どう解釈したら良いのか、頭が混乱した。今も自分の中でいろいろ整理しきれていない。時間をおいて、もう一回読んでみるつもりです。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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