用務員さんは勇者じゃありませんので (4) (MFブックス)

著者 :
制作 : 巖本 英利 
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
4.13
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本棚登録 : 24
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040680439

作品紹介・あらすじ

蔵人は足止めを食らっていた。
サウラン行きの船に乗るため、ラッタナ王国から徒歩で北上し、大きな港マルノヴァにたどり着いた蔵人だが、次の便は百日後だという。
しかたなくマルノヴァで逗留を決め込み、ハンター協会へ足を向ける。しかし、相変わらず厄介ごとは勝手に舞い込んでくるようだ。
ヨビの義父の一門、ルワン家の娘ファンフが、一門の仇として蔵人に決闘を申し込んできたのだ。
捨て身の速攻でファンフに勝利するも、とどめを邪魔され、街での宿泊と滞在にリスクが生じてしまう。
結局、街の外、飛竜のナワバリである竜山を隠れ巣にすることとなった。
そんななか、蔵人はエスティアという娼婦と出会い、彼女からの依頼をこなしていく。
ハンターとしても、男としても充実した日々を送る蔵人。
だが、たった一振りの凶刃によって、それは儚くも消え失せるのであった……。

感想・レビュー・書評

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  • まさか異世界が舞台のファンタジー小説で、現代の少年法問題によく似た事件が発生するとは思いませんでした。

    「両親の仇」ということで決闘を挑んできた美少女を返り討ちにした用務員・蔵人さんですが。命を狙われること自体が不幸ですが、そもそも美少女の両親を殺したのは蔵人さんじゃないってところがさらに不幸。

    少女の両親が殺されたのは、王様の命令を破って蔵人さんを闇討ちしようとした両親が、王様にバレて粛清されたってのが理由ですからね。お門違いも甚だしい。百歩譲って復讐の矛先が王様に行くのなら理解できますが、それが蔵人さんに向けられたのはただの八つ当たりにしか思えないです。

    でも、そんな少女を周りの保護者達は全力で庇うのですよね。保護者としての責任を棚上げして。いくら年端もいかない美少女とはいえ、殺人未遂どころか殺人まで犯しておいてそりゃないんじゃないの? って展開が続きましたが、最終的に蔵人さんがきっちり物理的にとどめを刺してくれたので溜飲が少し下がりました。
    ただ、彼が失ったものは大きかったですし、少女を手にかける、という終わり方の読後感は悪かったです。それがこの作品らしいといえばそうなのですけれど。

    4巻から初登場の新しい癒しキャラ―飛竜の子ども・アズロナがいなければ救われなかったですね。アズロナかわいいよアズロナ。同じ子どもでもエラい違いだなと思いました。
    雪白(豹)だったりアズロナ(竜)だったりジーバ(骨)だったり、蔵人さんの人間には好かれないけど人外にはとことん好かれるところがいいですねぇ。

  • 港町マルノヴァにて船待ちがてら仕事をこなすクランドと雪白。飛竜の変異種のアズロナを拾ったり、岩山に温泉付きの住居を掘ったり、骨人種のジーバと隣人になったり、色々楽しい生活もあるのだが、読後感には寂寥感が漂う。
    表紙の娼婦エスティアの依頼をこなし、故郷に帰る手助けをした直後…。
    相変わらず誓い合ったはずが裏切られる展開で、このシリーズは読みごたえがあるのはわかっていても、読みはじめるのに勢いが必要で、いつかクランドに屈託のない幸福の訪れを期待したいものです。

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著者プロフィール

北海道在住。高校二年から読書に目覚め、三十までになんとかデビューをと考え、各社新人賞及び「小説家になろう」に投稿を開始。貯金の目減りと迫るタイムリミットに怯えながら書籍化打診を待ち続け、2015年2月『用務員さんは勇者じゃありませんので』で念願の商業デビュー。

「2018年 『異世界列車の車窓から ~用済み勇者の身の振り方~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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