王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/富士見書房
4.01
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本棚登録 : 419
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040703190

作品紹介・あらすじ

王女コクランの元に現れた、なんでもひとつだけ願いを叶えてくれるというランプの悪魔。願うことなどなにもないと言い放つコクランから、なんとか願いを聞き出そうとつきまとう悪魔だったが――。

感想・レビュー・書評

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  • 「さあ、願いを言うがいい」
    「なら言うわ。とっとと帰って」
    王女コクランの元に現れた、何でも一つだけ願いを叶えてくれるという伝説のランプの悪魔。
    しかしコクランは、願うことなど何もないと、にべもなく悪魔を追い払おうとする。
    なんとか願いを聞き出そうとつきまとう悪魔。しかし、“全てを与えられた者”と謳われるコクランを取り巻く王族と後宮の現実を知ることになり…。

    神ないの作者さんが「最高傑作」と言っていた本作。個人的には本当におもしろくて、文句なく最高傑作だった。今年一番といってもいい。
    前はかなり特殊な設定のファンタジー世界だったけど、今回はとある帝国の、王宮にある後宮が舞台で、大きな事件や派手な展開はないものの、コクランと悪魔レクスが非常に魅力的でぐいぐい読ませてくれる。
    前半は後宮というより、女学園ものといった雰囲気。孤高を貫くコクランと、彼女に関わる少女達のいざこざがメインだけど、どちらかというとコクランよりレクスの方が人間味に溢れていて、読者の想いを代弁してくれる感じだった。
    割と明るめだったのに対し、後半に向かうにつれコクランを取り巻く現実の厳しさと悲しさに驚かされる。というかこれはあんまりだと思う。
    上げて落とす手法が半端なくて、最後まで本当にハラハラしっぱなしだった。この作者さんだから最悪の展開もありうると心配したほど。それだけに本当にこの終わり方にはほっとした。王道と言えば王道なんだけど、その王道ぷりに安心させられる感じ。
    正直コクランを取り巻く環境は変わってないので、根本的な問題は解決されてないけど、幸せになってほしいと切望してしまう。とてもおすすめ。

  • 継承順位第一位の王女、後宮、ランプの魔神。

    綺羅綺羅しい舞台の上でコクランの孤独が際立って、「めでたしめでたし」と物語に幕がおろされるのが見たくて、ページをめくるのをやめられない。


    叶わない願いを叶えてしまったコクランとレクスは「しあわせにくらしました」となったのか、気になるけれど、それはまた別のお話としているからこそ美しい場面のまま本を閉じられるのでしょう。
    そうわかっていても、二人のそれからが知りたくなる。
    賢くて意地っ張りで何も望まないコクランも、供物にされるまで主のために神に祈り続けたレクスも、個性豊かな宮姫たちも、登場人物の誰もがいとおしくて、彼らの物語も知りたい。

  • 主人公と悪魔のやり取りが秀逸な冒頭から物語が段々とシリアスへ移行していくのはやはり上手い。
    こうあるべきだという鎖に絡んでいる人が多いなぁと読みながら思っていた。物語は大団円なのだろうが、この後、二人はどんな道を選ぶのだろうと余計なことを考えてしまった……。

  • 大好きなお話なんです。
    コクランの聡明さと聡明さゆえの孤独が。レクスの馬鹿正直に真っ直ぐで少し邪なところが。
    最後のコクランが盃を干すシーンが、その先のコクランの本当の望み、口に出すことができなかった望み、その切実さも儚さも、全部抱きしめて生きてきたコクランがとても好きなんです。

  • 王女のコクランと願いの悪魔のレクスのテンションの落差と絶妙な掛け合いが面白い。お互いのこれまでと、力関係が一方的になりすぎないところが良い。
    コクランの「女の子」じゃなくて「王女」なところがツボでした。

  • 傑作。
    美しくクールな王女コクランと、願いを叶えるランプの悪魔の軽妙な会話が心地いい。
    徐々に明らかになるコクランの身辺と心情、いつの間にかふたりの間に交わされていたかすかな思い、そういったものが積み重なって迎えた終盤は胸に迫るもにでした。
    とにかくコクランが愛しいし、願いの悪魔がかわいい。
    本当に面白かった。
    それに文章が美しい。
    読んでよかった。

    あまりに完璧なラストシーン過ぎて、続編があるとのことだけど一体どんな内容やら……?

  • 全てを持つ王女コクランに、間違えて呼び出されたランプの悪魔が、コクランから願いを聞き出そうとあの手この手を使う攻防戦。
    キャラとしては、今までにも似たキャラがたくさん出てきたし、ストーリーとしてもそこまで真新しさを感じないのに、ノリツッコミのアップテンポと、謎が一つずつ明かされる度に揺さぶられる感情が、クライマックスへ進むにつれて読者を傍観者から当事者に替えていくのが面白かった。

  • とても好きなお話。全てが愛おしい。幸せになってもらいたい

  • こういう話が読みたかった…。ラストは涙腺決壊して、心地よい胸の痛みが味わえました。
    ギリギリまで泣かせておいて、それでもハッピーエンド、とても素晴らしい。
    泣きたい時は何度でも読み返そう。読後にそんなこと思いました。

    続きがあるのも素敵です。この先の困難は、さらに引き込まれる物語の予感がします。

  • 10/7読了。ご奉仕モノに弱い為、設定だけで萌。作者とはいい酒が飲めそう。更に物語クライマックスで涙腺崩壊した私は疲れているのかもしれない。いや、とてもいい本を読ませていただいた。

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著者プロフィール

第21回ファンタジア大賞大賞受賞作『神さまのいない日曜日』でデビュー。同書はTVアニメ化され、角川文庫版も刊行されるなど、ライトノベルにとどまらない幅広いファンを獲得した。ほか著作に『魔法の子』があり、独自の深い世界観で読者の支持を集めている。

「2015年 『王女コクランと願いの悪魔II』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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