半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820255

作品紹介・あらすじ

競争原理の市場経済に関わりながらも、より良い働き方やより良き社会をつくろうとする「半市場経済」の営みが広がり始めている。志と価値観の共有が働くことの充足感をもたらす、共創社会の時代を遠望していく。

感想・レビュー・書評

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  • 社会企業が共同体として市場経済の外縁を彩り始めた。この新たな半市場経済という潮流がいったいどこに向かうのかは、語られていないが、これによって人としての幸福を感じる従業員のいる企業が成り立っている現状を伝えている。
    ここに弁証法的止揚の視点で語るのであれば、市場経済と半市場経済が互いに折り合いをつけて、新たな経済形態が生まれ発展することを期待したくなる。

  • 東2法経図・6F開架:331.1A/U25h//K

  • 4章が難しかった。なんでだろう?

  • 好き嫌いがそこそこ分かれそうな内容です。非現実的・理想論と評価される可能性は高いかも。

    要点は市場の発達により社会と乖離した市場経済になんとか社会性(人々の生活的な価値のことだと思う)を取り戻していく時代になってきたのではないか、という主張。

    課題解決の効率化のためにある程度レイヤーを制限せざるを得ない(国の財政とか、地域の財政とか、家計とか)状況が分断を生むのは仕方ないし、解決策をスケールするために最大公約数的な評価軸である貨幣に単純化されるのも仕方ないのかな、とは思う。それ故に個人の生活からは乖離していくけど。

    主な対策としては市場経済だけではない様々な経済を成立させることや社会的価値に基づく活動を広げることを目指しているようでした。

    面白かったのは、時計が導入されて「自分の時間」を認識したことにより、逆に取引可能なものとなり、賃労働として搾取されるようになった、という指摘です。皮肉。

  • 今日、世間では、コミュニティビジネス、ソーシャルビジネス、里山資本主義などなど、社会的な課題解決の対処の仕方として色々なアプローチがあり、それぞれに一応納得できるような提案がなされている。
    この本は、「半市場経済」という概念を提起し、序章にあるのだが、ひとつの時代の終わり、前提が崩れた、神話の終焉、新しい経済デザインと鞘木デザインを、新しい価値の創造と経済学 ということで、一定整理し第1章から最終章までそれぞれの専門家が理論整理された本である。
    内容は
    第1章 経済とは何だったのか。あるいは、労働の意味を
        問いなおす
        ―経済・コミュニティ・社会
        ・内山 節
    第2章 エシカル・ビジネス
        ―「縁」を結ぶ、「縁」を紡ぐ働き方―
        ・細川 あつし
    第3章 存在感のある時間を求めて
        ―「時間による支配」から「時間の創造」へ―
        ・杉原 学
    第4章 ソーシャル・イノベーション
        ―経済活動を通じて社会変革をもたらす
        「産霊(むすび)の力」―
        ・梅田 一見
    最終章 現代社会と市場経済、非市場経済、半市場経済
        ・内山 節

    副題にある成長だけでない「共創社会」の時代を目指して、第2章から第4章において、違った観点からのアプローチがあり、読者としては新たな触発があり満足いく新書でありました(感謝)。

  • ファッション

  • 成長が前提の資本主義経済について、その弊害や限界が語られる場面が増えているように感じます。
    自分自身の将来についても、「このままで良いのか」と不安に思う気持ちが年々、強くなっています。
    「では今後、どのような社会になるのか?」ということを考えるヒントにしたく、関係する書籍を読んでいます。

    この本は「半市場経済」という言葉を以下のように定義しています。
    『市場に依存し利益の最大化”だけ”を目指すのではない。逆に、市場をすべて否定するのでもない。よりよい働き方やよりよき社会をつくろうという目的で営む経済。志と価値観を共有することで、充足感と多幸感をもたらす新たな社会のかたちの創造』

    なぜそのような社会に進んでいくのか、第1章で解説しています。
    そして実際にそれはすでに始まっている、として、個人や会社として取り組んでいる事例を、紹介しています。

    自分自身、新しい経済システムにとって代わるという世界は想像出来ないでいました。
    現状の市場経済をベースに、価値観や志といった意思の影響力が強くなっていくという本書の解説には、説得力があるなあと思いました。

    そして事例として紹介されている、若い世代の人たち(1985年前後の生まれ)の考え、行動に、ひさびさに明るい未来を見出すことが出来ました。

    もし自分で実践しようとした場合に、何を志すか、そしていかに多くの人の賛同を得られるようにするかが、大きなポイントになるなと感じました。

    難解さを感じる解説もありましたが、未来の社会、未来の自分の姿を考える上で、参考にしたい部分の多い、一冊でした。

    『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』井堀利宏
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4046011688
     
     .

  • とても読みやすい。あたしが日頃つぶやいてることに共感する人はぜひ読んでみてください〜

  • 内山節の著作をまともに読んだのは初めてなんじゃないかと思う。
    学生の時に講演を聞いた時から思っていたが、
    時代に対する感覚がとても鋭い。
    まだ『時代の走り』ぐらいのものを的確に捉えて、
    見事に言語化してしまう。
    今回の半市場経済も、まさにっ!!といった感じだった。
    市場経済や非市場経済一辺倒なわけではなく、“適度に”市場経済と関わる人が増えているという指摘は腑に落ちるものがあった。
    この流れはたぶん時代を作っていくだろうと思う。
    旧態依然の時代にしがみつく人たちとそこから脱したい人たち。
    その2つの大きな流れが現在のアンビバレントの状況を作り出してるのだなーと実感した。

  • 数字出ると拒否反応出て経済学や商学には全く興味を示さなかったけど、この本は経済について哲学的な視点から切り込んでいる。時間の使い方。現在の労働に何を奪われているのか。生き方。
    人間の根本が一体何なのかを語りかけている。ただの経済論としても読めるしその裏を深く読み込んでもいい。この人の考え方に深く共感できるかなり気に入った。

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著者プロフィール

内山 節:1950年、東京生まれ。哲学者。1970年代から東京と群馬県上野村を往復して暮らす。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。東北農家の会、九州農家の会などで講師を務める。立教大学大学院教授、東京大学講師などを歴任。

「2021年 『BIOCITY ビオシティ 88号 ガイアの危機と生命圏(BIO)デザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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