里山産業論 「食の戦略」が六次産業を超える (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820446

作品紹介・あらすじ

世界の田舎が産業を興している。
「食の戦略」が次代を創る!!

人材を育て、経済を回し、地域を創る方法、それが「食の戦略」!!
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「食の戦略」……地元の食材、料理で人の味覚を鍛え、地元の食文化をテキスト化して継承と伝達を効率化する。そして、個人の味覚と積み重ねた食文化を基点に町作りを行うこと。
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地域のブランディングを成立させ、お金も地元に落とせるのは補助金や工場ではなく、その地の”食文化“である。それこそが人材を育成し、雇用も生みだしていく。「食の戦略」で育まれた人は、都市にとっても創造的な人物として得難い存在となる。

ローカルこそ、人を育てられる!!
社会を変える最重要産業は、メシである。
○世界遺産と街並みと集落と食を連携させ、人を呼び込むイタリア
○「味覚の講座」で子どもの表現力・郷土愛を育み、輸出力を強化するフランス
○一軒ではなく、地域全体の六次産業化をする日本の山間地 etc

「味覚を育むことは、間違いなく、豊かで個性的な子どもたちを育てることになる。その人たちが、社会を変えていくのだ。」

感想・レビュー・書評

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  • 主に、地域(田舎)の観光と食育についての話だった。
    地域が衰退している。古い町並みは壊され、地域一帯となり何日かかけて見る場所がない。だから観光客はこない。イベントをしても一過性のもので、地域活性化に結びつかない。
    「おいしい」「生産量日本一」では消費者はひきつけられない。
    その課題を解決する方策を……という導入から入る。
    (観光立国論を書いたデービッドアトキンソン氏と地域再生を民間から手がけ、行政のあり方の問題を指摘する木下斉氏の本の内容に似ているな、と思ったら、参考文献に彼らの本がずらりと並んでいるので、彼らの受け売りで書いている部分も大きそうだ。地域再生と日本の観光についての問題点を知りたいなら、この本より彼らの本を読んだ方がわかりやすく、納得できる)

    著者の主張は、
    ・「おいしい」というだけでなく、様々な表現ができるような教育を子供達にすること。ながら食べではなく食べ物に向かい合い、その味をよく考える食べ方の教育。
    ・地域が一体となる観光をつくること(客観的な食べ物のおいしさの採点、町並み保全など)
    ・食べ物は「食べ方」と一緒に知らせ、本などにまとめること。
    といったことだった。
    外国の事例や日本の地域の事例などを紹介して、なるほど、と思わせる。

    では自分の地域では何ができるだろう、と考えてみると……自分の地域でも食べ物の食べ方を本にまとめた組織があるが、仲間内の人が買っているだけで一般に知られてはいない。
    教育という即時性がないものであると、最初に問題と指摘した一過性の食イベントと比較して良いと明確に言えない。
    実際に、著者の主張で、タイトルの通り里山を産業ベースにのせられるだろうか……。
    そもそも著者が産業にできているのか?と疑問になった。著者が介入したことで、地域の町並みはどう変わっただろうか、つくった本の普及はどれだけできて、出版前後で作物の売れ行きにどんな影響があったのか。著者の活動による成果数値はでてこない。
    読んでいるときは、わくわくしたが、読み終わって一歩冷静になると、効果があるのか疑問に思った。

  • 里山シリーズ。
    海外ならびに日本各地のローカルのプロモーション成功例が諸々載っている。
    島根県海士町ってのはちょっとおもしろそうだなと思った。

  • ・イタリアでの「味覚のワークショップ」
     表現と言語と観察力が広がり、食べ物の見方が180度変わる

    ・味覚を「ガストロノミー」として学問の分野に引き上げたのが
     フランスの美食家 サヴァラン。

    ・島根県海士町 視察受け入れ 一人3,000円 
     オリエンテーションと2時間の町内視察 テーマを聞いて設定。

    ・ユーザー視点からは、観光の広域連携が必要。

    ・空家の仏壇の魂を位牌に移す 抜魂 を僧侶に頼み、
     空家を貸す心理的抵抗を和らげる。

    ・健康な未来を子供達に手渡す。

  • 第一章の失敗例の指摘は貴重だ。
    自分の頭で考えずに他所の成功例や流行のキーワード、安易な政策に流れてしまうことが失敗の原因だと思う。
    付和雷同する人物ばかり多く、自分の頭で考え抜き、信念を貫き通す人材がいない。
    このことが、地域活性化をはかるうえで最大の問題だろう。
    著者は文章に独特の勢いがある。広くおすすめできる一冊である。

  • 金丸弘美『里山産業論』読了

    先日の農業新聞の書評にも掲載されており、そこではイタリア・フランスの事例が特色の書籍、というような明治時代みたいな書評が掲載されていましたが、
    本書の良かった点は、食を中心とした地域経済のモデルを提示しているだけにとどまらず、終章で実際に必要なアンケートの一覧をかなり詳細にー生活習慣病、児童の健康、学校給食、農林漁業、レッドデータ、県内医療費などー提示していることにあると思う。
    多くの地方は食に活路を見出す意外に道はないと思うので、いい参考書になると思われる。

  • とても興味のある分野なのだが、なぜか読み進むことができず。なぜだろう?

  • 人が歩いていない
    空き家対策が地権者優先
    議員の高齢化、女性が少ない
    会議が男性高齢化

    食文化創造都市鶴岡

    島根県の離島 海士町(あまちょう)
    2005年 給与削減、早期退職 浮いた2億円を子育て、出産祝い金、保育無料化
    高校に島外の生徒を留学生としてうけいれた
    干しナマコの生産出荷、岩牡蠣の養殖販売 U,Iターン支援
    岩牡蠣をオイスターバーに直接営業

    調味料から意識 醤油に人工甘味料が入っていないか

  • 20160103 これからの日本の進み方の参考になる本。食べられるというのは大事な事だと思う。

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著者プロフィール

1952年佐賀県唐津市生まれ。食総合プロデユーサー。食育や観光事業のワークショップのプラニングから、ツアーへの展開、公開授業、幼稚園から大学まで各学校での食の講師なども手がける。北海道から沖縄まで全国の農村や町など700カ所を自ら巡る。著書に『創造的な食育ワークショップ』『本物を伝える 日本のスローフード』(岩波書店)、『ゆらしぃ島のスローライフ』『メダカが田んぼに帰った日』(学習研究社)、『子どもに伝えたい本物の食』(NTT出版)、『フードクライシス 食が危ない!』(ディスカヴァー21)など多数。

「2008年 『給食で育つ賢い子ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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