IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820583

感想・レビュー・書評

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  • IoTという分野の全体感への理解を深めたく読書。

    勉強になるだけでなく、読み物として面白い。

    以下学びがあった点のメモ
    ・道路とインターネットの類似性
     →全体の責任者なし、しなやかで強い
    ・オープンデータ、オープンAPIが重要となる
    ・機器メーカー側が主導権を取るためにアグリゲートコンピューティングを実現すべき
    ・日本でのIoT発展には技術より制度上の課題が多い
     →技術先行に陥る日本、オープン/ベストエフォート/マッシュアップ文化は強い

  • Kindle unlimitedで読了。IOT系の本の中で、かなり深いところまで言及されている。

    Iotにおいてオープン化が重要かわかる。
    キャリア主体型から変革できずに日本はガラケーがスマホでやられたように、IOTも遅れてしまわないかが懸念である。

    ギャランティ思考があるが故に、高い品質の製品を日本が出してるが、あらゆる技術がコモディティ化したいま、それが足枷になっていくのではないか。

  • 自分の情報を自らの意思で出すか、それとも自動的に情報を取られることには大きな差がある。自らのかざすというSuicaなどの方式は情報の出し側に主導権がある。
    ベストエフォート型とギャランティ型。
    道路はベストエフォート型で鉄道はギャランティ型という例えはよく分かる。
    鉄道はインフラだけでなく、その上に乗るサービスも提供保証する。
    一方、道路はインフラは管理するが、その上のサービスは利用者個々の責任である。
    ベストエフォート型は脆弱だが、柔軟性がある。
    これから発展していくだろうIoTの理解の一助となった。

  • 物をインターネットにつなぐと言うのがどういうことなのかがよく理解できる本です。

    ただ社会に浸透させるためには日本のガバナンスを変えていかなければなかなか難しいと言うのもよく分りました。その点海外(アメリカ)のガバナンスは日本と違いどんどんチャレンジできる環境にあるので日本より発達していくということも分かりました。
    今後どのように物のインターネットが発達していくのか注目していきたいと思いました。

  • この手の中で一番わかりやすかった。

  • カメラの例が分かりやすい。
    シャッターがエッジノードで、画像処理はクラウド、画像の出力はネット経由で別ノード。
    物は分解されネットで1つになる。
    この時、シャッター、画像処理、画像の出力が同じベンダでは意味がない。カスタマがそれぞれの機能についてベストのベンダを選ぶべき(VRM?)。そのためには機能をユーザが自由にデザインできるように疎結合する仕組みが必須になる(オープンAPI?)。
    IoTの壮大な理想像が初めて分かった。
    加えて、IoT実現のために解決すべき技術的側面以外の問題点(ガバナンスの問題点)についても非常に熱く書かれている。僕としては、技術的な面よりこちらのほうに多く賛同できた。今後のイノベーションに向け日本は問題山積である。

  • 「アメリカでは、既存のクローズシステムの既得権益者を切り捨てるために、オープン化を実現する」
    印象的なフレーズ。

  • ◯「VRMーVendor Relationship Management」は、まさに管理の向きがCRMと真逆。カスタマーが自分に関係するベンダーを管理するという考え方だ。(106p)

    ◯カメラの機能を撮像素子とディスプレイとユーザーインタフェースに分解して、環境中に分散する。そしてクラウドから部屋全体に置かれたカメラを操作する。(144p)

    ◯日本の組織・個人は、一般に責任感が強く失敗を恐れる傾向が強い、いわばギャランティ志向である。ギャランティ志向は、ベストエフォートにより成り立たざるを得ないオープンなシステムと親和性が悪い。(160p)

  • IoTのイメージ、どうも曖昧模糊としていてつかみどころがない。このような定義が曖昧な用語、「バズワード」というのだそうだ。
    とはいえ、本書を読むと、その本質が見えてくる。IoTは「ネット経由リモコン」のような、特定メーカーや特定機器に閉じたネットワークではなく、機器やセンサーのデータがオープンに交互利用され、その中で新たなイノベーションが生まれる世界をゴールとしている。著者は、IoTの未来を「社会全体のロボット化」とも言っている。その意味で、我が国で盛んに行われているオフィスオートメーション等は、自社内に閉じたネットワークであるため、「オープンなIoT」=今後期待されるIoTのイメージからはズレている事になる。
    オープンで柔軟だがベストエフォートでギャランティーのない世界。著者は、IoTの本格普及には、まず新たな哲学・ガバナンスチェンジが必要で、法体系としては、「ポジティブリスト方式」の我が国の法制度よりも「ネガティブリスト方式」の英米法が優れている、という。要素技術はもう整っており、IoT社会実現は、社会変革が出来るかどうかに懸かっている。
    大変興味深かったのは、戦争とイノベーションの関係についての下り。著者は、戦時には「敵より少しでも先に」との危機感で倫理やコスト、安全性といった社会的な制約がクリアできてしまうからイノベーションが生まれる、という。確かに、原爆開発のマンハッタン計画なんかはその通りだなあ。
    著者も述べているが、基本的にリスクを嫌う我が国ではIoT社会実現のハードル高いだろうなあ。アメリカに先を越されてあわてて追従する、といういつものパターンが目に浮かぶ。

著者プロフィール

INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士。東京大学名誉教授。IEEE Life Fellow。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長。組込OSとして世界中で多数使われている。TRONはIEEEの標準OSでもある。2003年紫綬褒章、2006年日本学士院賞、2015年ITU150Award受賞

「2022年 『教養としてのコンピューターサイエンス講義 第2版 今こそ知っておくべき「デジタル世界」の基礎知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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