『資本論』の核心 純粋な資本主義を考える (角川新書)

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  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820903

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  • アメリカのみならず日本でも新自由主義への流れが加速し、剥き出しの資本の論理が貫徹する現代において、資本主義の内在的な論理を解き明かしているマルクスの『資本論』が持つアクチュアルな意義を論じた本です。

    本書が依拠しているのは、宇野弘蔵編『経済学』上下巻(角川全書)です。宇野は、マルクス主義のイデオロギーとマルクス経済学を切り離すことで、共産主義革命を実現しようとするマルクス主義の実践志向から独立した、資本主義経済の内在的な論理を原理的に解明した著作として『資本論』を読み解こうとしました。同時に宇野は、資本主義の歴史的な性格にも留意し、労働力の商品化に基づく資本主義的なシステムの形成過程を解明しようと試みています。著者は、こうした宇野経済学の簡単な見取り図を描きつつ、資本主義が孕んでいる問題を批判的に考察するための視座を示しています。

    外交官として国際政治の現実をつぶさに観察し続けてきた著者にとって、宇野や柄谷行人から引き継いだ世界システム論的な枠組みが、世界情勢を分析する際の基軸をなしていると言ってよいと思います。本書で、資本主義の歴史に関する宇野の思想を紹介しているところには、そうした著者の関心のあり方が明瞭に表われているように思います。

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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