棋士の一分 将棋界が変わるには (角川新書)

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著者 : 橋本崇載
  • KADOKAWA (2016年12月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821207

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棋士の一分 将棋界が変わるには (角川新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「はっしー」の愛称で知られる棋界屈指のパフォーマーにして、様々な発信力を持った人気棋士?による棋界への苦言というか怒りのぶちまけといったところでしょうか。
    割と読みやすく、直近の問題でもあるだけに、すらすらと読めました。
    彼は良くも悪くも棋界を超えて世間を賑わせることも多く、2年前にはNHKテレビ将棋トーナメントの準決勝であろうことか二歩で反則負けになるという大失態をやらかしていて、何かにつけて話題のタネになる人物です。
    本書は、三浦弘行九段への将棋ソフト使用疑惑事件の真っただ中に刊行されており、その後の第三者委員会による検証にてクロの証拠はないと結論付けられる前の時期のもので、はっしーは事件当初にツィッターでボロクソに三浦九段を非難した後の刊行だったこともあって、当時は割と注目された新書だったともいえますね。

    本書は棋界の問題点を累々と書いた内容ですが、読んでみてわかったのは、彼は奇抜な身なりや言動などで注目されてはいるものの、内面は実にナイーブで、棋界の将来を真剣に憂いており、「斜陽産業」となりつつあるという棋界の生き残りについて真面目に考えているということでした。
    将棋しか知らない天才たちには逆に棋界の現状を変えようという意識は薄く、何とかしなければならないとはっしーがもがくほどに孤立感を深めるといった図式のように思いました。人を喜ばせようという面でキャラ立ちし過ぎているので、損をしている部分も大きいのでしょうね。

    なかでも本書で最も警鐘を鳴らしているのが、将棋ソフト使用疑惑事件で一気に世間にまで表面化したコンピュータ将棋ソフトと棋士とのかかわり方です。
    もともとコンピュータ将棋ソフトと人間である棋士が戦うことに大反対であったというはっしー。今ではコンピュータ将棋ソフトが人間である棋士の実力を大きく超えてしまったことにより、人間同士によるプロ将棋の勝敗に興味を持つ人がだんだんといなくなるのではないか?スポンサーも棋戦主催から手を引いていくのではないか?という危機感を持っているということです。
    はっしーは言います。相撲やプロ野球で機械と戦うことがあるのか!人間が負けるに決まっている!人間同士だからできる勝負の駆け引きがある!と。
    まあ、私も正直なところ、事ここに至ってはコンピュータ将棋ソフトと棋士が戦う意味は何もないと思いますが、力勝負の競技と違い人間以上の知能を持った存在などこれまではいなかったので、ゲームとはいえ、人間を凌駕するほどになったコンピュータとの対決は一定の意義はあったのではと思っています。
    ただ、はっしーが言うように、対局の解説にコンピュータ将棋ソフトの評価値を出すのは不快なことだと思いますし、コンピュータ将棋ソフトの指し示す手が重視されるようになると、棋譜の均一化や挙げ句に不正行為に結び付いても不思議ではなく、棋界が衰退の方向に向かうのでは?という危惧を抱くのも当然なことのように思います。
    今後は、棋士がコンピュータ将棋ソフトと公式に戦っても人間が勝つ見込みはほぼないので、このような対決イベントは早く収束させ、人間同士の対局を盛り上げることに力を注いで欲しいものです。
    また、このようなコンピュータ将棋ソフト対人間棋士の図式を描き、今日まで導いてきたのは、故・米長邦雄将棋連盟会長の金もうけの「私利私欲」から始まったことだとはっしーは断罪していますが、これが真実かどうかはわかりませんが、人間性においても棋界への貢献においても功罪の両極端のブレが激し過ぎる人物だっただけにさもありなんという気もあります。
    今日の将棋連盟の路線の大枠を故・米長邦雄会長が引いたのは事実であり、棋界を体質を変えようとするなら、まずこのあり方から見直すべき時であるのかもしれません。

    現在はっしーは順位戦B級1組であるものの、以前のような力は無くなってきているようにも感じられますが、A級へのカムバックとタイトルの獲得を果たして欲しいものだと思います。がんばれー!

  • こういう人だったんだ

  • ハッシーの愛称で呼ばれる橋本崇載八段。
    棋士としては珍しくテレビ出演やパフォーマンスに目が行きがちですが、この人の指す将棋は王道。好きな棋士の一人です。
    そんなハッシーの今の将棋界の構造的問題点、これから必要な改革。物理的な面と棋士一人一人の意識的な面と両面で熱く語っています。
    読んで感じたのは、今の将棋界は完全に時代の流れに乗り遅れてしまったこと。そして、組織としては残念ながら脆弱な面が多いという事を感じさせるものでした。
    「棋士」という矜持、ステータスだけでは食べていけない時代であるという事を認識する時に来ている。そんな現状を語っています。

    また橋本八段はコンピュータ将棋について批判的なスタンスがイメージとしてありますが、常にコンピューター将棋がダメ!と言っているのではなく、そもそもコンピューター将棋とプロ棋士の将棋では見ている方向が違うといった事を言っています。コンピューターと人の勝負自体がナンセンスであるという意図を感じました。

    有限の盤石で最善手だけを求めるなら確かにコンピューターですが、人と人との真剣勝負における醍醐味。読み合い、駆け引き、大逆転劇、そして興奮。そうした要素も含めてプロ将棋なのに、最善手(正解、不正解)だけがフォーカスされていることが問題であると。
    人なんだから間違いもするし、一か八かの勝負手も指すしだからこそ面白いのにそうした部分を排したゲームはもはやゲームとして成り立たない。

    橋本八段の将棋界に対する危機感。今のコンピューター将棋とプロ棋士についての考え、これからの将棋界について知ることのできる一冊です。

  • なんでだかなんとなく読む。
    ちょっと落ち着いてゆっくりされた方がよいのではないでしょうか。

  • 著者の本はこれが初めてだが同年代であり将棋ファンの自分としてはもちろん知っていた。
    本書は現在の将棋界に一石を投じる内容となっている。故米長邦雄や疑惑の三浦九段に対しての見解も多くその内容は批判が多い。SNSなどで発信していた見解とは違う箇所もみられ正直内容的には閉口する箇所が多い。文章も全体を通して一貫性がみられない印象もある。
    言いたい事は分からないでもないがあまり同調できる内容ではなかった。それでも一般の人にはあまり知ることができない将棋界の内容を赤裸々に綴ってあり読む価値がないとはいえないが。。。

  • ハッシー、好きになった。
    shogi barもまた行くよ。異端児は、いつの時代も孤独だな。

  • 今年(2016年)の棋界は大きな出来事がいっぱいありました。
    碁の世界では趙名人が電脳碁に2勝1敗。将棋界では竜王戦における三浦九段の「ソフト使用疑惑による出場停止処分」。
    橋本8段のこの本では「将棋ソフトと棋士の対決の是非」にも触れています。しかしそれは「たまたま出版時期がそうだったから」。根本には「将棋をどう守り普及していくか?」という本です。
    連盟の「ゆるさ」。直前まで理事長を長く務めた棋士の功罪。
    橋本8段といえば、金髪で対局したり、二歩負けを喫したり話題に事欠かない棋士です。しかしその考え方は浮ついたものではなく、しっかりとしています。

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棋士の一分 将棋界が変わるには (角川新書)の作品紹介

スマホ不正疑惑をなぜ未然に防ぐことができなかったのか。将棋ソフト、プロなき運営、見て見ぬふりをしてきた将棋ムラ…「憧れの職業どころか食えない職業になる日も近い」という将棋界の実情を現役棋士が明かす。

棋士の一分 将棋界が変わるには (角川新書)はこんな本です

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