目的なき人生を生きる (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821344

作品紹介・あらすじ

人生を意味だらけだと思うと、「つまずきの石」につまずく。
死ぬまで競争? 勘弁して。自己実現など、小賢しい。終活、就活、余計なお世話。
それでも世間はやかましい。
社会に煽られ、急かされ続ける人生を、一体いつまで過ごせばいいのか。
「それは何のためだ、何の役に立つ?」世間は「目的を持て!」とうるさい。
しかし、人は生まれる前にその問いを立てたのか、死ぬ直前にその問いを立てるのか??
「人生に目的はない」。そう考えた方が豊かな人生を過ごせると、反倫理を倫理学者が真面目に提示する。

『小さな倫理学』を唱える著者が贈る、解放の哲学

■人生の答えはありそうだが、ないという形式でしか存在し得ない
■目的論と、その手下としての合理主義や功利主義
■「幸せ」とは道路標識のようなものでしかない
■人生に目的があったら、生きる必要などない。「なぜ」なしに元気を出せることが大事
■劣等感という城壁の中に閉じこもる限り、<私>という迷宮の中から出られない
■権力好きの本質は、他者から評価されること、褒められることや意識されることを何よりも求めることである
■弱みから目をそらせるのに効果的なのが戦いという作戦なのである
■意味がないというのは答えではなくて、出発点なのだ
■人生論にしても幸福論にしても、一枚からなる決定版の処方箋を求めようとしてしまう。そんなものはない、いやあっては困るのだ。
■後ろ向きに後ずさりしながら未来に向かおうとする
■<私>とは、光源ではなく、奈落、根底、暗闇、深淵なのだ
■友達の多い人は他人を攻撃することも得意な人だ
■現世において成功している者を来世においても成功させるために、つまり現実世界を二倍化するために宗教はあるのではない
■「全力」や「がんばる」ということは、人間を誤らせやすい。
■強すぎる感情は依存症だ。
■幸福な死に方をしなければ、幸福な生き方をしたことにはならないのか
■目的がないとは、予めないということであって、最初から最後まで、現実化しないということではない。目的は最後に現れるのである。
■倫理学は自分を見つけるための視点を得ることによって自分を作ることだ。
■目的は存在しない。目的は作るものだから。
■人生は評価されるためにあるのではない。それが「尊厳」ということの意味である

感想・レビュー・書評

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  • 新聞書評欄によると
    生きる目的や悪に対峙(たいじ)する正義などを求めがちな私たちの心性は、どこかへエスカレートしていく危うさを秘めている。がんばらず、ぐずぐずに生きるのもありではないか。〈人生は意味だらけだと考えることが、足元をつまずきの石だらけにする〉〈「目的のなさ」とは、欠如や空虚ということよりも、むしろ自由な空間ということであり、器の大きさでもある〉と著者は説いているらしい。
    人生にやたら生き甲斐を求める風潮に対し、ただ「ここに居る」という存在だけで充分であるということか。在ることは奇跡に近いのかも・・・。
    硬く読みにくいのが難点。

  • 「人生において目的は分散し、迷い、見失う者が多くいなければならない。 人生の答えはありそうだが、ないという形式でしか存在し得ないのである。」
    という一文がこの本を表している気がします。長年哲学と共にある熟年男性が記したエッセイのような印象。入りは易しいですが徐々に置いていかれてしまい、科学雑誌Newtonを読んでいる時と同じような気持ちになりました。満員電車を神社の参道に喩えた文が面白かった。

  • 文字通り、人生を生きるにはどうしたら良いかを説いた一冊。

    可もなく不可もなし。

  • 人生の目的のなさ、について筆者の見解を述べた新書。人生は意味はないし、目的もない。人生は、すべてのものを受け入れる器、存在の海、であってむしろ目的のないことが求められる。「人生の目的(意味)はなにか?」という問に対する答えがないことで、救われるものがある。とのこと。


    接続詞が少ないので補ってほしい。率直に言って、文章がうまいとは言えない。心躍る表現はいくつかあったので、おっ、いいねと思った。スピノザって、面白そう。

  • 倫理学、難解。何がいいたいのだろうかと探るが分かりそうで分からない。深すぎるということなのか、ただ伝える気がないのか。
    人生に目的などなくていいのだ、努力至上主義で生きる必要はないのだ、今そこにあること、ただそれだけでいいということなのだろうか。
    目的なく、ただ読んでみた。完全に理解しようという努力もせず、なんとなく読み流してみた。んー、複雑だ。

  • 散発的にいろんなことが少しずつ書かれているようで、読むのが大変だった。けして理解したとは言えない。スピノザなどの哲学者の考えを基にしているようなので、基本的な理解が必要かも。
    拾って一番共感したのは下記。

    > 何でもかんでも 、必死になってがんばることがよいことだと考えられていて 、がんばらない人は悪人であるかのような風潮になっている 。必死になってがんばりすぎていることは 、過剰適応といって 、ぎりぎりのところまで能力を使っているということだ 。それは 、非常口を玄関にしている家のようなものだ 。火事になって玄関から出られなくなると 、それ以外に非常口がないから逃げられない 。

    まさに自分が努力至上主義みたいなところがあって、良くないなあと思い返してみたり。

  • この本は新書の形式をとってはいるけれど,哲学書。決して読みやすいとは言えない。だけれども,だからこそ丁寧に読むことで得られるものが多い気が薄る。。ちょっとふと疲れた時に自分を見直すきっかけになる。
    最近,本は目的を決めて読むことが多い。だけれども,目的外のことで思わぬ収穫が得られることがある。そのスコープの広さこそは集中とは反対の目的の無さ。自分はどちらかということ目的のないまま生きてきた。上手く行っていないことも多い。それは裏返せば器の広さと思えればまた悪いものではないのではないかと思う。
    時々,物語の先を見たいんだけど,見たら終わってしまうというジレンマに陥ってしまうことがある。目的ってそういうもんだと思うと腑に落ちる。

  • 人生に目的は無いと唱える倫理学者の話。
    ま、確かにそうなんだけど、だからどうする?とかどう生きる?とかの参考になるわけもなく。同い年の学者さんがどういう話を書くのかな?と思って読んだが、まあ期待する方が間違い。

  • 私には合わなかった。読むのがしんどかった。

  • 人生に目的はない、というより目的は後から付いてくる、根底にあるのは欲望、ということだと思うのだけど、判然としない書き方で読むのが辛かった

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著者プロフィール

山内 志朗(やまうち・しろう):1957年山形県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は哲学。著書に『天使の記号学』『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(以上、岩波書店)、『ライプニッツ――なぜ私は世界にひとりしかいないのか』『〈つまずき〉のなかの哲学』(以上、日本放送出版協会)、『普遍論争――近代の源流としての』(平凡社ライブラリー)など多数。共編著に『世界哲学史(全8巻、別巻1)』(ちくま新書)などがある。

「2023年 『中世哲学入門 存在の海をめぐる思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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