コロヨシ!! (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000601

作品紹介・あらすじ

藤代樹は「掃除部」に所属している高校2年生だ。芸術点と技術点を競う競技「掃除」は、国家の統制下に置かれているマイナースポーツだった。幼い頃に祖父の教えで「掃除」を始めた樹は、昨年の州大会新人戦で優勝するほどの腕前。だが、目標を見出せず、どこか冷えた態度で淡淡と「掃除」を続けていた。しかし謎の美少女・偲の登場により、彼に大きな転機が訪れ-。物語の錬金術師・三崎亜記が放つ、前代未聞の奇想青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 数年前「武士道シックスティーン」を読み、「おっ、青春スポーツモノいいかも?」と続けて購入した一冊

    で、やっぱりオッサンには青春ものキツいんじゃないか…と不安になった。

    元々、三崎作品が好きなので抵抗なく読めるかと思いきや「青春×スポーツ×三崎ワールド」に馴染めず、また続けて同じジャンルを読むのも良くないかと思い止める。
    それから数年経ち再挑戦

    スポーツとしての「掃除」が存在する世界で、高校の「掃除部」として活動する少年が主人公
    この「掃除」がクセモノで…
    部屋の掃除とは違い「塵芥」と呼ばれるバトミントンや羽子板の羽のような物を「長物」と呼ばれる箒のような物で空中に巻き上げ技術を競う競技(なかなか場面を想像しづらい)
    そして成り立ちの経緯には国家が絡んできてなんだか昔武術として危険視されたとかなんとか…クセがね…

    舞踊としての側面もあるので、なんだカポエラの成り立ちとバトミントン合わせたような、不思議なスポーツ。

    本筋はスポーツ青春モノなんですが、三崎作品に出てくる独特な職業、地名が出てくるのと、「国家」に話が広がる要素、過去に起きたことなどに「運命」に主人公が翻弄されすぎていて、臨機応変に切り抜けていくんだけど、なんかモヤモヤしたまま…

    続編も近々入手予定

  • 「頃良し!」
    今朝の掃除に取り掛かる時、ハタキを構えて思わず言ってしまった。。。
    (箒じゃないところが、ちょっと邪道な気がしたけれど)

    ここではないどこかの(?)日本で、国家保安局の管理下、
    高校生の間だけ許される活動制限スポーツ、「掃除」。

    横8尋×縦6尋の敷舞台の上で、長物を用いて塵芥を巻き上げ、
    美しい軌道を描いてそれを迅速に回収する、特殊な競技だ。

    この「掃除」のスピード感あふれる描写が素敵で
    今は亡き金田伊功さんの、独特のパースをつけた作画で
    アニメ化してほしい!と妄想してしまうほど。

    そして、この架空のスポーツを構成する
    敷舞台、長物、塵芥、差手、柄掃、寄袋、統声、裁定士
    散華の舞、還立の舞、華宴、添え舞い
    などのディテールや
    西域、居留地、西州第一自治区、異邦郭、政府直轄校
    などの独特の世界観がまた、すばらしい!

    「掃除」の手ほどきをしてくれた祖父がある日突然出奔して以来
    長物を手放さずに育った主人公の樹が
    公立高校の掃除部で、居留地出身の少女、偲の掃除に驚愕し
    政府直轄校の掃除部員との圧倒的なスキルの差に奮起して
    自分だけの掃除を目指して修練を積んでいくのですが

    文庫で520ページという長さのわりに、全国大会でこれから戦う!
    というところで物語が終わってしまって、
    「ええ~?!」と放り出された気分になったけれど
    そこは続編がもう刊行されているということで、自分を納得させたりして。

    掃除部の他、召喚部、肩車スポーツ部、など
    ぜひ見学したり仮入部してみたい(?)部活も登場して
    丁寧に創り込まれた架空世界に気持ちよく浸れる読み手には、ぴったりの作品です。

  • 架空世界の日本で、高校生が「掃除」というスポーツに打ち込む話。
    これは…SF?…異世界青春ものというか。
    少年漫画のようで、面白いです。

    藤代樹は高校2年生。
    高校だけに限られている特殊なスポーツ「掃除」を部活で行っている。
    箒のような「長物」で、羽根つきの羽根を小さくしたような「塵芥」を自在に操り、回収する競技。
    技術だけでなく芸術的な美しさも評価される。

    マイナーな部で、樹は部に入っていることを両親には隠している。それには、わけがあった…
    樹は、既に州大会新人戦で優勝した腕前。
    実は子どもの頃に祖父に「長物」を貰い、一人で練習していた積み重ねがあった。祖父はその後、失踪してしまったのだが。
    もうすぐ正式な大会に出て、優勝でもしたら、隠し通すことは出来ないが、まだためらっている。

    幼なじみの梨奈は、有力者のお嬢様で、無敵の美少女。
    何かと無理を言ってくるが、まったく太刀打ち出来ない樹。
    「彼氏失格よ」などと言われて「彼氏じゃない」と抵抗はするのだが。

    後輩の偲という可愛い少女に出会い、その優しい風情に救われる思いになります。
    だが、偲は「掃除」の強力な選手で、しかも「居留地」の流儀らしい謎めいた技を持っていた。
    「掃除」とは、もともと旧国技にも関連する実戦用の物だったらしい。
    偲とは、やがて互いに教え合うことになるのだが、ライバルでもある。

    「召喚部」で一人わけのわからないことをやっている友達も「掃除」の腕前はなかなかのもの。
    この友達とのいきさつや、数々の試合の様子などが、少年漫画ぽくて、妙にわかりやすい面も。
    試合だけでなく、「異邦郭」という社交場での「添え舞い」を仮面を付けてバイトでやっていたりと、色々なシーンが展開。
    超絶技巧がつぎつぎに繰り出されていくが、それが「掃除」っていう。
    樹たちが特訓したり、行き詰まったり、精神的な問題を乗り越えていく様子が、いきいきと描かれます。
    スポーツ物の漫画で、全然知らない競技の場合、けっこうこんな感じかなと。
    ほかに「肩車スポーツ部」とか、おかしな設定も楽しめます。

    この世界の設定は斬新で、描写も流麗で面白いんですが、謎が多すぎるのが、感情移入するのにちょっと、難ですね。
    少しずつはわかっていくのですが、そのテンポがやや遅い。
    高校生が意味も事情もよくわからないまま、ひたすら練習しているっていうのも、あり得ない事じゃないけど。

    さあ次の段階へ!
    というところで、終わってます~。既に次作も出ているので、乞うご期待!?

    • まろんさん
      おお!周りで誰も読んでいる人がいなかったので、
      他ならぬsanaさんが読んでくださってうれしいです♪
      よくぞここまで架空のスポーツ「掃除」の...
      おお!周りで誰も読んでいる人がいなかったので、
      他ならぬsanaさんが読んでくださってうれしいです♪
      よくぞここまで架空のスポーツ「掃除」の世界を構築したなあ!と
      感心してしまうようなディテールの細かさが、三崎さんらしい本でした。
      ええ~、ここで終わっちゃうの?という場面で終わってしまうのが難点ですが
      続きの「決起!」では、もう部活を遥かに飛び越えて
      奇想天外を絵に描いたような壮大な物語に膨らんでいくので
      お時間があったらぜひぜひ♪
      召喚部も、思わぬところでちょこっと関わってきたりしますよ(*'-')フフ♪
      2012/10/20
    • sanaさん
      まろんさん、
      架空の設定が魅力的に、とても楽しそうに描かれていますよね~!
      まろんさんが書いてらっしゃるように~華宴とか、裁定士とか、言...
      まろんさん、
      架空の設定が魅力的に、とても楽しそうに描かれていますよね~!
      まろんさんが書いてらっしゃるように~華宴とか、裁定士とか、言葉も素敵で。
      感想見ると、よくわからないと書いてる方も結構いるので、少し説明してみました。
      この設定がどこまで効いてくるのかなとか、謎で。
      なるほど~設定は奇想天外な方向へ、生かされていくんですね!
      召喚部、ちょっと好き♪
      2012/10/21
  • とても面白かったです。
    三崎さんがスポーツ小説を書かれると、こんな世界になるのですね。
    「掃除」というスポーツを通して、物語の世界がゆっくり浮かび上がってくるのが楽しかったです。まだまだわからないところも多くてわくわくしました。
    掃除に打ち込む樹と偲の変化も、青春だなぁと思います。ふたりを取り巻く人々の濃さと、過酷な環境も、もっともっと続きを、と思います。
    自由と不自由、考えさせられました。
    続きも楽しみです。

  • うーん。面白くなかった。前に読んだ失われた町が良かったから今回も独自の世界観のSFを期待してたんだけどある意味独自過ぎたと言うか。読んでる側、私は全然ついていけなかった。何をやってるのか想像できなかったし、世界観が分かりにくいです。クルワとかハンドリングとか居留地とか。あと、なんとういか言葉がいちいち気恥ずかしい。部長のキャラとか、大介のキャラとか、いろんな用語とか、他の大陸の言い回しとか。なんだろう。中2っぽいって言えば多分1番しっくりくる。
    やけに長いのもちょっと苦痛。
    題材は良かったと思うんだけど。失われた町と何が違うんだろう。映像なら良かったのかな。

  • "掃除"がスポーツとなっている世界の話。
    へんてこな設定ですが、それ以外は完璧に青春もの。
    主人公が「なぜ自分は掃除を続けるのか?」とか悩んだり、家に幼馴染が遊びに着たり、美少女に出会ったり、友達と別れてライバルになったり。

    青春ものにしては設定やエピソードが多くて500ページ超。
    軽くは読めないかなぁとも……

    ただ、幼馴染が良すぎる!
    「ジタバタしないの!そんなことじゃ、私の彼氏として失格だぞ」は名言だと思いました。

  • これは「掃除」だけど「掃除」ではないものだった。
    微妙にズレた独自の世界を創り上げるのは相変わらず上手い三崎亜記。この世界もズレ方が絶妙で、良い加減のリアルを付いてくる。
    ただ「掃除」や世界観を説明しずぎな感があり、途中で飽きそうになった。個人的には、少し説明不足くらいの方が逆に頭の中で想像が広がると思うのだが。
    そういう意味では終わり方は悪くない。
    長編より中短編向きな作家さんなのかも。
    青春モノが好きな人にはおすすめ。

  • なんとも小気味よい。もしこの世界観に入り込めるなら、後半の展開にはかなりの惹き込む力を感じるのではないだろうか。また微妙なズレを感じるそこここに妙に納得してしまうのは書き手のセンスの良さなのでしょうね。

  • 2.5かな。
    「失われた町」と同じ世界観で語られる青春小説?
    いまいち入り込めず読むスピードが上がらなかった。話はこの後も続くけれど、その本は読まないか?
    今のところ、自分の三崎亜記ベストは「となり町戦争」。

  • 一章読んだところで既視感が気になって仕方なかったが『失われた町』で部分的に同じ世界が描かれてたと判ってスッキリ。思い出すまで、本?アニメ?映画?って迷ったのは映像が頭に浮かぶ作品だからかな。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2004年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しビュー。同作は18万部のヒットとなり直木賞にもノミネートされた。著書に『廃墟建築士』『刻まれない明日』『コロヨシ!!』『決起! コロヨシ!!2』など。

「2021年 『博多さっぱそうらん記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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