風来忍法帖 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 77
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000779

作品紹介・あらすじ

豊臣秀吉の小田原攻めに対し忍城を守るは美貌の麻也姫。彼女に惚れ込んだ七人の香具師が姫を裏切った風摩党を敵に死闘を挑む。機知と詐術で、圧倒的強敵に打ち勝つことは出来るのか。痛快奇抜な忍法帖!

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは富士見書房版だがこちらで登録。主人公の香具師達が好き勝手に戦場を駆ける前半から一転して、何故か忍者修行をする羽目になってからの忍城での麻也姫護衛の死闘となる後半と様相を変える本作。おちゃらけながらもやるときはやるという香具師達の生き様・死に様が熱い。

  • のぼう様のいない『のぼうの城』です。

    金のあるところ上方も北条も関係なく、香具師稼業のかたわらいい女を見つけるとさらって犯して売り飛ばし、その金で博奕に明け暮れる7人のならず者。
    そろいもそろって人間のクズ。

    豊臣軍に包囲され、情勢の不利を悟った北条方の武将が城からそっと逃がした妻子を、かどわかし売り飛ばしたことを、太田道灌の子孫・麻也姫に咎められ、顔を踏みつけにされたことを恨み、彼女を辱めることを誓い、動向を探る7人。
    麻也姫が忍城城主の成田左馬助と結婚することを知り、何とか忍城に潜り込もうとする。

    麻也姫には風魔組の中でも優れた忍法使いの3人が護衛についているが、風魔組を取りまとめている風魔小太郎は、なぜか悪源太助平をはじめとする香具師の7人に忍びの資質を感じ取り、忍術修行を施すのだった。

    水面下での豊臣と北条の駆け引きの結果、ろくな忍術修行もしないうちに彼らは忍城に派遣されるのだが、いろいろあれこれあって風魔組の女忍者7人を味方に、麻也姫の護衛をしていた3人と死闘を繰り広げることになる。

    当初は本当にろくでもない7人の男たちに不快感を禁じ得なかったのだけど、悪源太が麻也姫への復讐を口にするたびに、麻也姫への思いが伝わってきて、他の6人はもう今さら麻也姫の件はどうでもいいのに悪源太に付き合ってやる人の良さもあったりして、勝ち目のない戦いに挑む彼らから目が離せなくなってしまう。

    麻也姫も、最初は吉田麻也の顔が浮かぶたびに読書の集中が切れて困ったが、読み進めると天真爛漫で気丈な姫が榮倉奈々の顔になったのには我ながら苦笑。

    歴史を振り返っても実力的にも7人に勝ち目はないのだけれど、それはわかっていても、結末に胸は熱くなる。

    しかし、まさか解説で新井素子の文章が使われるとは。
    確かに風閂のシーン、ありましたな。

  • 「忍法八犬伝」がすごくよかったため、似たようなあらすじ?のこちらも読んでみたものの、ちょっと想像とは違いました。
    香具師たちが奔放すぎて女性としてはしんどい部分もありますね。
    ただ、後半の死闘に突入するとさすがの山風で止まりません。
    哀愁の中にさわやかさがある終わり方もよかった。
    あんなに好き放題やりたい放題なのに、強い絆で結ばれていて不思議とにくめない奴らです。

    風魔の頭領や東西武将も登場する、有名な城攻めが背景になっているので、歴史好きならより楽しめるのではないかと。
    ほんとこの人は虚実織りまぜるのがうまいです。

  • 馬左衛門、その死に様、男子の本懐ならずや。もって瞑すべし。これ、主人公悪源太を渥美清が演じた映画があるそうですが、どうなんでしょう。一応本編では「苦味ばしった男前」となっているのですが。。。

  • 2014年7月22日読了。戦国の世を自由気ままに生きる7人の香具師たち、ふとしたきっかけで出会った高貴な美女・麻也姫にかかされた恥をすすぐため「ヨツにカマってやる(犯す)」ことを誓い忍術修行までするうちに・・・。読書レビューのサイトで知った本作、私は山田風太郎の本を読むのは初めてだったが、これほど痛快無比な作品とは思いもよらなかった!!前半の香具師たちのやりたい放題はさすがに「やりすぎ」だが、自らの機知で危機を回避していく中盤、最強の忍者たちに死力を尽くして挑む終盤と、飽きずに一気に読んでしまった・・・読み終えて抱くなんとも切ない感情まで、風太郎氏にはすっかりやられてしまった!七人の女忍者たちの献身も、なんというか男も女も死力を尽くすことに意味がある!理由の貴賎なぞ関係あるか!!という感じ。「忍法帖」シリーズ、もっと読むことにしたい。

  • 香具師七人の壮絶でカッコいい後半の姿は、ろくでなし全開の前半からまったく想像もつかなくて驚いた。なんだかんだでみんな仲間思いなのが泣かせる。
    明るさの中に一抹の哀愁…七人の笑い声が胸を吹き抜けていくようなラストは忘れられない。

  • 奇想天外な物語ばかりの忍法帖シリーズの中でも屈指の異色作♪ でも香具師の主人公たち7人の悪辣で奔放すぎるえげつなさに圧倒されつつ、人間模様は刻々変化し、いつしか麗しの姫を命がけで守り通すようになると、俄然盛り上がる忍法バトル♪
    「のぼうの城」と同じ舞台設定(舞台というか場所と史実?)だとは後で知りましたが、先に読んでたのはこっちの方だし、あっちも悪くはないにしても、圧倒的に発想力に差があり過ぎて比べ物にならない♪ そもそも忍法帖だしw 規定の枠になど収まるワケがなく、暴走に次ぐ暴走が奇奇怪怪なSF伝奇ロマン風味でもあり、飽きることがない♪♪
    女性からすると読み進めるのがキツい場面が多々ある?かも知れないからオススメできないけど、痛快を突き抜けたような娯楽アクションを好む人ならば必ず満足するであろう傑作♪♪

  • 風太郎忍法帳の中では明るい雰囲気の一冊でしたね。
    もちろん最後には陰惨な殺し合いになるんですが。
    主人公よりまわりの香具師の方が、積極的に戦う理由もないのに、仲間と戦っているという点で、最後の殺し合いの結果が胸を打ちます。
    本作は忍城責めが舞台で、昨年映画化された「のぼうの城」と同じですね。
    違いを愉しむのも一興かと。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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