サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041002094
作品紹介・あらすじ
「能力」が消滅してしまった咲良田。春埼も相麻も普通の少女になった世界で、ケイにだけは「記憶保持」能力が残り、以前のことを覚えていた。たったひとつのことを祈り続けた少年と、二人の少女の物語。ここに完結!
感想・レビュー・書評
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端正な美しい小説だった。それは物語がすべて結末に向かって見事に収束しているせいでもあるが、なによりも誠実に生きることを志すキャラクターたちをリリシズムな文章で描き上げていることが一番大きいと思う。
デビューから完結までは一気に駆け抜けて、この素敵な物語をプレゼントしてくれた作者に深く感謝する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
彼らの能力やその根源となった想いというのは、欲望や願望と言うこともできるかもしれないけど、やはり祈りという言葉が一番しっくりきます。
大切な人のために、ただひたすらに純粋に祈り続けられる彼らは、やはり物語の主役足り得る強さや魅力に満ち溢れています。
なるべく濁りのないクリアな言葉を読者に届けようとする、初巻から一貫している作者の姿勢が非常に印象的で、
この作者の一読者で本当によかった、と思わせてくれました。
これからもできるだけ多くの言葉を私たちに語りかけて欲しいものです。 -
その市には、特殊な能力を持った人たちが混じって生活している。彼らはその市内でしか使用できないその力を使ったり、使わなかったり。「世界」を変えた管理局の人間に、「すべてを忘れない」ただ、それだけの能力を持つ少年、ケイが挑む。
シリーズ最終巻!わー!わー!すごく透明感のあるシリーズでとても好きだったのですが、最初から最後までその感覚を失わず、ラストまでいってくれた!ケイ自身の持つ「特殊能力」は、けして「忘れない」というその点ではなく、他人を知り、彼らが「どうすれば」ケイの望む道をとってくれるのかを理解し、さまざまな知り合いの能力を借り、その状況に持ち込む。いわゆる頭脳戦ですが、そのケイの「目的」はとてもわがままで、だからこそ美しい。美しいけどその方法は美しくはない。そこに魅了されて、完結まで見守ることができてとてもよかったシリーズでした!女性にも大々的におすすめ! -
文語口語違いの問題かもしれないが「てよだわ言葉」に違和感を感じるし
難易度でというなら濃淡度とか高低度とかいうべきでないかとか
どおでも良いことを思うくらいことばにこだわっている感じの文章と
当たり前で無垢な願いが、彼の本質だ。
サクラダリセット。聖なる再生。正しい方法での、世界の改変。
を衒い韜晦なく実行しようとするだけでなくしてしまうという内容が
奇妙な「透明な」味わいという名前の味である
作品全体を通してみると「マンガの(重要)『封神演義』みたいな」ファンタジーバトル小説なのだが
そうでない変なところに入っているという異で
『円環少女』などと同じく中高生向け娯楽小説であるライトノベルという場だからこその
まこと貴重な作品である -
ついに最終巻。今までのピースが全てハマっていくのは読んでいて気持ち良かった。全て必要な物語だったんだなと、改めて感じた。特に能力者が集まって対抗しようとする場面。それぞれの物語を知っているからこそ、この場面の良さが沁みる。
物語の締めとなる巻だから、抽象的な会話が多かったような気がする。どんなに考えても答えが出ないのに、延々と語り合っていて。その渦に自分もどんどん飲み込まれ、不思議な気分だった。結局、解決できているのかもよく分からない。でもシリーズが終わったことはすとんと飲み込めているかな。
一瞬、ケイは本当に我が儘で傲慢だと思った。自分でそう言っているけど、そこも込みで。「自分はこうしたい。これは僕の我が儘だけど。でもそうしたいから。」これで通っちゃうって、、自覚して、口にしている分、余計に我が儘で傲慢な気がした。坂上くんの言いたいことはとてもよく分かる。でもそこを気にしていると、この物語は読み進められないんだよな……
シリーズ全体の感想としては。いわゆる「セカイ系」と言われるジャンルは苦手なんだけど、シリーズ完走できたのは、それだけストーリーに魅力があったからなんだと思う。独特の臭さも徐々に気にならなくなった。たまにふと痒くなることもあるけど(笑)
あとシリーズの構成も良かった。過去が明らかになるタイミングや、それぞれの想いが明らかになるタイミングが、とても良かった。情報がスッと入ってくる感じ。そういう意味でも質の高い作品だと思う。 -
完結編。
透明感のある雰囲気、文章は相変わらず素敵です。
しかし、シリーズの最終巻、完結編ということで、なにかと複雑、というかなんというか。
話としてはひたすらに、共依存な三角関係というか、互いに互いを思いあうがゆえにすれ違うというか、つきつめるとシンプルではあるんですが。
良くも悪くもライトノベルっぽい冗長な語り口になってしまったのはちょっと残念。 -
シリーズ完結。数々の伏線がきれいに消化かされてすごかったです。ケイが、時間の巻き戻った春埼に記憶を思い出させるために起こした行動で、泣いてしまいました。名前の由来とか、わざわざ相麻と話をしたりとか。初めてケイが泣くのは春埼のためなんですね…。みんなの能力がうまいこと組わせて使われてて気持ちよかったです。問題が必ずしもきれいに解決したわけではないけれど、そこがまたいいのだと思います。みんなでこれから、咲良田をよりよくしていくのでしょう。
相麻とケイ、春埼の関係も、なんとかなってよかった。
小説の最後の文章、わけもわからず涙が出ました。スケールの大きな話でしたが、結局は、二人の女の子と一人の男の子の物語だったんだなと思いました。
春埼がリセットした間の耳目ことを思い出して、ケイに語るシーンは、すごく、よかったです…回りくどくて不器用で素直じゃなくてややこしい二人がしあわせになってよかった。春埼とケイの成長があたたかったです。これから相麻がしあわせになれますように。 -
初の二人表紙にテンションあがったな~。
因みに自分的音声イメージ
津島…大川透 ケイ…福山潤、入野自由、豊永利行、櫻井孝宏、千葉進歩、保志(ブレラ風)宮野(梶葉風) 春埼…花澤香菜 宇川…渡辺明乃 チルチル…