ローマ帽子の秘密 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002568

作品紹介・あらすじ

観客でごったがえすブロードウェイのローマ劇場で非常事態が発生。劇の進行中に、NYきっての悪徳弁護士と噂される人物が毒殺されたのだ。名探偵エラリー・クイーンの新たな一面が見られる決定的新訳!

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の「カッコイイお兄さん」エラリー・クイーンがサポート役にまわり、「ダンディーな親父」リチャード・クイーン警視が陣頭指揮を執る警察小説のような趣き。そこが意外だった。

    ブロードウェイのローマ劇場にて上演されている人気舞台劇「銃撃戦」の最中に、観客席で男が毒殺された。
    劇場はほぼ満席で容疑者多数。
    だが、クイーン警視と息子エラリーは死体発見時に感じたひとつの違和感から、ロジックをつなげて真相へと辿り着く。

    作中の謎のひとつに関しては、ディクスン・カーの某作を読んでいたので何となく予想はついていた。
    そして、ある捜査の過程では「あれぇ、あそこは調べないのかなぁ」なんてモヤモヤをかかえていた。
    そのわりには三歩あるけばすべてを忘れる鶏のような頭なので、犯人は予想外で結局驚いてしまった。

    ひとつの事象から論理を展開していくのが楽しい。
    要所要所でクイーン親子がディスカッションをして状況をまとめてくれるので、読者も一息ついてこんがらがった脳内を整理できる。

    最後の解決編で、ひとつだけ「あれ、そんな描写あったかな」と腑に落ちない点があったが、それも巻末の「解説」で文字通り見事に解説されていて唸った。そして、その部分こそが今回の新訳の大いなる意義であることがわかり面白かった。

    「のどごし」の良い文章で読みやすかったが、五百ページ近くの長丁場だったので、少々「コク」も欲しいと思ったのは贅沢か。

    古書マニアで推理作家のエラリーと、息子が可愛くて仕方がないといった感じの老警視リチャード。
    そしてクイーン家を切り盛りする若き執事ジューナもなかなかいいキャラで今後が気になる。
    『ローマ帽子の秘密』がデビュー作というのだから、この後の「国名シリーズ」のロジックはキレが増していくのだろう。楽しみだ。

    (ちなみに本作の原題は『The Roman Hat Mystery』
    「roman hat」でGoogle画像検索したら、なんだか派手なトサカのついた兜がいっぱい出てきて笑ってしまった。)

  • クールなエラリーが素敵すぎる(๑¯ㅁ¯๑)♡

    国名シリーズ第一弾!!



    XYZシリーズを読み終えて早10ヶ月…。
    その後すぐに購入したから、10ヶ月も積んでいたこちらの作品…(^_^;)

    早く読めば良かった…。


    ブロードウェイの劇場で殺人事件が起こる。
    客席で死亡していたのは弁護士。
    彼が身につけているはずのシルクハットが紛失している。
    なくなったシルクハットに事件の秘密が—?


    初めてエラリー・クイーン君が出てくる作品を読みました。

    これ、あれですね、エラリーというか、リチャード・クイーン警視が主役みたいな感じですね。

    部長刑事が『Q』と呼んでいる相手はリチャードだし。
    リチャードがエラリーを『エル』って呼んでるのも萌える…(º﹃º )♡

    エラリーは、でしゃばりすぎず、リチャードを立てながらも推理していく、2人で1人のような親子愛.☆.。.:*・°

    そしてエラリーは推理作家です。

    法月綸太郎シリーズは、リチャードとエラリーをオマージュしているんだろうなぁ。


    とにかく登場人物が多い!
    2ページにわたる人物名の下に、独特の紹介文が書いてあって、それだけでワクワクします!

    クイーン家の召使のジューナ少年も、これからどんどん出てきそうなキャラです。

    エラリーがそばにいないと寂しがるリチャードが可愛い…(๑¯ㅁ¯๑)♡

    『読者への挑戦』を受けるも、はなから推理を諦めていたので、スルー…
    漠然と決めていた犯人はいたけど、当然当たらず笑

    面白かったです!!

    ♡( 」゚Д゚)」<エラリー好きだぁ!!

    国名シリーズ、9カ国制覇するぞ!
    次は『フランス白粉の秘密』

    楽しみです(〃´-`〃)♡


  • 作家エラリー・クイーンのデビュー作、すなわち探偵エラリー・クイーンのデビュー作でもある。
    つい三ヶ月前に旧訳(1960年の井上勇訳)の『ローマ帽子』を読んだとき、正直とてもつらかった。中学生の頃読んだのだから多少訳が古くたって問題なかろうと思って読み始めたもののやっぱり読みづらく、エラリー恋しの気持ちだけでなんとか終わりまでいったけれども、エラリーの魅力もぼやっとしか感じられなかった。“本格ミステリー”と名高い初期エラリー作品「国名シリーズ」は私には荷が重いのか…と思った。
    ところがつい数週間前に新訳版の『エジプト十字架の秘密』(角川文庫、2013)を読んだらめちゃめちゃ楽しかった。この差は中身のせいなのか訳のせいなのか確かめたい気持ちもあって、同じ訳者による新訳版の『ローマ帽子』も勢いで読み始めた。新訳でも苦しかったら中身のせい(『ローマ帽子』がつまらん)だけど、もし楽しかったら、他の初期作品も新訳で読めば楽しい可能性大ということだ。
    そして結果は、するすると楽しく読み終わってしまった!同じ作品を違う訳で読むことだけでなく、推理ものを、犯人もトリックもまだよく覚えているうちに再読することも、はじめてだったかもしれない。後者の意味での面白さもあったとはいえ、やっぱり時代に合った「新訳版」ってすごいんだなと感じた。新訳ならなんでも良いのか、特にこの訳が好きなのか、ということまで考え出すと、創元推理文庫版も読まなきゃいけなくなってしまう。もしそれを本当にやるなら、国名シリーズの中のお気に入りを見極めてからかな。

    ・エラリー、その父リチャード・クイーン警視、その部下の警察の面々(ヴェリー部長刑事ほか)、サンプソン地方検事、プラウティ検死官補、といった主要レギュラー陣が生き生きと描かれる。刑事ドラマっぽい。

    ・エラリーもいいけどパパもいい。酸いも甘いも噛み分けた老練な警察官でありながら、息子を溺愛しており憚ることなく息子を自慢し息子に甘い。

    ・エラリーはインテリで自惚れ屋で引用癖のある生意気な若者で、台詞もいちいちまだるっこしいのだけど、エラリー以外にもそれなりにもってまわった口調のおじさんたちはいて、総じて会話がくどい。地の文までも時折くどい。そしてそれこそが、私のお気に入りポイントのひとつな気がする。あまりメジャーな作家ではない(と思う)が、森雅裕を初めて読んだときに、たっぷりの皮肉と少々のユーモアが入り交じったその文体に衝撃を受けて「こういうのもっと読みたい!」と思ったときの感覚がよみがえった。そういえばそれも中学生のころだった。中二だった。つまり厨二なのかこの感じは。厨二なのかも。

  • 作家エラリー・クィーンは、いまここにデビューした。

    「エラリー・クィーン」とはリーとダネイという二人の合作ペンネームと同時に、作中でも同名の作家が探偵役となるという、今ではよくある設定の先駆けのひとつ。

    リチャード・クィーン警視とその息子で作家のエラリー・クィーンのコンビが事件を解決することになるが、この作品ではまだ警視である父の存在感が強い。
    配下の警察官に鋭く指示を出しながら事件を明らかにしていく様子は、現在も多くつくられている警察小説の原点ともいえる。

    犯人は誰だ!いつ、どうやったのだ!
    まさに、謎解きを突き詰めていくミステリーの原点。

    「ローマ帽子の秘密」から国名シリーズが始まり、探偵エラリーは世界中の秘密を探っていく……さあ、始まり、始まり!

  • かの有名な国名シリーズ1作目。
    しっかりと読み込めば犯人を当てられる、らしい。
    帽子が見つからない理由や容疑者をどのように絞り混んだか等、説明されれば「なるほどなあ」となるのに読んでいる時は気づかない。
    クイーン親子が二人三脚で事件に挑むという設定も微笑ましい。

  • 初エラリーでした!
    本当はXの悲劇の予定だったけど買ったやつが文字が激小で目が死んだので次に買っておいた国名シリーズを読みました。
    通勤の時などにちまちまと読み進めていたので、犯人やトリックなど当てられなかったけど面白かったです。
    アンフェアにならない様に、というのは解説を読んで確かに難しい部分だなとは思うけどそれを抜きにしても警察小説的な部分もありながらミステリーだし何より親子が可愛い。
    引き続き国名シリーズ読んでいきたいです。

  • エラリークイーン初読。
    エラリーが主人公と思ったら、クイーンパパが主役っぽいのね
    帽子ミステリー云々は、もちろん良かったけど、それ以上にクイーン親子のキャラや関係性がとても好きだった

    ただ、生粋の日本人な私は、カタカナの登場人物の名前が頭に入らない……
    最初の登場人物一覧を行ったり来たり……。

  •  国名シリーズを新訳で読みなおそうと思い立ち、第1作のローマと最終作のスペインを一緒に買う。
     いずれも中学生のころ読んでいるのだが、ローマに至ってはすっかり忘れている。
     井上勇訳のエラリーは父に丁寧語で接していたような印象がある。新訳ではぞんざいな口調である。ナマイキ盛りのエラリーならさもありなん。
     翻訳ミステリーでは、作者の仕掛けた罠に訳者が気づかず、謎解きを妨げる場合がしばしばある。
     クイーンに限らず、ミステリーの翻訳には監修者が必要ではないか。

  • 江戸川乱歩に続き、装幀に今だと呼ばれ読む。

    とっても、とっても面白かった!名作というのは訳や編が合わないとまるで楽しめないので、これは幸いでした。
    コロコロと態度の変わるリチャード(エラリー不在時の不機嫌さは思わず恋人かよ!十代の!と突っ込んでしまった)も生暖かく見守れるし、エラリーの行動と言葉は嫌味なく興味深い。
    刑事ひとりひとりも職務に忠実な様、容疑者たちの人間くささ。
    ジューナとの親子の空気。
    警戒していた苦手な外国人名も、読んでいる間は殆ど混乱せず。

    肌に合う小説がシリーズものだと、嬉しさは跳ねあがる。

  • ☆4.2

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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