人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか? (角川文庫)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002582

作品紹介・あらすじ

「人物破壊」というキーワードから、政治家・小沢一郎を巡る騒動の背景に国家を支配する非公式権力の姿が浮かび上がる。検察とマスコミによる異分子の抹殺、民主主義を揺るがす日本型スキャンダルの罪、戦後日米関係を左右する密約の正体とは?日本の権力構造を見つめ続けるオランダ人ジャーナリストが「画策者なき陰謀」の正体を喝破した問題書。改題し、小沢一郎と著者の公開対談、震災後を論じた序文を新たに収録。

感想・レビュー・書評

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  • 【要約】


    【ノート】

  • 何を信じれば良いのか。311以降マスコミなんかは信じられないことが分かったが、出る杭は打たれる日本の慣習にヘドが出る…

  •  オランダのジャーナリストであるウォルフレン氏は「人間を幸福にしない日本というシステム」を筆頭に、極めて挑戦的な著書が多い。反体制的な書籍は国内外を含めて、あるいは何時の時代においても語られる内容に大きな違いがあるわけではない。体制に対する声というものは、古今東西それほどの大きな違いがあるわけではないということである。現在の状況を見ると「他人の話に耳を傾ける」権力者というものは存在しないのではないか、と絶望的な気分に陥る。別の言葉を使えば「他人の話に耳を傾けるような人間は権力者には向かない」ということなのかもしれない。

     長期にわたって繰り返されているウォルフレン氏の日本における体制批判をこころよく思っていない人も多いように思う。しかし、そうした論調こそが同氏の言う批判の骨格となっているのではないか。脅威となる人間の排除。しかもそれがひっそりと行われるということが大きな問題である。もっとも現状を維持したい人間からすれば「脅威となる人間」の存在自体が問題なのだろう。こればかりは水掛け論となり結論が出るということに期待は持てない。

     小沢氏失脚のタイミングと強制起訴に至るまでの経緯に違和感を感じた人は多いのではないか。この手の話題に触れると「お伽話のような陰謀論はやめてもらいたい」として非難されることが多い。しかし、どんな人間でも自らの意思で動いている以上「陰謀」という言葉がそこに入り込んでくる余地があることは否定できないはずである。国や会社というシステム内での活動でも、最終的なバックボーンとしては「従うか否か」という判断が含まれるという意味で、人の意思は「陰謀」として発現することもあるように思う。ちょっとした思惑が後になって「陰謀」だっと評価されることはそれほど珍しいことではない。たとえ本人が意識していないとしても。

     彼らは「変えようとする力」が弱いうちは無視を続ける。それは平和な光景に映るかもしれないが、一部の人間に多くの物事を支配されているということであり、決して健全な状態であるとはいえない。なぜかと言えば、そうした状態は単一の方向以外に動く可能性が極めて少なく、状況が画一化されることによって、多彩な方法を探すという手段が抹殺されていることとなるからである。そんな世の中でいったいどんな問題が解決されるというのだろうか。

     司法、行政、立法に加えて第四の権力たるマスコミですら画一化された状況は「認識」しておきたい。報道されたときには多くの関心が寄せられる。しかし、そうした事実の後日談はいったいどこにいってしまったのだろう。多くの事実が曖昧なまま闇の中を彷徨っている。こうした事態に対応するには個人個人が与えられる情報のみに満足することなく、自ら情報を追求する術を身に付けること。仮に同じ横暴を受けるにしても、多くの事実を認識したか否かという要素はその意義において大きく異なる。それはそのときの精神状態にも、今後の行動にも大きく影響するのではないかと思う。

  • 小沢一郎に対する一連のバッシングの背景が良く分からなかったが、本書を読んである程度納得がいった。

    世間には小沢一郎=悪というイメージが定着しているような雰囲気があるが、そもそも、小沢一郎のどこが悪いのかと聞かれたら、マスメディア報道がもたらす表層的な印象であったり、できもしないマニフェストを掲げたなどの感情論でしか答えられない人がほとんどだと思う。

    小沢が無罪となったことや大阪地検によるデータ改ざん問題など、
    検察の胡散臭さは何も陰謀論じみた虚言ではないなと多くの人が気づき始めた今、小沢一郎を敵視する背景はもっと議論されて良い問題だと思う。

    最後に、あからさまな権力闘争を仕掛けている橋下徹は大丈夫なのか、と感じずにはいられない。

  • センセーショナルなタイトルに惹かれ手に取ったが、どうも、小沢氏は、材料で、言いたいことは、日本の歪んだ統治システムのようだ。いわば、社会的リンチ!

    村木さんは、危うく難をのがれたが、田中角栄、江副浩正、鈴木宗男、ホリエモンも、犠牲者。
    橋下氏も危ないな。

    ◼山県有朋が始め、平沼騏一郎が完成したシステム
    ◼画策者なき陰謀
    ◼主人は、不文律であり、正義ではない。法律は、単なる手段!

  • 小沢氏の政治資金問題を取り上げつつ、日本における「出る杭は打たれる」現象を説明。
    陸山会問題を終始取り上げるというより、日本社会がリーダーを求めてると言いつつ、いざそのリーダーが現れるとスキャンダルを発生させるという点を指摘。
    その中において、メディア主に新聞等ジャーナリズムと検察が手を組んでそのリーダーを潰すという。

    ジャーナリズムと検察のタッグや、アメリカの日本に対する企みなどは、さすがに眉唾ものだと感じてしまったが、往々にして、有名になった有力者にスキャンダルが生じ失脚することや、横並びの報道、恣意的に運用できる法律などは納得出来た。
    五五年体制を始めとして、アメリカが創始したシステムや体制が依然として幅を利かせて、改革見直しが進んでいないのも問題だと思う。

    いずれにしても、大局的な視点と展望を持ち、かつそれを実行する政治家が少ないこと、また国民も自ら学び検証しアクションを起こさない、という点が改善されない限り、日本的な歪んた民主主義は改まらないと感じた。

  • ウォルフレンは肩書きがジャーナリストなんだけど、どういう取材対象にあたっているのかその著書から見えてこないので、記述から推測の部分を切り離すことが難しいな。この本では、山縣有朋についての考察を、もう少し詳しく書いて欲しかった。

  • くだらん。少しでも意味のある弁護が読めると期待して読んだが、何一つ響かなかった。
    途中でやめてしまった。

  • 大手メディアに流される情報操作。

    その裏側を知らせない為に作り上げるキャンペーン。

    情報感度の薄い一般人に刷り込みを与える。


    この本を読んで、改めてしっかりと情報を取得しないといけないと思った。

    情報に流されぬよう、情報の取捨選択が出来る環境づくりは今後の未来の為に必要。


    特に政治によってビジネスは左右されるのでオススメだし、どんなコトが裏で起こるのかも1つの情報としてみれる。


    政治好きにはオススメ!!

  • 小沢スキャンダルを巡る胡散臭さは実は「正しきものが見えない」ところにあると思う。


    検察は無理筋な取り調べで事件をでっち上げた。
    マスコミは右も左もすべてがはじめから小沢はクロと決めつけた。
    民主党内部は真っ二つに割れた。
    小沢自身も4億円の扱いが杜撰すぎて国民が納得いくようには説明できていない。

    小沢が中国に接近し、天皇を蔑ろにした(ように報道された)ことで、保守、右翼、アメリカのサイドからは敵視されたのは分かる。
    では左寄りの朝日を始めとする親中サイドからは擁護されてもいいのではないかと思えるが、それもない。

    小沢を擁護するのは本書のように「アメリカ陰謀説」に依るしかないのだろうか。

    どうもすっきりしない。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1941年、オランダ・ロッテルダム生まれ。「NRCハンデルスブラット」紙の東アジア特派員、日本外国特派員協会会長等を務め、世界の各紙誌に寄稿している。

「2012年 『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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