山椒大夫・高瀬舟・阿部一族 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041002872

作品紹介・あらすじ

安寿と厨子王の姉弟の犠牲と覚悟を描く「山椒大夫」、安楽死の問題を扱った「高瀬舟」、封建武士の運命と意地を描いた「阿部一族」の表題作他、「興津弥五右衛門の遺書」「寒山拾得」など歴史物計9編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 後半漢字が多すぎるストーリーは、病気の身体を休めるのには、まったく向いてなかった。健康だったら読めたかと言ったら、それも疑問だけど。
    「高瀬舟」の話は良かった。足るを知る、という言葉は知ってはいても忘れてしまうことが多いが、このストーリーを読んだことで、今後は、頭の片隅に、夜の舟の上のシーンが蘇ってくるだろう。

  • 山椒大夫に売られた安寿と厨子王の姉弟の話。母に再会する涙の話のように覚えていたが、姉の安寿の機転で逃げ延びた厨子王が出世して政道を正しくし、人身売買をやめさせ、そして偶然母に再会という淡々とした話だった.高瀬舟は安楽死を取り上げていて、苦しんで自殺しかけた弟に頼まれ、楽に死なせてあげる喜助の話だが、殺人幇助だが現代でも十分考えさせられる話だ。阿部一族は殉死の矛盾をついた話。同じく主人の跡を追って自害したのに、周りの冷たさ、薄情さは悲劇としか言えない。最後の一句や 寒山捨徳など短い話だけど ふっと笑える話。森鴎外の作品は、現代文に慣れた僕には最初読みづらかったが、脚注を見ながら読み進めると面白いと思った。でも、正直短編だから読めたのだとおもう。

  • 右の手には守本尊を捧げ持って、俯伏した時に、それを額に押し当てていた。

    (山椒大夫/じいさんばあさん/最後の一句/高瀬舟/魚玄機/寒山拾得/興津弥五右衛門の遺書/阿部一族/佐橋甚五郎)

  • 『高瀬舟』
    安楽死がテーマの話だった。
    しかも、江戸の本から拾ってきた話だそうだ。
    そんなに昔から「安楽死」が問題提起されているとは知らなかった。
    苦しむ人を死なせて楽にしてやることは悪か。
    そのテーマが人を昔から悩ませていることに私は安心を覚える。

    『山椒大夫』
    この母さんはどうしてお財布を他人に預けたりしたんだ?と思うが、森鴎外的にはそれが高貴な人のイメージなのかもしれない。
    人買いにさらわれると気づいた瞬間に入水した召使いと弟だけは寺に逃して、女だから寺に入れない自分は自殺した姉は現実派だなぁと思った。
    ぼんやり派の母と弟だけ生き残って、再会してもあんまり喜べないんだよな。

  • 難しい。歴史小説に傾倒していたらしいが、流石に読みにくい。注釈がわからないことも多いくらいである。

    辛うじて読めたものからは、どの時代の人間の描写にも通ずるところはあるということを感じる程度。

    作品名と作者の名前だけを見聞きしていてやっとその文章を読んだ高瀬舟はこういうことかと少し驚いたが、高瀬舟でも阿部一族でも山椒大夫でも、どこでも、なんて今より決意の硬い人間たちであり、価値というか、事象の貴重さみたいなものについての理解のない、「昔の情報の人」という感覚。ただし普遍性はあって、考えることはある。

  • 歴史小説ということで、そのような人物がいたのだ。実在したのかと。思う。武士の殉死などは、私には理解できない部分もあった。

  • 澤瀬甚五郎等鴎外の短編傑作集

  • たまたまだがアチェべの『崩れゆく絆』を読んだ後で、本書を読んだ。『崩れ行く絆』は、ナイジェリアの伝統的共同体が白人とキリスト教によって崩壊していく様を描いている。ナイジェリアの呪術が支配する村は、本書で描かれる、やたらと人の死ぬ、あるいはやたらと死にたがる、西洋的なものの考え方の入ってくる前の日本の姿とどこか通底している。作者は非西洋的な世界を近代の価値観を知った目で見ている。ことさらに懐古したり美化するのではなく、どこか突き放したように描いているでもあり、失われたものを嘆いているようで、同じところに立っているとは言えないか。

  • 未読だった山椒大夫を読みたくて。
    安寿、獅子王という名前が良かった。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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