ダブル・ジョーカー (角川文庫)

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著者 : 柳広司
  • KADOKAWA (2012年6月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003282

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米澤 穂信
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ダブル・ジョーカー (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 太平洋軍司令部に勤務する元陸軍将校が、交際相手の中国人留学生に核兵器に関する機密を漏らしたらしい。所謂ハニートラップ。32歳下の美女によほど惚れ込んでいたのだろうか。

    ハニートラップなら楽しんだ時間はあるだろうが、こちらに登場するスパイは怖い…。D機関は「死ぬな、殺すな」の教えを部下に叩き込み、相手の裏をかいて暗躍する。どちらかと言えば男性読者に好まれそうなお話である。実際、結城の格好良さには痺れる。

    ハニーどころか謂れのない悪意に陥れられ、仲間は敵陣に特攻隊として派遣されることになり…虎の威を借る狐の作戦に不安ばかりの日々。フィクションならいいが、実際身に降りかかると胃痛のタネだ。

    だからって思い通りになんか、なってやるもんか。

  • タロットカード『魔術師』のアルカナには、強い意志、緻密な計画性、機知、適応能力、手腕、外交、策略などの意味があるらしい。
    魔王・結城中佐の現役当時のコードネームが『魔術師』であったことは決して偶然ではないだろう。

    登場は僅かであっても圧倒的な存在感を醸す『D機関』のボス、結城中佐。彼の伝説のスパイ時代と、一瞬垣間見える情を描く『柩』のエピソードが良かった。

    諜報活動の真の成功とはスパイの存在を認知させないことにある。
    その意味において、スパイ組織『D機関』の面々を主人公に据えながらも人物を直接に描くのではなく、背景を塗り、輪郭を丁寧に縁取っていくことによって実像が浮かび上がってくる構成が多いのが、このシリーズの面白いところだ。

    シリーズファンとしては、超人的な集団なので窮地に陥っても必ずや成功するであろうという安心感や慣れが出てくる。しかし、その限りではない。「死ぬな、殺すな」がモットーの組織であっても失敗は死を意味する。

    単行本未収録の『眠る男』は、前作『ジョーカー・ゲーム』を読んだ人ならニヤリとするはず。

  • 前回読んだ時に、第1弾でやめた自分を殴りたい(笑)
    とてもおもしろいじゃないかっ!
    今回はD機関のライバルが出てきたり、結城中佐の過去がわかったりと、盛り沢山でした。
    それにしてもいつも「この話に、D機関はどんな風に絡んでくるんだ?」とワクワクさせてくれるなあ。
    最後の「眠る男」も、「あっ、あの話のB面的な!?」と嬉しくなっちゃいました。

  • ジョーカーゲームの時のように、d機関無双…というほどでもなかった。冷たい血が流れているような人間味が失われたスパイでも、ひょんな事から人間味が出てきてしまうところもある。人間こ脆さのようなものを感じた。

  • スパイ小説が 大戦時期を背景にして
    このように、巧みに えがかれると、引き込まれていく。
    日本という国の立ち位置が いろんな角度から
    見ることができる。

    ダブルジョーカー。
    風戸陸軍中佐は、諜報機関の設立を具申していた。
    阿久津陸軍中将が、風戸を直接呼び、諜報機関をつくることを任命した。
    その理由は、結城中佐がつくったD機関が目覚ましく
    成果を上げていくことに危機感を持ったのだ。
    風戸は、D機関の『死ぬな』『殺すな』が、気に食わなかった。
    元英国大使白幡樹一郎が スパイの容疑で 調査しろ
    という命令がくだされたが。
    圧倒的に 結城中佐が スパイとして姿をあらわさずに、
    任務を達成する。
    まぁ。旅館の女中と侮ったのが ウンの尽きですね。

    蠅の王
    慰問団の一行が 二重スパイを摘発すると警戒していた。
    慰問団は 荒鷲隊をわらわしたい。ということで、結成されている。
    ダジャレに次ぐダジャレ。関西のノリだ。
    脇坂軍医は 兄が 特高に殺されたことで、静かに 潜行した。
    社会的不公平を理論的に説明する。ふーむ。
    だれが 摘発する担当者なのか?

    仏印作戦
    陸軍と海軍が ベトナムに視察団をおくる。
    そこでの 通信の役割をする 高林。
    無線機をもたない陸軍の愚かさ。
    容易に 巻き込まれる 高林。そりゃ、分かるでしょ。

    柩。
    結城中佐のできた はじまりが 描かれる。
    舞台は ドイツだった。死なないという信念が、結城中佐を助ける。
    予測できない不意の『死』に対しても、対処する。
    整理整頓することで、身を守る。

    ブラックバード
    D機関で 養成された 仲根は、バードウォチィングで、
    つながりをつくっていく。
    アメリカ西海岸における 諜報活動。
    その潜入の仕方が 巧みで うまく潜り込むが。

    スパイは 発見されないこと という 基本が
    物語の 構成が うまく、こんなところに 結城がいた
    と思えるようにつくってあるが すばらしいなぁ。

  • 「柩」に胸を打ち抜かれる。スパイの生き様の孤高さをこれでもかと見せつけられた気分。

  • D機関に対抗するように陸軍内部で作られた、もう一つの諜報機関。
    どちらが生き残るか…
    表題作が面白い!

  • やっぱり滅多なことでは表舞台に出て来ない結城中佐、かっこいいいい!でも、出し惜しみしつつ、ちゃっかり美味しいところは持っていきます。そんな中佐の勿体ぶったような登場の仕方が…好っきやねん…←

    中佐単推し(笑)の私のお気に入りはもちろん、表題作です(^p^)相手を飄々とやり込める中佐が凄く素敵なのです…
    あとはやっぱり、中佐の現役スパイ時代の「柩」でしょうか。敵方の手に落ちて拷問を受けるだって⁈ごちそうさまでーす!←
    と思わせて置いて、やっぱり中佐は若くても中佐なのでした←

    その他の作品は、結城中佐の部下達の活躍っぷりと、その影に見え隠れする中佐のラスボス感をたっぷり楽しむという、前作同様の短編集です。ここまでライトに読めるスパイ物ってないんじゃないかなあ。と思ったけど、そういえば私、スパイ物読んだことほとんどなーい\(^o^)/←←

    時代が徐々に太平洋戦争に近付いてきたのがちょっと気になりました。
    いざアメリカとの戦争始まったら、日本人は敵国で諜報活動ってできないよね、多分。戦時真っ只中の結城中佐の動向がとても気になりました。
    どっちかというと、戦争真っしぐらの軍部とは距離を置いて、停戦or終戦に尽力しそうだよね。っていうのは、夢見過ぎかしら…。見過ぎだな…。



    「躊躇なく殺せ。潔く死ね」
    結城中佐率いる「D機関」の存在を疎む軍部の意向で、もう一つの諜報組織「風機関」が設立された。エリート軍人のみで構成された風機関のメンバー達は、任務遂行の為なら自死も厭うべからずと教育されていた。
    そんなある日、D・風両機関に、同じ任務が与えられる。D機関を失墜させるチャンスに、風のメンバーは意気込むが…。

  • “D機関”の暗躍目覚ましいなか、陸軍内に新たに設立された秘密諜報組織“風機関”。しかしジョーカーは二枚も要らない。陸軍は“風機関”を使って“D機関”の追い落としを図るが――。陸軍内から至極優秀な若者ばかりを集めた“風機関”だが、“D機関”はそれをはるかに凌駕すること、まさに悪魔の如しと言ったところか。表題作『ダブル・ジョーカー』のほか、「わらわし隊」が慰問する中国戦線。その前線に潜む共産スパイを、“笑わぬ男”が追い詰める『蠅の王』。
    日本軍によるインドシナ侵攻前夜のハノイを舞台にした『仏印作戦』。
    ベルリン郊外で起きた列車同士の衝突事故。そこで死亡したひとりの日本人青年の正体とは。“スパイの死”を巡り、ドイツ軍情報部のヴォルフ大佐と、彼が過去に逃した日本人スパイの因縁を描く『柩』。
    “世界が裏返る”……スパイが存在意義・または役目を失い、ただ、一人の青年へと否応なく立ち返ることになるその時を感傷も悲嘆もなく描く『ブラックバード』の全五篇を収録。

    ――この世界には狩るものと狩られる者があるだけだ。

    それはどんなに優秀だろうと、先が見えていようとも、“スパイは歴史を変えられない”が、彼らのもたらす情報は、国と国との戦争の、その状況を大きく変える。だからこそ、スパイの戦いは決死となるが、運命は非情だ。
    一巻目と裏腹に不思議と“D機関”の存在感が薄い。しかし要所要所でスパイの非情な宿命を見せつけるシリーズ二巻目だった。

  • ジョーカー・ゲーム第2弾では、非の打ち所がないように見えて、エリートの自負、過去、理想といった様々なものに足元をすくわれて敗れ去っていく敵味方のスパイたちが描かれる。
    完璧だったはずのものが、ミクロの亀裂によって呆気なく崩れ去る。そんな敗れ去るスパイたちの姿に、憐れみと、一抹の人間味を見たというホッとした感情が同居する。この読後感がクセになる。

  • やはりわくわくする作品でした。
    スパイ対スパイの駆け引きがとても面白く、ページを捲る手が止まりませんでした。

  • 「ダブル・ジョーカー」

    ジョーカー・ゲームの続編!スパイのお話し。
    大成功するスパイもいれば、失敗してしまうスパイもいる。。

    駆け引きがなんとも面白い。

    本当に戦時中はこんなスパイが存在して、他国の情報をリークしたり、二重スパイがいたりして、情報をかき回したりしてたのかなぁ?

  • 正直前作ほどではないかな。やはり、設定に慣れ驚きが少なかった。あり得ない人物設定をここまで読ませる筆力はさすがだが、あまりに非人間的すぎる。近くにいたらお友達にはなりたくない。

    続編読むのどうしようかな。結城中佐の結末を見届けたい気もするが・・・。

  • ジョーカーは、2枚要らない。
    どちらが勝ち残るのかは自明だというのに、こんなにもわくわくする!
    狩るものと狩られるもの。その立場は簡単に入れ替わる。結城中佐かっこいい。素敵。
    スリーパーが、無事眠りに戻れたようで良かった。

  • 短編集。
    「ダブル・ジョーカー」
    同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ。
    "D機関"に対抗して作られた"風機関"。
    風戸は、結局スパイ機関を束ねるには経験も器も考え方もすべてが浅すぎた…という感じがした。
    自分の方が優っていると思った時点で、風戸の負けは決まっていたのかもしれない。
    「天保銭は使えない…」
    意味深なこの言葉に込められていた揶揄を、もちろん風戸は知っていた。
    エリート意識の象徴のような天保銭。
    風戸の負けを決定付けたものが、その天保銭だったことが面白い。

    「蝿の王」
    誰の手で、いつ、どんな情報が流れたのかさえ把握していれば、情報戦はむしろ有利に進められる。
    その上、敵の秘密通信手段を使って偽情報を流すこともできるんだ。
    スパイは手にいれた情報を伝えなければ何の意味もない。
    通信手段がとぼしい時代、前線での情報伝達の方法はスパイのレベルの高さを測るほど重要なものだったろう。
    「死ぬな、殺すな」
    結城によって叩き込まれた平時におけるスパイの鉄則。
    …殺したろ。
    何の罪もない人間を、スパイ活動のために殺害し罪の意識もない。
    "D機関"中で徹底されている結城の教えに比べると、他のスパイたちの行動がやけに素人臭く感じてしまう。

  • ハードボイルドだ。。。

    やっぱり男性向けの小説だなぁと思う。
    読みにくいわけではないが、自分はあまり得意ではない。

    短編だし、好きな内容ではないのに最後まで読んでしまった。
    最後まで読ませる何かがあるんだろうなぁ・・・。

    最後の一話にホっとして、★★★★。
    ↑こういう一話は大好きだ!

  • 第2弾として読了。明るい部分は一切なく、人と人との心理戦。マンネリ感を感じるし、パターンがわかり始めてきた。D機関なんとか読者の期待を裏切るシナリオを期待して、第3弾に突入したい。

  •  ジョーカー・シリーズの続き。ダブル・ジョーカーは、タイトルからして、D機関と対等のライバル機関が出てくるかと思ったのですが、やっぱ結城中佐は強かった。同時に、このシリーズは強敵とのやり取りというより、D機関スパイのすごさを堪能する話なんだな、と思いました。風機関、スペアにたとえるには役者不足に過ぎる。
     時代背景とスパイ事件との絡みは、「蠅の王」が興味深かったです。「柩」はスパイものとしてのロマン。アニメはこの話がめちゃめちゃ好きです。あのアレンジの仕方はずるい……思い入れ倍加してしまう……!「眠る男」は、スパイの動向がどうっていうより、あの時代背景でお話を入れたかったのかなぁと。今後も含めて「とらわれるな」を題材にした話は何本かありますが、難しいよねぇ、とも。

  • 対象者には自らの存在を完璧に悟らせず、徹底的に「見えない存在」でいるD機関の優秀なスパイたち
     とんでもなく用意周到に、かつ確実に対象者を踊らせてしまうのがすごい
    (華麗に踊らされた風機関の人たちはアニメより1.5倍は滑稽だった)

     収録作品のうち「ブラックバード」は、「柩」とほぼ同時期というところが興味深かった
     完璧であるはずだったスパイ活動が、重なってしまった不運のために起きてしまった誤算……
     突然の終焉が切なく、これから日本が転がり落ちていく先を思うと悲しい……

  • ジョーカーゲームの続編
    とは言っても各話オムニバスなのでこれから読み始めてもまったく問題ナッスィング
    今回はD機関に対抗する組織も出てきたり、D機関の人でもミスしたりな感じ
    それにしても、主人公がD機関外の人の話は誰がD機関の人なのか予想がつかぬ
    まぁ、「まさかこの人が?」と思われる人ではない人がホントのスパイという、将にD機関の方針のような展開なわけだけれども

    あと、主人公がD機関の人だと、なにがしかのミスが描かれてる気がする
    本人たちだけではなく他の組織も含めてね

    アニメ化されてない話も載っていて、ジョーカーゲームよりは新鮮な気持ちで読めた
    まぁ、アニメ化されなかった理由は邪推できるような部分もあるね

  • ヤバい。面白すぎる。
    第1話なんて、絶対こいつ出し抜かれるに決まってる、その情報提供者が怪しいってば、と思って読んでるのに面白い。
    結城中佐の現役(今でもそうとも言えるけど)時代の話、前作の大脱走の裏話、どれも全部ドキドキワクワクする話ばかり。
    続編も必読。

  • ジョジョ三部のジョースターさんばりに「オーマイゴッド」と叫びたい。そのあと、机ないしテーブルをばしばしと叩きながら、「なぜ、なぜ!」と悔しがりたい。そののち、無言で涙を流しながら、この出会いに感謝したい。

    つまり、もっと早くにこの本を読みたかった、ということです。第1作目と同じく、めちゃくちゃ楽しかった。読んでいて、面白いというよりかは、楽しいと思わせてくれる作品。
    表題にもなっている「ダブル・ジョーカー」はアニメのエピソードにも組み込まれましたが、少し脚色されているので、なるほどここを使ったのかとアニメ制作陣の手腕も同時に知れて楽しいです。「ロビンソン」の裏側が見られる「眠り男」も面白かったですし、後味の悪い「ブラックバード」も好きでした。が。

    今回収録されている話の中では、ダントツで「柩」が好きです。タイトルがまず秀逸。死ぬな、殺すなを信条とするD機関のスパイたちですが、彼らだってやはり生物学的には人間。いつか死が訪れますし、肉体だって不老不死ではない。でも、その誰にも平等に起きる死の瞬間でさえ、あれだけのウィルパワーを発揮できるのは、やはり尋常ではないと思うのです。
    整頓された家に無造作に置かれたアスピリンの錠剤や、書類にうすくかけられたタルカム・パウダー、ネクタイに止められたピンの位置。あえて自分の印象を薄くする。自負は持ちつつも、自分を駒のように扱う無慈悲さ。
    シリーズの中でたびたび語られる、「自分にはこれくらいできてあたりまえだ」という感覚は、もしかしたら、彼らに残された唯一の生きる方法なのかもしれません。

    平凡な人間は、特異な才能を持つひとを憧れ、妬みますが、普通になりえないひとは、拭いきれない孤独の中で生き続けなくてはいけなくて、それは想像を絶するしんどさなのではないでしょうか。
    遺体の目を閉じた結城中佐は、それを誰よりも知っているんでしょう。

  • 20160531
    前作とは違う面での彼等の話。苦しいお話がいくつか。苦しいけど好きだという理由で★5つ。
    ★★★★★

  • 『ブラックバード』以降のD機関がどうなっているのか、非常に気になる終わり方でした。

  • 前作に続き、サクサク読めて気分転換にぴったり。

    先が読めてしまう展開もあるものの、読めてしまってシラケる本と、わかっていても尚おもしろい本とがある。この本は後者なんですよね。


    「柩」では、たった2行の中に、決してなにものにもとらわれない魔王も、やはり人間であることがじんわりと込められています。

    「眠る男」は[協力者]となる人たちも、自分が誰のためになんの役目を果たしているのか知らないという、一見あり得なさそうな構造の実体。前作を読んでないと成立しないですが。

    結城中佐の日常が知りたいですよね。
    朝は顔洗うのが先?歯磨きが先?
    夏場は手袋蒸れて、手をパタパタさせる?とか。

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ダブル・ジョーカー (角川文庫)の作品紹介

D機関シリーズ第2弾が文庫化!

結城率いる異能のスパイ組織”D機関”に対抗組織が。その名も風機関。同じ組織にスペアはいらない。狩るか、狩られるか。「躊躇なく殺せ、潔く死ね」を徹底的に叩き込まれた風機関がD機関を追い落としにかかるが…。

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