氷点(上) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003404

作品紹介・あらすじ

辻口病院長夫人・夏枝が青年医師・村井と逢い引きしている間に、3歳の娘ルリ子は殺害された。「汝の敵を愛せよ」という聖書の教えと妻への復讐心から、辻口は極秘に犯人の娘・陽子を養子に迎える。何も知らない夏枝と長男・徹に愛され、すくすくと育つ陽子。やがて、辻口の行いに気づくことになった夏枝は、激しい憎しみと苦しさから、陽子の喉に手をかけた-。愛と罪と赦しをテーマにした著者の代表作であるロングセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生の時に出会い、続編も含め繰り返し読んできた作品。テーマは「赦し」。ヒロインの陽子を始め、それぞれが抱えた困難な「赦し」にどう対峙していくか、夢中になって読んだ。自分が成人してからもまた手に取っているのだから、よほど人を引き付ける、時代を越えた秀逸な作品なのだと思う。加えて北海道の美しい風景が心を捉えて、物語に彩りを添えている。北海道への憧れを何度持ったかわからない。ちなみにドラマ化も繰り返されており、玉置浩二さんの楽曲「氷点」もすごく作品にあっていてとても好きだ。

  • 湊かなえさんのエッセイに出てきて気になっていたもの。三浦綾子さんは初めて読んだ。とても引き込まれて先が気になる物語。

    話は辻口病院の院長啓造とその妻夏枝の3歳の娘・ルリ子が殺されたことに端を発する。当時の夏枝の行動が許せない啓造が、夏枝に秘密でルリ子殺しの犯人の子供を引き取る。それを7年後にたまたま知ってしまった夏枝が、今度は啓造を陥れたいと目論み始める。上巻は本州の学会に出席しようとひとりで船に乗った啓造が、台風に巻き込まれ難破しながらもなんとか生き延びたところまで。

    愛し合い慈しみあうはずの夫婦が、お互いを裏切り貶めようとする様、またどこか相手のことを思い違いしてすれ違っている様に、人間のやるせない性を感じた。ドロドロとした人間臭さがある。
    下巻でどういう結末になるのか気になる。

  • ミドルティーンの頃、読んだ小説。友達のおすすめだった。大人になってから、職場のセンパイに、   君は、僕の氷点だ! と言われ、頭の遅い私は、?となった想い出がある。今、え、どういうこと、とわからなくなった。…本作をもう一度読み返したい。

  • 嫉妬深い啓造がネチっこすぎる。
    みんな人間味溢れていて憎めない。
    後半展開が面白くて一気読み!
    下巻につづく。。。

    1964年から1年間、朝日新聞の朝刊に連載される。
    1966年には連続ドラマ化。
    平均30%以上の視聴率を記録して、
    最終回は42.7%という大ヒット作。
    (Wikipediaより)

    こんな話が新聞に連載されていたら
    続きが気になって毎日早起きするだろう。
    そして次の朝が楽しみで早く寝るだろう。
    私なら夜中新聞配達員を待って寝不足決定!

  • 友人からのおすすめの本でした。
    とても、面白く、すぐに、続きを、読もうとおもってます。三浦綾子さん、他の本も、本棚に、並んでいます。
    ハマりそうです!楽しみ!

  • これは面白かったです。のめり込んじゃいました。
    再読もして「名作だなあ」としみじみ思った本です。

    ちなみに続氷点はイマイチな内容です。(笑)

  • いつかは読みたいと思っていた作品
    聖人であろうとする思いと家族への憎悪との間の
    生々しい葛藤がありのままに描かれている
    善と偽善で揺れ動く心理描写が秀逸

  • 欲望、嫉妬、罪悪、、、
    人間のなかに渦巻く心理を表現した文章はうなずけるものがありました。
    最終的にはまた誰かが死んでしまう結末なのか。辻口家が幸せになることは想像できない。

  • 崩壊することが人為的に決定づけられた家族の物語を読む、こんなに辛いことはなかった。

    愛のない、むしろ憎しみが充満するお茶の間に、まるで自分がいるかのような臨場感と没入感があった。

    突き詰めて考えると不幸の原因は、啓造の精神的な弱さに端を発している。そして村井の無責任さにも腹が立つ。未成熟な男たちに振り回される子どもたちが不憫で仕方なかった。

    人間の弱さが長い年月をかけて不幸の種に水をやるような、そんな物語だった。

    (続きは書評ブログでどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%86%8E%E3%81%97%E3%81%BF%E3%81%8C%E6%BA%80%E3%81%A1%E3%82%8B%E5%AE%B6%E5%BA%AD_%E6%B0%B7%E7%82%B9_%E4%B8%8A_%E4%B8%89%E6%B5%A6%E7%B6%BE%E5%AD%90

  • 北海道の旭川を舞台にした医師の家族の愛憎劇。
    敬虔なキリスト教徒であった著者の思想が深淵として低調に流れていました。

    人間は本当に不完全なもので、社会的地位が高い医師の家庭でも人間の底は醜く自己中心的なものなのか…と大人たちの世界を見ながら思いつつも子供たちの純粋無垢な言動に心がむしろ痛みました。

    場面展開もムダがなく、心苦しいシーンばかり続くのだけれどユルユルと話の流れに乗って読み進めてしまう。
    心が傷ついて自分がイヤな人間かもしれない…と感じている人には人間大人になれば誰だって闇を背負っているのだと思える作品だと思いました。

    一方、やはり絶対的に神の世界を信じている著者とそうでない自分との間に大人とこどものような心理的ズレを感じることも付記しておきます。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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