人生論 (角川文庫クラシックス む 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004203

感想・レビュー・書評

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  • 人生について、深く考えたいときにおすすめ

  • 愛、意志、謙虚、健康等がテーマの人生論。
    常に健康であれ。健康は生きる上で必要条件。
    愛がなければ人生は無味乾燥
    お金があれば幸せ、なければ不幸ではない。
    悪い心にブレーキをかけるだけでなく、善い心のアクセルを踏むことも理性の働き。

  •  多くの思想家が著している「人生論」のなかでも屈指の名作。小説と比べて少々お説教っぽさがあるものの、人間の善意を信じる著者の思想がよくわかる。もちろん小説家なので、学者が書く人生論のような緻密な論理性はないが、スルスルと文字列を追える文体はとても読みやすい。

     理想主義者ではあるのだが、ところどころに世間に対するニヒリズムも垣間見えるのはやはり教養人。不安の種として最も巨大な「死」についての考察は西洋のそれと比べてうっすらとした明るさを感じる。「性欲」についての見解は時代背景もあってか赤裸々さに欠けるが、無難な完結性がある。

     古書店で見つけた本書は現在書店で並んでいる武者小路版人生論と比べて少々ボリューム感に欠けるが、「続人生論」も収録されており、これは全集以外ではなかなか読めないように思う。

  • 同じことの繰り返しなんじゃないかということはあるけれど、
    人間の不条理は自己実現のための試練という捉え方。
    人間は自然に生かされていることを強く芯に持とうと思う。
    「真に自分を生かすのは自己の完成と同時に、他人の自己完成に役立つ人」
    「人々があたりまえと思う感情は、自然の意志の働きによる」
    「道徳は、人類が正しき姿で、前進することを命令するために、人間に与えられたもの」
    「他人を責めすぎる者は、多くの無反省の不徳漢。反省力のある不徳男は、他人より自分の方が罪の多いことを知る。そして自分を少しでもよくしようと改善、親切、克己する」
    「人間は自分でいちいち経験しなければならないほどの馬鹿でない。他人の経験したことを、自分のものにする能力がある。そのための対話」
    「自分の仕事、時間、生命を大切にするのは、甘やかすということでない」
    「他人の思惑を考えて、自分をよくしようとするのはつまらないこと」

  • 武者小路実篤を読んだのは、高校の時の理科の先生が武者(略)の孫だったから。しかし読んでみると「人間はこの世に理屈をこねに来たのではない。われらはこの世に生きるために来たのだ」と、理屈をこねくりまわしがちな年齢だったわたしをふっと現実に引き戻すようなシンプルな思想がそこに。これはけっこういい出会いだった本かと。

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著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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