怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)

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著者 : 中野京子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004395

怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • レオナルド・ダ・ヴィンチの絵はミステリーを見ているみたいで、パーツが符号していく瞬間に快感を覚えずにはいられない。まだ色々な謎や秘密が隠されているのではないかと前のめりになってしまう魅力がある。
    アンソールの絵にはグッとくるものがある。描かれた仮面には表情がある。その仮面こそ人間らしいのかもしれない。敵意と自己陶酔と自虐性が複雑に入れ替わる感情があらわされた作品のように感じる。
    ゴヤの絵は、見て感じた思いを上手く言葉にできない。実物を見たら離れられなくなるかもしれない。
    この本を読んでいくうちに、絵画の楽しみ方の、自分なりのコツが分かってきた。時折、画家の意図に射抜かれるような感覚にハッとする。
    知らなかった歴史の裏側を身近に感じさせてくれるような知識が随所に埋め込まれている。人間の一生は思ったより劇的かもしれない。

  • 表紙絵のレーピン作「皇女ソフィア」がとても印象的。
    その他、ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」など3篇目にも関わらずまだまだ読み応えある文章を読んでいると続編も期待したいところである。著者の絵画に対する見識の深さと一般人としての見方の両刃を備え持っているところにただただ脱帽。

  • なんの問題も感じない絵が、細部に言及された途端恐ろしさを増すのも、元から恐ろしさしかないものも、どちらも良い。
    女性、子供、殺される平民。まだまだ抑圧は続くものの、命なぞボロ布よりひどい時代だったと実感する。西洋史をもっと勉強したくなった。
    好きなのは「ベアートリーチェ・チェンチ」と「王女メディア」。ベアートリーチェはどんな時代も美しい物語を求めてしまう警鐘に思えるし、メディアは元から好きな話だったものが、よりおぞましさ悲しさを持って肉迫してくる。
    「かわいそうな先生」もいい。ガヴァネスとして働かざるを得なくなった女性と、その未来を予感しているような右の少女、そして何も悩まず縄跳びに興じる少女。怖い。
    今年開催される展覧会、是非とも訪ねたい。

    この村上隆さんの解説必要だったかね。美形の青少年だったら作者に囲われたかったって失礼極まりない。

  • わかりやすいし、絵の中の時代背景とか詳しく書いてあって勉強になる。面白い。

  • 単行本版『怖い絵』3巻に2編追加して文庫化したもの
    (たぶん追加されたのは2つ目の「ヴィーナスの誕生」と「悪しき母たち」)。
    見ただけで怖さが分る絵、中野さんの解説によりなぜ怖いのか分り、改めてぞっとする絵など。
    やはりその絵が描かれた背景を知らないと、より深く絵画鑑賞できないのだなあと痛感させられた。

    怖い絵だというのに強く惹きつけられるのは「悪しき母たち」「ベアトリーチェ・チェンチ」「夢魔」「怒れるメディア」「ムーランの聖母子」「死と乙女」など。
    第3弾はまだかしらー。
    それにしても表紙の皇女ソフィア、強烈すぎ

  • 祝文庫化
    文庫一冊目の「怖い絵 泣く女篇」は、「怖い絵2」(朝日出版社)。じゃぁ文庫2は、どれの文庫化?

    角川書店のPR
    「ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」、シーレ「死と乙女」、ベラスケス「フェリペ・プロスペロ王子」、ミケランジェロ「聖家族」――名画に秘められた恐怖を読み解く「怖い絵」シリーズ、待望の文庫化第2弾!」

  • 3巻目にして失速するのではなく、飛び抜けてきたと思う。村上隆のあとがきが素晴らしい。

  • 目次:作品1 レーピン『皇女ソフィア』、作品2 ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』、作品3 カバネル『ヴィーナスの誕生』、作品4 ベラスケス『フェリペ・プロスぺロ王子』、作品5 ヨルダーンス『豆の王様』…他

  • 17/09/03

  • 中野京子が名画の背景を主観と批評を交え読み解いていくシリーズ第三弾。
    正直絵画にはそこまで興味がなかったのだが、時にユーモアたっぷりに、時にエスプリを効かせ、時に辛辣な観察眼を発揮し綴られていく文章は名人芸の域。当時の時代背景や風俗と巧みに絡め、作者の人生や心情をも投影させるような文章は読みやすく面白い。
    絵画そのものの迫力もさることながら、その絵が描かれるに至った背景を知る事によって、人間性の深淵をも抉り出すような凄みと深みが増す。
    今巻で特に印象的だったのは「悪しき母たち」。
    某翻訳恐怖小説短編集の表紙にも採用された有名な絵だが、不勉強な自分は恥ずかしながらこの本を読むまで作者はおろかタイトルさえ知らなかった。しかしまさか堕胎の罪を犯した女(娼婦)の罪と罰をテーマにした絵だったとは……
    章立てが短いので集中力を途切れさせずに好きな所から読むことができるのも親切。

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