てふてふ荘へようこそ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 740
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004678

作品紹介・あらすじ

敷金礼金なし、家賃はわずか月一万三千円、最初の1ヶ月は家賃をいただきません。破格の条件に隠された理由とは……特異な事情を抱えた住人たちが出会った奇跡。切なくもあったかい、おんぼろアパート物語。

感想・レビュー・書評

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  • 家賃:月一万三千円  間取り:2K  敷金・礼金:なし  管理費:なしの木造建築おんぼろアパート「てふてふ荘」

    「このアパートには各室にそれぞれ地縛霊がいるんです」とさらりと言ってのける大家。

    明らかに常軌を逸した環境と住人たちだが、幽霊たちと関わっていくうちに、重く閉ざされた心を解きほぐしてくれるような、切なくてほっこりするような物語だった。
    ここの住人たち(幽霊を含めて)がみんな人情味溢れていて、後味も決して悪くない。
    成仏されない幽霊たちが、もしかして私の後ろにもいるのだろうか。
    不思議な世界を堪能できたし、それと同時に、人と触れ合うことの大切さにも気づかされた。
    「てふてふ荘」と大家さんの謎についても、エピローグで綺麗に締めくくられていて、大家さんの優しさに胸が熱くなります。

  • H29.10.31 読了。

    ・この本は「恋人でも友人でもない他人同士が一つ屋根の下暮らす物語。」です。「始めのうちは理解し合えず、時には反発しあうこともあった住人同士が、その関係性を深め、成長していく姿を描いた」連作短編小説でした。
    ・一つ一つの物語に引き付けられるように一気読みしました。別れのシーンもあるのですが、不思議と寂しさのほかにほっこりと温かい気持ちにもなる感じが良かった。
    ・こんな話が大好きです。

    ・2012年10月のNHK BSプレミアムのドラマも観たかった。

  • もの悲しくも、温かみのあるお話だった。

  • じつに面白かったです。
    怖いお話ではぜんぜんありません。
    でも、読み終えたあとに寂しさがこみあげてきます。
    どうして寂しいのでしょうね。
    さやかちゃんは明るくてかわいいなあ。
    失うものは何か。永遠とは何か。
    永遠、とはいいように思えてかなり辛いことだ、ということも教えてくれます。
    桜の花も限りがあるから、美しい...
    女性もね。

  • わかりやすく、切なくて、あったかい。
    よかったです~!

    初・乾ルカさん。
    ブクログで評判がいいので、読んでみました。

    格安のアパート「てふてふ荘」に住むことにした就職浪人中の真一。
    大家さんは美声でやさしげな男性。
    家賃1万3千円、最初の一ヶ月はそれも要らない!という条件には、秘密が。
    6室にはそれぞれ、幽霊が住み着いていたのだ。

    地縛霊といっても、くっきりはっきり見え、感情も普通の人間。
    恨み骨髄というわけではなく、自分がなぜ成仏しないのか、良くわかっていないほうが多い。
    戸惑いながらも同居するうちに、迷い込むようにやって来た住人は励まされ、欠けているものを補うように、心通い合ったとき‥

    1号室は、真一と可愛い女の子。
    ある悩みを抱えた真一は、他の部屋に替えてくれと頼むのだったが、やがて‥

    2号室は、スーパーの鮮魚売り場の女性と、おっちゃん。
    天涯孤独でおしゃれもせずに暮らしてきたが、初めて人を好きになったとき‥?
    お酒が好きで、お酒だけは触ることが出来るというおっちゃんがユーモラス。

    3号室は、詐欺で出所したが仕事に困る長久保と、女優だった石黒。
    目つきの鋭いやさぐれた男と、気丈な30代女性の掛け合いが楽しい。
    叱咤激励され、いつかチームメイトのように‥?

    4号室は、美少年の幽霊・薫だけ。
    同居人を拒んでいた理由とは‥

    5号室は、近くで事故にあった兄の霊と、事故現場に花を供えるために一時住むことになった妹。
    まったく霊感のない妹で、他の幽霊も一切見えず、住人の態度を奇妙に思うのだったが‥

    6号室がややホラーめいていますが、気持ちが一時は憎しみまで高まるのに、ふっとほぐれるのが切ない。
    人は、人と関わり合いながら生きるものなのだと。‥幽霊でさえも!
    日常的な描写を交えてわかりやすく描かれ、ワンパターンにならずに展開。
    映像化もいいだろうと思ったら、とっくにされていたようです。配役を見て~なるほど!

    ところで私は家賃1万3千円のぼろアパートに住んでいたことがありますが、2kではなく1室で、幽霊無しでした^^

  • 初!乾ルカさん。
    ブクログ仲間さんの間でも人気だった作品。
    夏のこの季節に読むのがいいかなぁと思い、本棚の奥からひっぱりだしました。

    家賃1万3千円。敷金、礼金もいらなアパート「てふてふ荘」
    こんな破格な条件何かがあるにきまってる。
    なんと、このアパート6室あるのだけど、どの部屋にも地縛霊が住み着いている。彼らと同室で暮らしていかないといけないなんて、すごいアパートです。大家さんから見せれれるのは部屋の間取りではなく、各部屋に住み着く地縛霊の写真。
    私だったらこの時点で怖くて逃げだします・・・

    それぞれのお部屋ごとに話が展開されていく。それぞれ幽霊たちとくらしていくうちに心が通っていきます。愛情だったり、友情だったり。または怒りだったり。これらの感情が通じ合ったとき、幽霊に触れることができます。そうすることで幽霊たちは成仏していく。どのお部屋も霊との心の触れ合いが温かくて心に沁みます。

    2号室のおっちゃん、3号室の長久保さんのお話が特に素敵でした。

    これってドラマ化されたんですよね。
    未見ですが、ドラマは面白かったのかな??
    大家さんの美声にぴったりくる役者さんはいたのかしら?

    • 円軌道の外さん

      お久しぶりです!
      沢山の花丸とコメント頂いてたのに
      お返事遅くなって
      ホンマすいません(≧∇≦)

      夏から新しい仕事を任され...

      お久しぶりです!
      沢山の花丸とコメント頂いてたのに
      お返事遅くなって
      ホンマすいません(≧∇≦)

      夏から新しい仕事を任されて
      携帯を開く暇もなかったことと、
      多忙から身体を壊したり、
      ずっと寄り添ってきた愛猫が亡くなったりで、

      あんなに好きだった本や小説をいざ開いても
      まったく読めない精神状態になっちゃったんですよね(汗)


      今はなんとか少しずつ
      リハビリに励みながら
      気持ちも上向きになりつつあります(笑)(^_^;)


      気が付けばもう
      師走ですが、
      nobo0803さんは
      お変わりないですか?

      覚えていただけてるなら
      またヨロシクお願いします!



      でこの小説、
      小学生時代
      不思議冒険クラブ部長だった自分ですから(笑)、
      nobo0803さんの素敵なレビュー読ませてもらっただけで
      いろんなイメージが湧いてきたし、
      是非とも読んでみたくなりました♪


      霊って人間に危害を及ぼす怖い存在に捉えられがちやけど、
      それって
      解らないもの全般を
      理解できないから、
      「怖い」って
      勝手に人間が作り上げたイメージなんですよね(笑)


      考えてみれば、
      思いを残さず
      満足して死んでいく人のほうが
      実際少ない現実を考えれば、
      霊になっても
      誰かに何かを伝えたいって想いは
      スゴく人間らしい
      当たり前の行為なんやって
      自分は思っちゃうし、

      そう思えば
      怖いことなんか
      全然ないですよね(^_^)


      2013/12/12
  • 家賃は格安、敷金礼金管理費なし、最初の月の家賃はただ。
    そんなオイシイ条件の、昔ながらの佇まい「てふてふ荘」。
    しかし安いには安いだけの理由がある…他所のアパートとは決定的に異なる、あるオプション付きだった。

    悩みや事情を抱える6人の住人達。
    読み始めはコメディタッチの物語だと思っていたのに、6人のそれぞれのエピソードに涙してしまった。
    各人の重石を自ら取り去り、入居する前とは確実に変わることができた6人。
    それぞれの道を笑顔で進めて良かった。
    切ない想いの後に爽やかな気持ちになれた温かい物語だった。

  • 重い刑事物のあとは、こんなハートフルな小説を読みたかった!
    どこかに繋がりのある幽霊たちとの共同生活。大家さんの罪が最後心配だったけど…

    ほっこり小説でした。

  • 各部屋に地縛霊が住み着いているわけあり物件。入居者が紆余曲折しながら幽霊を成仏させるお話。
    各部屋の話で構成されていて、どの話もホロリときたり心が温かくなったり。特に2号室が良かったなぁ。実は大家さんまで幽霊で、最後は大家さんを成仏させる。なんだか全体的にほっこりする物語だった。

    • まろんさん
      地縛霊のみんなの人柄の良さ(霊柄の良さ?)が素敵ですよね♪
      taaaさんお気に入りの2号室、さっぱりしつつも温かくて、私も好きでした。
      大家...
      地縛霊のみんなの人柄の良さ(霊柄の良さ?)が素敵ですよね♪
      taaaさんお気に入りの2号室、さっぱりしつつも温かくて、私も好きでした。
      大家さんの美声、ぜひ聞いてみたくなりますよね♪
      2013/03/31
    • taaaさん
      まろんさん☆

      コメントありがとうございます(^-^)♪
      こんな幽霊達なら同居OKと思っちゃいます。
      どの幽霊も本当いい幽霊ですよね~
      自分...
      まろんさん☆

      コメントありがとうございます(^-^)♪
      こんな幽霊達なら同居OKと思っちゃいます。
      どの幽霊も本当いい幽霊ですよね~
      自分で望んで死んだわけじゃないから、
      生きている同居人を助けてあげたいのでしょう。
      地縛霊のイメージ変わりました(笑)

      大屋さんはかなり驚きました(^_^;)
      美声…どんな感じなのでしょうね~
      2013/03/31
  • 美月さんのお話、一緒に大泣きしてしまいました…

    最後、取り壊されると思っていなかったので、少し残念でしたけど、みんなが新しい人生に向かえてよかったです。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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