雀蜂 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 3202
感想 : 436
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005361

作品紹介・あらすじ

雪の山荘に閉じ込められた小説家の安斎を突如襲う、凶悪なスズメバチの群れ。安斎は山荘を生きて出られるのか。最後明らかになる驚愕の真実とは!? ノンストップ・サバイバルホラー、文庫書き下ろしで登場!

感想・レビュー・書評

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  • 貴志祐介氏の作品

    何でもありかよっ、とツッコミたくなるかも(笑)
    それこそ江戸川乱歩の作品のように古典であるが故に評価されてきたものは別として。それらを踏襲してきた作品に触れて来た読者においては、少々残念な気持ちになるのかもしれない。

    主人公は『俺』だ。
    目覚めた瞬間から、スズメバチとの戦いに身を投じることになる。パニックに次ぐパニックで、コントの様な展開が続く。伏線はあるにはあるが、その違和感に気付くのは難しいかもしれない。

    会話に「」と<>の使い分けがあるので、明確な会話と妄想が入り混じっているように表現されているのかな。

    そして雀蜂について勉強になりました。


    以下、ネタバレ有り(備忘録)

    ある小説家に憧れた主人公は、その小説家の作品を読み漁る。そこには自分の表現したいものがあった。
    自分が書こうとしているものが、他人に書かれていることを憎悪する一方で、憧れの気持ちは増幅してゆく。老齢の主人公は、いつしか自らを他人の人生に投影して生き始めた。そして、小説家を自分の偽物だと錯覚するようになる。
    ついにその日が来た。偽物を殺した主人公は、真冬の山の中、スズメバチの巣窟となった別荘から大脱出を試みる。

    もちろん最後に全てが崩れ去る。
    主人公は妄想に駆られた変質者であり、小説家として全く大成していない男であった。主人公こそが偽物である。
    憧れた小説家は保険金目当てで妻を殺害しようとしていた。スズメバチを利用して。妻を一人残し、別荘を出て来た小説家を、主人公が殺す。小説家を殺した主人公は、別荘に残っていた妻と対面するが、当然のことながら妻は別荘から逃亡。残された偽物と本物が置いていったスズメバチとの格闘が始まる。

    読了。

  • 読みやすさはピカイチ、後半にかけて畳み掛けるスピード感が気持ち良い。スズメバチとの戦闘と、様々な回避の手法に賢くなった気がします。笑

    パニック映画を見ているかのよう。色々と調べているんだろうなぁ。

  • 雪の八ヶ岳山荘で小説家が雀蜂の大群と戦う話。
    貴志祐介の小説の中では怖くはない方。脳神経科医の本の読後だったので、最初に出てくる"見当識"から,ある障害を思い付き主人公に何かありそうな気がした。

  • 粉雪の舞う11月の八ヶ岳麓の山荘。朝方、二日酔いの中目覚めた推理作家、安斎智哉は、寝室で無数のスズメバチに襲われる。アナフィラキシーショックで死に至るリスクの高い安斎は、混乱しながらも山荘内を必死に逃げ回る。妻は消えており、外套もなく、車のキーもなく、冬の山荘に巣食うスズメバチの不自然さ、妻が仕掛けた罠に嵌まってしまったのではないか。追い詰められた安斎は、自らの作品を思い出しつつ、スズメバチを撃退し、妻の計略を推理して何とかその裏をかこうとするが…。ホラー・ミステリー。

    ラストにどんでん返しがあるのだが、それが全くいけてない。破綻してしまっているんしゃないかな。残念な作品だった。

    そう言えば、その昔、軽井沢のテニスコートでテニスしてたら、飲みかけのスポーツドリンクのペットボトルや紙コップに無数のキイロスズメバチがたかってきたことがあったな。ちょっと怖かったことを思い出した。

  • 毎年ベランダにくるスズメバチに悩まされる私にとって、恐怖、この上ない内容だった。でも、クスリと笑ってしまう滑稽な描写が多くて、かなりふざけてるなぁ、遊んでるなぁと思っちゃった。

    小説では触れていないことですが、スズメバチ、実はオスは刺さないのです。

  • これは...流石に構成下手すぎない!? と思ったのだけど読み終わって前言撤回。ちゃんと意味がありましたわ。

    小説家の安斎智哉が八ヶ岳南麓にある山荘で目覚めるところから始まる。起きたらスズメバチが飛んでいていきなりクライマックス。安斎は過去に一度刺された経験があるので次に刺されたらアナフィラキシーショックで死んでしまう。

    でも今は11月下旬...なんでこんな時期にスズメバチがいるんだ? まさか、妻の夢子が自分を殺すために仕組んだのか!? と疑う安斎。そこからはひたすらスズメバチとの攻防が続く。攻防自体は緊張感があって面白いのだけど、一般的な小説ならスズメバチとの描写の合間に妻が安斎を殺す動機とか、徐々に詳らかにしていくのがセオリーだと思う。だが、この作品で安斎はただ妻のことを闇雲に疑うばかりで被害妄想炸裂か? と違和感...根拠を示せよ、根拠を。と中盤あたりは退屈な気持ちになったのだが、終盤で氷解。

    中盤で感じた違和感を足がかりにもう一歩前に思考を展開できたら自力で真相に近づけたかも!? と思うとぼーっと読んでしまった自分を恨む。こともあろうに、構成下手だなと思ってしまったのが悔やまれる。読み終わってもう一回最初からざっと眺めてみたら足がかりになりそうな描写もありましたわ。ワードを滑り込ませるタイミングとかも狙ってやったんだろうなーと思うとまんまとやられた感に打ちひしがれます笑

    読まれる際は慎重に読むことをおすすめします。

  • 11月下旬の八ヶ岳の山荘。
    小説家の安斎が目覚めると、かすかな音が聴覚を刺激する。
    音の正体は、窓とレースのカーテンの間に入り込んだスズメバチだった。
    昔ハチに刺されている安斎は、もう一度刺されると命の保証はない。
    次々に襲ってくるスズメバチの恐怖。
    そして、どんでん返しのラスト。


    安斎とスズメバチの死闘が臨場感溢れている。まるで自分がスズメバチに襲われているかのように生々しい。
    さすが貴志先生。読み始めると止まらない。
    ノンストップで引き込まれてしまう文章力。

    ヒッチコックの鳥のような恐怖を味わえること間違いなし!

    ラストは確かに意外だったが、貴志先生の作品だけあって期待度が大きすぎて、若干しりすぼみ感もあったので★×3。

  • '22年7月30日、Amazon audibleにて、聴き終えました。

    前回聴いた「天使の囀り」が余りにおぞましかった!ので、しばらくは貴志作品は止めよう、と思っていましたが…また聴いてしまった.·´¯`(>▂<)´¯`·.これって、ハマっている、という事?

    で、本作は…サスペンスフルな展開を楽しんで、聴き終えることができました。満足です。
    でも、強烈だった「天使の囀り」と比べると…ちょっとパンチが足りなかった、かな…まあ、あれほどパンチが効いていたら、僕の頭はおかしくなってしまったでしょうが。ハハハ!

    一体、どれほどの量の参考文献にあたって書いているのか…作品ごとに、驚愕させられる知識量です。

    過去、映画で観た「黒い家」と「青の炎」、どうしようかな…ビビってしまって、聴けません( ⚈̥̥̥̥̥́⌢⚈̥̥̥̥̥̀)恐ろしいんだろうなぁ…。

  • ホラーっぽくはなかったけど。
    雀蜂に襲われる恐怖だけで終わらないのはさすが

  • 貴志祐介の本は、『青い炎』に続き2冊目。アマゾンのレビューでは、酷評が目立つけれど(特にファンの人たち)、あたしは面白かったです。「豪雪で閉ざされた山荘内で、主人公と雀蜂がひたすら攻防を繰り返すだけの作品」と切り捨てる人もいましたが、逆に言えば、その攻防だけで1冊にまとめ上げるには、相当の筆力がいると思うので、そこをどう評価するかで、好き嫌いが分かれるようです。

    「予測不可能のどんでん返し」に惹かれ、図書館で借りた本でしたが、面白く読みました。
    面白く読み終えたのですが、そのラストの「どんでん返し部分」は、既視感がありました。以前読んだ、折原一の作品(ネタバレを防ぐため、作品名は書きません)を思い出したからです。
    オチは似てるけれど、話の内容・流れは全く違うので、読み比べてみるのも面白いかもしれません。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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