雀蜂 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005361

感想・レビュー・書評

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  • 貴志祐介氏の作品

    何でもありかよっ、とツッコミたくなるかも(笑)
    それこそ江戸川乱歩の作品のように古典であるが故に評価されてきたものは別として。それらを踏襲してきた作品に触れて来た読者においては、少々残念な気持ちになるのかもしれない。

    主人公は『俺』だ。
    目覚めた瞬間から、スズメバチとの戦いに身を投じることになる。パニックに次ぐパニックで、コントの様な展開が続く。伏線はあるにはあるが、その違和感に気付くのは難しいかもしれない。

    会話に「」と<>の使い分けがあるので、明確な会話と妄想が入り混じっているように表現されているのかな。

    そして雀蜂について勉強になりました。


    以下、ネタバレ有り(備忘録)

    ある小説家に憧れた主人公は、その小説家の作品を読み漁る。そこには自分の表現したいものがあった。
    自分が書こうとしているものが、他人に書かれていることを憎悪する一方で、憧れの気持ちは増幅してゆく。老齢の主人公は、いつしか自らを他人の人生に投影して生き始めた。そして、小説家を自分の偽物だと錯覚するようになる。
    ついにその日が来た。偽物を殺した主人公は、真冬の山の中、スズメバチの巣窟となった別荘から大脱出を試みる。

    もちろん最後に全てが崩れ去る。
    主人公は妄想に駆られた変質者であり、小説家として全く大成していない男であった。主人公こそが偽物である。
    憧れた小説家は保険金目当てで妻を殺害しようとしていた。スズメバチを利用して。妻を一人残し、別荘を出て来た小説家を、主人公が殺す。小説家を殺した主人公は、別荘に残っていた妻と対面するが、当然のことながら妻は別荘から逃亡。残された偽物と本物が置いていったスズメバチとの格闘が始まる。

    読了。

  • 粉雪の舞う11月の八ヶ岳麓の山荘。朝方、二日酔いの中目覚めた推理作家、安斎智哉は、寝室で無数のスズメバチに襲われる。アナフィラキシーショックで死に至るリスクの高い安斎は、混乱しながらも山荘内を必死に逃げ回る。妻は消えており、外套もなく、車のキーもなく、冬の山荘に巣食うスズメバチの不自然さ、妻が仕掛けた罠に嵌まってしまったのではないか。追い詰められた安斎は、自らの作品を思い出しつつ、スズメバチを撃退し、妻の計略を推理して何とかその裏をかこうとするが…。ホラー・ミステリー。

    ラストにどんでん返しがあるのだが、それが全くいけてない。破綻してしまっているんしゃないかな。残念な作品だった。

    そう言えば、その昔、軽井沢のテニスコートでテニスしてたら、飲みかけのスポーツドリンクのペットボトルや紙コップに無数のキイロスズメバチがたかってきたことがあったな。ちょっと怖かったことを思い出した。

  • あと1回刺されたら、俺は死ぬ。
    雀蜂には2度と刺されてはいけない。
    そんな身でありながら、目が覚めたら雪山の山荘に一人、遠くからは不気味な羽音が聞こえる――。

    冒頭のシュチュエーションに思わず身がぎゅっと縮こまるくらい、蜂をはじめとした虫が苦手です。極力近づきたくない。
    とはいえ、蜂から逃げるのは主人公。半分くらいは他人事として見ていられるのでまだよいです。
    本人は真剣だけど、なんだかコメディ要素も感じるような闘いっぷりです。

    虫の生態とか、辞書のくだりとか、読んでいて楽しい部分もあるのですが、最後のどんでん返しも思いの他すっきりせずにするりと読み終わってしまって、少しだけ消化不良。
    怖いもの見たさでついつい手にしてしまう貴志さんの本。次読む作品に期待です。

  • 雪の中の山荘の中で目覚めると、季節外れの1匹の雀蜂が。
    何とか逃げうせるが、山荘の中は雀蜂の巣になっていた…。
    小説家の主人公が雀蜂と格闘するミステリもの。

    色々な知識を総動員して戦う描写が見せどころ。
    ラストは納得感が薄くやや失速気味に感じた。

  • 「雀蜂」
    アレルギーなのに蜂に狙われる。


    雪と山荘でクローズドミステリーな設定ですが、そこに蜂を加えてパニック感も増して、更に主人公安斎は、次に刺されたら死んじゃうかも知れないアレルギーもちである。これは追い詰められる展開かと思いきや、最後にダブルの使い用で、若干ホラー寄りになりました。


    主人公は、安斎智哉というそこそこ売れているミステリー作家。舞台は雪に閉じ込められた山荘。彼が気が付くと、いっしょにやってきたはずの妻の夢子が消えている。そして次々に襲ってくるスズメバチ。


    倒しても倒してもすぐそばにいる雀蜂。大軍には遭遇しないけどいつのまにか数匹が、安斎のそばにやってきます。雀蜂と戦う武器は、バスローブだったりスプレーだったり、アルコール活用した甘い罠だったり、遂には即席火炎放射器もやっちゃいます。雀蜂に文句言ったり、色々嘆いてみたり、その武器作りをする際に思い出すのは、昔自分が書いた小説。作品を愛してますね笑


    どんくさい感じが出てるため、どこか滑稽な安斎の生きるか死ぬかの闘いですが、遂に犯人が現れてから流れが変わっていきます。終盤になるとパニック感よりもホラー感が強め。ただ、終盤に行くまでが単調に感じました。


    Keywordは、ダブル。どんでん返しでは無いけど、こんな締めにしちゃうのかという感じ。

  • 雪山の山荘に取り残された男と、大量の雀蜂との攻防戦を描いた作品。
    作中の殆どが雀蜂との戦いに割かれていますが特にダレることなく楽しめました。
    ただラストの結末はちょっと不満。それがまかり通るなら何でもアリやんって。

  • 冬の八ヶ岳を舞台にしたスズメバチとの死闘を描いたホラーミステリー。

    文庫書き下ろしで、帯にも『クリムゾンの迷宮』『悪の教典』を超える恐怖!という文句が踊り、大いに期待したのだが…ラスト25ページのどんでん返しが逆にマイナスだったように思った。

    貴志祐介の角川ホラー文庫作品では、やはり『黒い家』が一番かな。

  • 雪の山荘に閉じ込められた安斎に雀蜂が襲い掛かる話。兎に角蜂が怖い、私なら開始10分保たず死んでるなって思う。蜂怖い。田舎だと団栗蜂が教室に入ってきて授業中断したり蜂怖いは染み付いてたけど、都会ってあんまりそんな感じないなぁってこっちに出てきて思ったのに思い出した。

  • 雀蜂との戦いが面白い
    そのままパニックものでよかったのに、最後どんでん返しがあって、残念
    寒さと雀蜂からの生還のみで十分楽しめる筆力なのに。

  • 貴志祐介先生の作品は好きなものが多いのですが、これはちょっと…笑えないギャグ?ぽくていまいちでした。
    ちょっと設定に無理があったような…。
    結局雀蜂が置いてけぼりにされたような…。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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