ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041005613
感想・レビュー・書評
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小学生時代の自分に薦めたい作品。
お気に入りのノートを持って、興味があるものをとことん追求して考えるアオヤマ君の毎日が楽しそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨年、娘とアニメの方を観てから小説を読み。。そして、今年もまた読んだ。不思議な面白さ。来年もまた夏の終わりぐらいに読むのかな。
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森見先生4冊目。夜は短し〜と並ぶくらい、愛おしい作品になった。映画も見ないと。
ほかの森見作品とは毛色が違うけど、「ムツカシイ」だったり、ちょっと難解な言葉が使われてたり、(ああ、“らしい"な)と思うところがあって、森見さんらしさみたいなのを感じられて、よくわからないけど少しうれしいようなワクワクするような気持ちになった。
全体を通して、子どものときの感情や見えていた景色とかの、自分を取り巻く情景がアオヤマくんをはじめとする子どもたちを介してふわふわと浮かんできて、あたたかい気持ちになれた。
アオヤマくんはとにかくいい子だなあ。彼はきっと、パパみたいな素敵な大人になるのだろう。
あ、ペンギンは想像するだけでかわいい。
最後はアオヤマくんの気持ちを想像するだけで胸が痛くなった。それまで気づかなかったけど本当にだいすきだったお姉さん、小学四年生にこの選択をさせるんだな…
最後の2文が涙必須です。
少年、きっと、ぜったい、またお姉さんに会えるよ。 -
2014.1.8読了
今まで読んだ森見登美彦の小説の中で、一番好き。
相変わらず「おっぱい節」炸裂だし、主人公が学者的な言い回しばかりして、こいつはホンマに小学生かいな、というツッコミはあるかもしれないけど、面白かったです。
最初、物語がファンタジーすぎて、村上春樹みたい⁈と思ったけど、読み進めると、いたく科学的に、そして客観的に研究しようと主人公が最後まで頑張ってるのが素敵でした。
近くにこんな人がいたら楽しいだろうなと思う。若干、イラっとするかもしれないけど(笑)
文庫巻末の、萩尾望都の解説も◎です。
解説の一番最後の一行、
『アオヤマ君、君はぼくは泣かないのですと言うけど、私は泣きます。』
に、激しく同意します! -
これは子どもの頃に出会いたかった冒険物語。頭で考えすぎるからか読み通すのに時間がかかってしまった(途中から一気に進んだ)。
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登場人物が小学生という平和な設定からか、
一気に読むというより「休み休み読み進める」状態になってしまった。
アオヤマくんの話し方にクスッとしてしまう。
「ぼくは○○をする」とか、話し言葉では言わないよね普通。中学の英語の訳みたいで可愛い。
最後の最後に泣かせにきた。最後の2行。
泣いていいのに。
解説でもあったけど…アオヤマくんが泣かないなら私が泣く。代わりに泣く。
いつかお姉さんに会えますように。 -
2010年の日本SF大賞受賞作でジュブナイル向けのファンタジー。タイトルの「ペンギン・ハイウェイ」は、「ペンギンたちが海から陸に上がるときに決まってたどるルート」なのだとか。
主人公は理論家で研究熱心、メモ魔でおっぱい好き、そして決して怒らない、妙に大人びた小学校4年生のアオヤマ君。物語はアオヤマ君の日記の形で進行する。いくつもの疑問を研究する多忙なアオヤマ君は、ノートを駆使して事実や疑問点を克明にメモし、整理・分析に余念がない。また、親友のウチダ君と探検隊を結成して、水路をたどってその水源を突き止める「プロジェクト・アマゾン」を実行している。
ある朝、突如住宅街の空き地でペンギンと遭遇したアオヤマ君、早速ペンギン出現(そして失踪)の謎を解く「ペンギン・ハイウェイ研究」にも着手。歯医者に勤める憧れのお姉さんが缶コーラをペンギンに変えてしまう不思議な力を持っていたり、丘の上の草原に水で出来たような不思議な球体が浮かんでいたり、次々と不思議な現象に遭遇するアオヤマ君は、その都度克明にメモし、持ち前の分析力で謎に挑んでいく。
いじめっ子のスズキ君には結構ムカついた。スズキ君等のひどいいじめに対して決して怒らず、冷静に対処するアオヤマ君の姿に大物感が漂う(末恐ろしい)。本作の魅力はやはり、大人にも滅多に居ないくらい冷静な分析力を備えたアオヤマ君が小4に過ぎないというアンバランスさだろうなあ。ラストはちょっとホロリとさせられた。 -
不思議なお話だった。
森見登美彦の作品は少しだけ読んできたけどまだわかる範囲にあるようなないような。 -
なんだこりゃ!?というような奇想天外な物語。まぁ、実際には絶対起こらない事なんだけれど何故か夢中になって読んでしまう不思議な物語。きっと小さい時にやっておけば良かったなぁというような冒険がいっぱい詰まっているからだろうと思う。それから、子どもの時にあんな風に関わってくれる大人が居たらすごく嬉しい。
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SFはあまり得意としていなかったのだけれど、「小賢しい」(笑)アオヤマ少年の語り口が妙に可愛くて、すらすらと読めてしまった。お姉さんと「海」とペンギンたちの謎が一つになった時、絡まった毛玉がもとの一本の糸に戻った時のように爽快感があった。
お父さんの「問題の解き方 三原則」が非常に印象に残っている。
「1.問題を分けて小さくする」
「2.問題を見る角度を変える」
「3.似ている問題を探す」
普段何気なくやっていることではあるけれど、こうやって言語化されるとなるほどなと思える。色んなところで使える鉄則だと思われるし、色んなところで意識してみたいなと考えさせられた。