ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784041005613

感想・レビュー・書評

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  • とにかく探検とか秘密基地とか
    自分でルールを作るストイックな少年像に弱い自分は(笑)
    かなりハマりました♪


    SFの皮を被りながら
    終盤になるに連れて切なさが増す展開に
    久々に読み終わってしまうことの
    寂しさを感じた作品でもあります(>_<)
    (そして最後の二行であえなく涙腺崩壊…)




    主人公は
    研究が趣味な、
    小学4年生の「ぼく」こと
    アオヤマくん。


    スズキ君帝国初代皇帝で(笑)
    イジメっ子の
    スズキ君。


    栗色の髪と
    透けるように白い肌のクラスメートの
    ハマモトさん。


    「ぼく」と秘密地図を作る
    探検隊の相棒で
    ブラックホール好きの
    ウチダ君。


    そしてすべての秘密の鍵を握る、
    不思議な力を持った
    歯科医院のお姉さん。



    物語は郊外の住宅地に突如現れた
    ペンギンたちの謎に迫る
    アオヤマ少年と仲間たちの冒険譚と、

    切な過ぎる初恋の記録です。



    秘密基地や探検ごっこで遊んだ記憶のある人なら
    懐かしさで
    微笑ましくなるだろうし、

    子供たちが死に怯え
    死に捕らわれてしまう場面は
    スゴく共感できました。



    パンが美味しい喫茶店「海辺のカフェ」での
    お姉さんとのチェスシーンが
    どこか詩的でなんとも印象的だし、

    アオヤマ少年とお父さんの
    凛とした信頼関係が
    またカッコいいのです♪
    (行く先を決めないあてのないドライブや子供扱いしない会話など)




    実験が大好きで、
    常におっぱいのことを考えてしまうアオヤマ少年は
    もしかしたら
    森見さんの子供時代そのままなのかも(笑)



    抜けていく乳歯と引き換えに
    少しずつ大人へと成長していく少年。


    どんなに楽しくても
    夏休みは必ず終わりが来るという真理。


    好きな人を守り抜くために
    自分のルールを貫きひた走る
    アオヤマ少年、


    誰がなんと言おうと
    君は断然カッコいい!


    胸を張るのだ、少年!
    (お姉さん風にね笑)




    SFで
    哲学的なメッセージをエッセンスにしながら、
    少年の大人への旅立ちを描いた
    実はハードボイルドな
    切ない傑作です!


    途中で投げ出しちゃった人、
    最後まで読んでみて!(笑)

    • 円軌道の外さん

      紫苑さん、コメントありがとうございます!


      あはは(笑)
      作家でも
      合う合わないってありますもんね(^_^;)

      け...

      紫苑さん、コメントありがとうございます!


      あはは(笑)
      作家でも
      合う合わないってありますもんね(^_^;)

      けど自分もこの作品は
      いつもの森見作品とは違った文体やし、
      主人公は子供やし(笑)
      京都やないしで、
      違和感感じながら読んでたら
      途中中だるみして
      読むの止めそうになったんですよ〜(笑)

      自分の読書友達でも
      挫折した人沢山いたし(笑)
      だから気にすることないですよ(^_^)v


      とりあえず頑張って最後まで読めば
      御褒美があるんで(笑)
      爽やかに泣けると思います♪


      また是非是非
      トライしてみてくださいね(*^o^*)


      2013/02/05
    • 円軌道の外さん

      マリモさん、
      コメントありがとうございます!

      おおーっ
      さっすが読書家
      仕事が早いですね〜(笑)(^O^)


      刊...

      マリモさん、
      コメントありがとうございます!

      おおーっ
      さっすが読書家
      仕事が早いですね〜(笑)(^O^)


      刊行されてすぐに
      読まれたんですね♪


      しかし、アオヤマくんは
      こまっしゃくれた子供で
      子供らしくない
      理屈っぽい子供なんやけど、
      (マリモさん御指摘のように
      過去のモリミー作品の誰よりもホンマ知的な主人公でしたよね笑)


      最後の告白には
      やられましたよ(泣)

      『うんうん、
      そうやってみんな、
      大人になって行くんやで〜』
      って
      頭ヨシヨシしてあげたくなりましたもん(>_<)


      頭は良くても
      心はまだ子供なんやな〜って
      自分の初恋が走馬灯のように
      よぎっては消えていきましたよ(笑)


      2013/02/05
    • aoichikyuさん
      書かれてあった

      “秘密基地”

      に反応しました。。。


      もともと、ペンギンにもよわいので
      氣になってしまい。

      どう...
      書かれてあった

      “秘密基地”

      に反応しました。。。


      もともと、ペンギンにもよわいので
      氣になってしまい。

      どうしようか・・・と思いつつ登録を。

      読みたい本だけぽこぽこ増え、
      読むペースはついてゆかず。
      まあ、いろんな本との接し方あるかなと
      ゆるやかにいきてます。


      少年時代に戻ってたいせつなものを
      見つめなおす時季なのかもしれません。

      素敵なおはなしをありがとうございます。
      2018/08/19
  • SF世界観が素敵でした!コミカルな要素が豊富で読み出すと止まらなくなるほど面白かったです!
    少年達の止まらない探究心や熱心な研究感動に感心されたのと、偶に普通の小学生とは違う生意気な面もあり、思わず笑ってしまう場面もありました笑
    笑いあり、涙ありの物語であり、色んな事が起きてどうすればいいのか分からない今だからこそ、1日大切に生きようと思い、元気を貰った本です✨️

  • お姉さんのような余裕のある人になりたいと子どもの頃に思っていたなあと懐かしく感じた。でもストーリーが進むとお姉さんの存在は予想の斜め上をいく。登場人物すべてが魅力的で、森見登美彦さんは愛されキャラ生み出しマシーンだと思った。

    これからもどんどん森見作品を読み進めたい。

  • 景色が白く飛んでしまいそうな初夏の「郊外の街」。小学校4年生のアオヤマくんと、歯科医院のお姉さんのお話。
    SFに免疫がないので、想像力を総動員させました。そこは私の努力次第ですが、とても良いお話でした。

    今だって一日一日成長しているはずなのに、小学生の頃のほうが、毎日をもっと精一杯、頭を使って生きていた気がします。アオヤマ君のように。
    切ない経験は、アオヤマ君をとても立派な大人にするのでしょうね。アオヤマ君の願いが叶うよう、私も願うものです。

  • 2020(R2)3/23-6/14

    時間がかかった。年度がかわり、“転職”のような人事異動で本を読む暇がつくれなかったことと、コロナによって図書館が閉鎖され、一旦返したまま、再度借りれなくなってしまっていた。

    それでも読み進めたのはなぜだろう?
    初めはけっこう惰性で読んでたのに。
    「ただのSFか?」
    「背伸びした男の子の、若干ナマイキなお話か?」
    などと訝しみながら読んでいたら、最後の最後にすごいのが来た!
    主人公の「ぼく(アオヤマ君)」があまり感情を表に出さずにいるから、話自体も淡々と進むけど、ちょっと泣きそうになった。逆に、あまり感情を表に出さないアオヤマ君がとってもいじらしかった。(僕の中の「アオヤマ君」は、『崖の上のポニョ』の宗介である。)

    この物語は、SFというフィルターを通した、青春物語だった。
    どうか、アオヤマ君の願いが叶いますように。

    追加
    アオヤマ君とお姉さんの関係が、時折『銀河鉄道999』の鉄郎とメーテルと重なったのは、ワタシが40代だからだろうか。

  • 森見登美彦さんの作品はどれも、テンポが早くて不思議なことでいっぱいなので、とにかく次から次へと起きる出来事についていくのがやっと、今回もそんなテンポの速いストーリーでした。

    歯科医院のお姉さんとお姉さんのおっぱいが大好きな少年。 彼は常にノートにメモを取り、疑問に思ったことを研究する科学者でもあり、追及する哲学者でもあるのです。

    考え方や発言がに大人びている少年ですが、行動には少年の幼っぽさがあちこち出てて憎めない可愛さがあってよかったです(^∇^)

    その彼の研究に、街に突然現れた謎のペンギンや、不思議な力を見せたお姉さんや、「海」と呼ばれる不思議な球体が新たな研究対象に、 確信に近づくにつれ次々に起こる現象とそれぞれの繋がり、さらにペンギンの正体とは、 そして・・・。

    文章もとても読みやすくて、ストーリーの展開もドキドキもハラハラだけじゃなく、ちょっと切なさが残る恋心未満もあって、最後まで面白く愉しく読ませていただきました。

  • 森見登美彦さんらしさとらしくなさが両方同時に感じられました。スタンドバイミーの冒険感とジブリの爽やかなファンタジー感がいい感じに合わさっているような作品で読んでいてワクワクしました。他の小説の舞台は京都なのですが、今回は地名が出て来なかったような。ファンタジー色が他の作品より強いからかな。
    ですが、独特の文章や主人公の少年(アオヤマ君)の面倒くささで森見さんの小説だ〜と実感。アオヤマ君は頭が良すぎて面倒くさいけれど素直で一生懸命な所が可愛かった♪最後は涙が…

  • ずいぶん前の『野性時代』に読みきりの形で掲載されたのを読んでから、「今までのモリミー作品とは違うな!この短編だけでもいいけど、もう少しボリュームがあればいいのに!」と思っていた作品。単行本になったときに読みそびれ、このたび文庫化ということで。

    ノートを片手に日々思考する少年・アオヤマ君が主人公。彼は街を通して世界に対する疑問を研究している。そのメソッドもお父さんから伝授済みで、思考も言動も非常に明晰。こどもこどもした子どもの造形がお好きなかたには、ただのこまっしゃくれたいけ好かないガキかもしれないが、少数派であっても、誇りを胸に、常にきりりとヘッドアップしている少年は、ケストナーなどの海外児童文学には必ず登場する。私は子どもを「小さな大人」だと考えている面があるので、アオヤマ君やハマモトさん、ウチダ君からなる研究チームとの口ぶりと行動は非常に好きだ。こういう子供の描きかたをした日本の作品って、ありそうで、実は少ないと思う。

    キュートなキャラで演出する流れと、アオヤマ君の抱える心配ごとが、「研究」が進むにしたがって増幅していく要素をうまくからめて、意外とアップダウンのある物語展開。そして、森見さんは混乱と驚きをファンタジックに描くのがとても巧みだと、いつも思う。この物語でも、おっぱい美人のお姉さんマジックの描写の美しさには参った。コーラの缶をお姉さんがぽーんと放り投げ、それがトランスフォームしていくさまは、スローカメラで撮影したように克明で、流れるように美しいし、傘から植物が生えるさまは、これも時間を短縮して撮影した科学番組のように、にょきにょき生えてみずみずしい。「海」の、つやっとしてぷるんとした描写にも、害なすものかもしれないのに、思わず触れたくなってしまう。

    結末は予想できたものの、思わずうるっときそうになった。でも、小学生のアオヤマ君が泣かないのだから、大人の私はなおさら泣くわけにはいかないのだ。

    SF者・ガイブン好きなら思わず「ふふっ」と微笑んでしまう要素盛りだくさん(特にSF者は、この本歌取りに狂喜するんじゃないかしら)で、「やっぱり、ただの元・腐れ大学生ではないのだね、モリミー!あんたすげえよ!」と読了。鮮やかなサイエンス・フィクションというか、ストレンジ・フィクションというか。森見作品で好きなものを3つ挙げろと言われれば、文句なく、これを入れますわよっ!あっ、でも、装丁は単行本のほうが好きかも。

    巻末に掲載されている萩尾望都さんの解説がもう、過不足なくて素晴らしくて、もう感想なんか書くのやめとこうと思ったのですが、やっぱり書いてしまったのが、上の文章です。

  • 2014.1.8読了

    今まで読んだ森見登美彦の小説の中で、一番好き。

    相変わらず「おっぱい節」炸裂だし、主人公が学者的な言い回しばかりして、こいつはホンマに小学生かいな、というツッコミはあるかもしれないけど、面白かったです。

    最初、物語がファンタジーすぎて、村上春樹みたい⁈と思ったけど、読み進めると、いたく科学的に、そして客観的に研究しようと主人公が最後まで頑張ってるのが素敵でした。

    近くにこんな人がいたら楽しいだろうなと思う。若干、イラっとするかもしれないけど(笑)

    文庫巻末の、萩尾望都の解説も◎です。
    解説の一番最後の一行、
    『アオヤマ君、君はぼくは泣かないのですと言うけど、私は泣きます。』
    に、激しく同意します!

  • なんだこりゃ!?というような奇想天外な物語。まぁ、実際には絶対起こらない事なんだけれど何故か夢中になって読んでしまう不思議な物語。きっと小さい時にやっておけば良かったなぁというような冒険がいっぱい詰まっているからだろうと思う。それから、子どもの時にあんな風に関わってくれる大人が居たらすごく嬉しい。

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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