薔薇色の人 姫は、三十一 4 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006139

作品紹介・あらすじ

売れっ子絵師・清麿の美人画に描かれ大人気となった町娘のおみねとおその。だがそれ以来ふたりは、何者かに付け狙われるようになった。"謎解き屋"を始めた三十路の姫さま・静湖姫は、その不届き者捜しを依頼されるが、同日に発生した別の美人町娘の殺人にも首を突っ込み…。江戸で起こる不思議事件、奔走する姫、熱い視線を姫に送る男たち。恋に事件に大忙しの姫に、幸せは訪れるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 中々味わい深く。
    今回はこのシリーズの恋とは何か、付き合うとは何かというテーマに光を当てる事件がテーマだ。
    人の心の多面性。光と陰。生命の運命である若さと老い。どちらか一方を切り捨てることの異常性を事件として描きだし、人としての生とは異なる要素が同居していて、そして人はすべての要素をさらけ出しておらず、隠し持った存在だと喝破する。
    そうした人間を、作者は愛し、そうした人間が付き合う事を優しく肯定する。『男も女もいろんなものが隠れている。つきあうってことは、それをすこしずつみつけていくことに他ならないのだ。だから、面白いのではないか。』

    いつも、自分の弱い面やどうしようもない面を知られてはいけないと思って、変に力んで臆病になったり、相手のややこしいところを見るのが面倒と傲慢になったりして、今ひとつ良い恋愛のできぬ自分にとって、自分が変な頭で固まっていることに、気がつかせてくれる言葉だ。
    この心に入った皸を広げていけば、恋愛を楽しむことができて、素敵な出会いに恵まれるかも知れない?!

    それにしても、やっと出た、秘剣 燕渡。
    ちとありえんやろー!

  • 2016.10.01.読了

    姫は、三十一シリーズ4冊目
    3冊目までは、以前読んだ記憶がぼんやりあったが、
    この本は初見。

    静湖はいいこと言うよね〜
    好きだわ〜

    昔の恨みとか 妬みは怖いね。
    恨んだ方は忘れないけど、
    恨まれている方は全く覚えてなかったり。

    劣等感がありすぎるのは
    よくないんだろうな

  • 今回の事件のキーワードが、美人画と色で、自分の好みを的確に突いてきた(笑)

    清麿と兄が犯人とはねぇ。
    てっきり足袋屋のおっさんかと思ってた全部。
    ちょっと怪しいなと思う所もあったから清麿も兄も気になってたけど、まさか殺人事件の方とは。
    閉鎖的空間で、音と臭いと灯りでじわじわ攻められたから、自殺しちゃったのか。
    自分は、恐らくああいうの平気だからちょっとうーん?と首を捻りつつ(苦笑)
    嫌いな色の洋服を着せられるのってそこまで嫌なものなのかな?
    暖かかったり、通気性あったりすれば、多少好みでない色の洋服着させられても別に…という感じだからなぁ。
    女子力高くないと共感出来ないのかもしれない。
    ただ、臭いはちょっとキツそうだなと思った…。
    自分から漂う加齢臭だけはちょっとな、クるものがあると思うわ。

    それにしても、剛三郎の鎧硬過ぎる。
    鎧ってみんなあんなもんだったのかな、江戸の頃からも。
    ただ、あの鎧のおかげで静湖姫助かったから良かったんだけどさ。

    そして、やはり御目付役の内1人が静湖姫にホの字。
    戸田の方だったか。
    川本も気がある感じだったけど、戸田に押し切られちゃったな(笑)
    ちょっとした確認のつもりが、かなりガチで返されたって感じだったな。
    ただ、やはり川本も気があったのだとは思うけど、牽制されれば抑えが効くくらいの興味がある程度だったのだろうな。

    ついに燕渡り使っちゃった~。
    せっかく静湖姫が使わないようにって念押しして気も回してたのに!
    御目付役が今回は足を引っ張ったな。
    結果的に、見事に清麿と兄に利用されちゃってさ。
    あんなお芝居みたいな攫い方するからだよ(笑)
    御目付役なら自分達でもっと手の込んだ安全性のある似非誘拐企てれば良かったのに。
    でも、静湖姫の跡つけ回してるのが他の浪人に分かってしまうような甘さじゃダメかな。
    もっと上手く尾行してるもんだと思ってた。

    そろそろ旦那候補出揃ったのかな?
    まだ誰か出てくるのかな?

  • 美人画に描かれた三人町娘へのストーカー事件と同日に発生した別の美人町娘の殺害事件の謎を解いていく静湖姫。和歌の制作も絶好調である。「つくし」の下位ランク「苔」の下まで必要となる出来栄えで、今回は「乾いた苔」との評価だった。「本妻と妾が湯屋で大げんか よくも旦那はこのお二人と」「軽石でかかとの皮を削げ落とし あんなところもそんなところも」まさにおふざけである。

  • 第四弾
    美人画に関係する呉服屋と絵師の偏執
    姫様危機一髪?、並みの姫ではありません

  • サイドストーリーのかたちをとりながら
    様々なことを試している・・・
    作者の意図は挑戦、試み、リサーチなのではないか?

  • 『妻は、くノ一』シリーズの外伝、松浦静湖姫の『姫は、三十一』シリーズの4巻目です。
    今回はアイドルにハマる中年おやじのお話&美しい女性は美しいまま死んだ方が良いってことで、アラフォーで美しさが壊れかけの女性が連続して殺されちゃうお話でした。
    らじママがちょびっとビビってたけど、あくまで「若い頃美しかったアラフォー女性」が狙われるお話なので、ビビる必要はないと思いました。
    サラっと読めて楽しかったです♪

  • 浮世絵に描かれた3人の町娘から始まって
    昔はブイブイ言わせてた(死語)30代の独身女性たち、
    終いには静湖姫までが災難に巻き込まれてしまう。
    今回の下手人たちはその執着の仕方に加えて
    催眠術紛いの方法で心理的に追い詰めるそのやり方にぞっとした。
    あの静湖姫があそこまで憔悴してしまうとは吃驚だ。

    前々から思っていたのだが、このシリーズは、時代劇のカタチを借りているものの
    21世紀を生きる女性たちの物語を描いているような気がする。
    江戸の頃には異端でも、静湖や多歌子、今回被害に遭った女たちは
    現代のアラサー女子としては典型的。
    そう思うと、静湖が思いっきりモテ期に突入していることは
    アラサー女子たちに対するエールなのかもしれないな、とちょっと思ったりした。
    清麿と三国屋の兄弟も静湖に惚れちゃうのかな、と最初は思ったが
    そうならなくてよかったと心の底から思った。
    だってこいつらホントにキモイもん。

    三国屋兄弟が惚れなかった代わりに、北方奉行の2人が静湖に惚れちゃったのには驚いた。
    つーか『とっぴ』って…。懐かしすぎる。
    大の男が使うフレーズじゃないけどな。
    子供かよ。ってんで思わず噴いた。

    ここまで静湖に惚れちゃった人が増えてくると、
    どうやって風呂敷を畳むのか興味津々な反面、
    ちゃんと着地点が見つかるのか若干心配になってくる。
    それもひっくるめて続きが楽しみだ。
    個人的には、岡田とくっついたらベルばらみたいで楽しいなー、と思うのだが(爆)。

  • 絵師の清麿が美人画に描いたことで人気となった町娘2人をつけ狙う者を探す依頼を受けた静湖は意外な事件に巻き込まれる。現代的なストーカーなど女性への異常な執着を取り込んでいるのが面白い。あまりドロドロとした展開ではないが、終盤は異常な出来事に巻き込まれ静湖もピンチとなる。ここから抜け出すのが静湖らしい持ち味発揮で溜飲が下がる思いだ。静湖に惚れてる男たちの行動も愉快で所々に織り込まれるユーモアも効いていて、思わず吹き出してしまうこともあった。恒例の短歌というか狂歌も笑えるが、評価はちょっと拍子抜け。

  • 静湖シリーズの中では一番生臭い話だったかな。
    粋で爽やかで皮肉で可愛らしく笑える謎が多い…と思っていた本シリーズにも、やはり人間くさい生々しい感情があったんだなあと思わせるような最後の謎解きでした。

    当時なら…31は勿論…私の今の歳でも行き遅れと言われたんだろうか。笑えぬ…。

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著者プロフィール

かぜの・まちお
1951年生まれ。’93年「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞してデビュー。主な著書には『わるじい慈剣帖』(双葉文庫)、『姫は、三十一』(角川文庫)『大名やくざ』(幻冬舎時代小説文庫)、『占い同心 鬼堂民斎』(祥伝社文庫)などの文庫書下ろしシリーズのほか、単行本に『卜伝飄々』などがある。『妻は、くノ一』は市川染五郎の主演でテレビドラマ化され人気を博した。2015年、『耳袋秘帖』シリーズ(文春文庫)で第4回歴史時代作家クラブシリーズ賞を、『沙羅沙羅越え』(KADOKAWA)で第21回中山義秀文学賞を受賞した。「この時代小説がすごい! 2016年版」(宝島社)では文庫書下ろし部門作家別ランキング1位。絶大な実力と人気の時代小説家。本作は「潜入 味見方同心」シリーズの完結作。



「2023年 『潜入 味見方同心(六) 肉欲もりもり不精進料理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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