白雪堂化粧品マーケティング部峰村幸子の仕事と恋 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.18
  • (9)
  • (30)
  • (65)
  • (19)
  • (3)
本棚登録 : 470
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006566

作品紹介・あらすじ

中堅化粧品会社・白雪堂に新卒で入社した峰村幸子。看板ラインの「シラツユ」販促キャンペーンチーム担当となった。だが、シラツユの売上は下降線、峰村が先輩の槙さんに相談しながら考えた企画は他のメンバーには理解されない。就職浪人中の彼氏との溝も深まり、さらには情報漏洩疑惑や合併の噂まで聞こえてきて…。眼前にそびえる壁を自然体で乗り越えようとする峰村の姿に頑張る気力が湧いてくる、お仕事小説の白眉。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公の峰村幸子は中堅の化粧品メーカーのマーケティング部の新入社員です。ロングセラーの看板商品である基礎化粧品ブランド「シラツユ」の30周年記念販促キャンペーンチームの担当になりましたが、企画中のデータ収集で「シラツユ」の売り上げがじり貧なことに気がつきます。企画案はなかなか認められず、就職できずに大学院に進学した彼氏とはギクシャクし、それでも同じチームの先輩社員の槙さんに助けられながら、前向きに頑張っていきます。主人公の入社から1年間のお仕事成長物語です。タイトルに仕事と恋と書いてありますが、恋の方は彼氏しか出てきません。

  • 一人の女性の自立。
    そんなふうに括ってしまえるかな?

    周囲に多いタイプ。

    自分は自分の意志で発言、行動しているつもりで胸を張っているけれど、実は自分に影響を与えた人の借り物の言葉を口にして、そのひとを真似て行動していることが傍目には滑稽なくらい見えているのに、本人だけが気づかず、人の意見には左右されない、と公然と言い放つ人。そのくせ、自分には力がない…などと矛盾することも口にする人。

    槇さんや成宮のように行動できる人はさほど多くはないと実感する日々。

    言葉と力が釣り合っている人には、なかなか巡り会えず、組織に属していることの虚しさを感じてしまう日々。

    守るものがなければ、私も飛び出してしまいたいのだけれど。

    そんな自分もまた、口だけ人間なのだなあ…と、嘆息しきり。

    お?と思わせられたのは、壊れかけた峰村と直也の関係が持ち直したこと。よくあるストーリーなら、直也から離れて成宮との新しい恋にでも走りそうなのに。

    なんだかそこは、無条件にうれしかった。直也の成長も、微笑ましく感じた。

    もっとビジネス成功物語的な展開をするかと思っていたが、こじんまりとした身近なテーマでまとまっていた。

    手放しでは良作とは言えないけれど、読んでみても損はしない。そんな作品でした。

  • 気軽に読めるお仕事系の小説で面白かった。

  • 中規模の化粧品会社の新入社員の奮闘記。
    守秘義務というものはあるけれど、飲み屋で話のネタにしないにしても、恋人や同僚には話してしまうことって多々ある。それがいつ自分の首をしめるかはわからない。
    起業するという判断も、転職するという判断も自分の判断だからこそ輝ける。
    マーケティングという仕事は全然想像がつかず、未知だったが自分がやりたい仕事は実はそういったものなのかも、と思った。もうこの年で転職はしたくないけど、部署移動は志願してもよいかも...

  • まだ社会人になって間もない私には、新入社員の幸子にとても近い立場で読むことができた。
    ベテランの人でも、若手の頃を思い出して共感するところが多いのではないかと思う。

    学生とは違う人との付き合い方に驚いたり、会社での理不尽な出来事に納得がいかなかったり。

    入社して間もない人間の方が、会社のおかしなところに気付きやすいものだと思う。
    会社の売上データがまとまってないというのはかなり極端だとは思うが、戦略を立てて動けていない中小企業は多いだろうな。
    他にもワンマン経営者とそれに服従する幹部とか、現状維持に甘んじて挑戦する意欲のない気風とか。
    幸子は30周年にふさわしい企画を、と仕事を与えられたのに、新しいアイデアを提案したら、ほとんど検討してもらえずに却下される。

    みんな最初は違和感を感じるはずなのに、だんだんと「こんなものか」とその状況に慣れていってしまい、不自然さに気付かなくなる。

    私も上記のようなことはほとんど経験していて、他にも、なんでそんな非合理的なやり方をするのか聞いてみたら、「ずっとそうやってきたから」とか、「そういうものだと思っておけばいい」と言われ、しまいには「なんでだろうね?」なんて聞き返された、なんてこともある。
    さらに、他方ではまったく違うやり方で仕事を進めていて、雑用を任された私が二つの部門の間に挟まれて動けなくなったりとか。

    あーもう、社会人は大変だ。

    それでも、幸子は周りの人に支えられながら仕事を進めていく。
    失敗もあるし、まだ学生の彼氏とは就職を機にギクシャクしてしまっているけれど、仕事には全力で当たる。
    その姿を見ると、仕事って楽しいものなのかもと思えてくる。

    仕事への考え方は人それぞれで、うまくいかなくなったときに取る手段も人それぞれだ。
    うまくいかなくても地道にやるのか、環境を変えてみるのか。
    転職したっていいし、しがらみが嫌なら自分で起業したっていい。

    女性のお仕事ものというくくりでは『株式会社ネバーラ北関東支社』もあるが、社会人のいいところも悪いところも見れた本作の方が好み。

    ここのところ滝羽麻子の作品を立て続けに読んでいるが、文章にクセがないので苦にならない。

  • 仕事、恋。
    自分で道を選ぶ。

    幸せかどうかも、自分が決める!

  • お仕事するって、ただ食べていくだけではなくて
    自分の人生の大部分を占める要素。

    でも情熱の持ち方も、誰と何をするかも、
    仕事への捉え方も、人それぞれ。
    結局は、自分の仕事の意義を
    どこに見いだせるか。

    自分が大好きな化粧品をプロデュースすることに
    全力を注げる、幸子の生き方に少し憧れる。
    それだけ頑張れるのが、羨ましい。

  • 人に恵まれると何事もうまくいく。

  • 題名長いな

  • 新社会人峰村の入社一年目を描いた物語。
    同期入社だけど中途採用で、
    社会人経験のある成宮。
    同じチームのキャリアウーマン槙さん。
    そして会社の絶対的存在のマダム。
    就職出来ず院生となった峰村の恋人。
    その他にも必ず誰もが自分にちかしい立場の人物がいるんじゃないかな。
    社会に出たばかりのときは、
    先輩社員がとにかくかっこよく輝いて見えたなとか、今の自分はそういう存在になれているのかな
    とか、これからの人生についてとか…
    過去も未来も考えさせられるお話です。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀧羽麻子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×