かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 610
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006870

感想・レビュー・書評

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  •  万城目氏の名作はプリンセストヨトミでも鴨川ホルモーでもなく、これだ!と断言する。ビジュアル的にもストーリー的にもこどもと動物の組み合わせはずるい。間違いないもの。
     描かれているのは、どこか懐かしくてほほえましい小学1年生の日常。大きな仕掛けはなくとも、悔しいほど楽しませてくれる。
     親指しゃぶりがやめられなかったかのこちゃん。ある日、親指という栓がぽこっと抜け、「知恵が啓かれた」という。
     知恵が啓かれて、内なる好奇心が一気に外に噴出。「いかんせん」や「茶柱」などの難しい言葉を覚え、刎頚の友と出会い、自由研究で注目を浴びるなど、その活躍はとどまるところを知らない。
     登場する猫も少し、いやかなり個性的だ。その名もマドレーヌ夫人。かのこちゃんの家の柴犬・玄三郎の妻で、外国語を話せる(=犬と会話できる)という猫界では稀有な才能を持つ。そのおかげで、近所の猫の中では一目置かれる存在だ。

     生え変わる歯のごとく、人は何かを失うことで成長していく。
     読み終わったあと、あったかいミルクを飲んだように、じんわりとしたものが胸に広がった。

  • 第143回直木賞候補作品
    かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。

    元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。
    (ブクログ紹介ページより)
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    わぁ!猫さんの話だった!
    表紙もきちんと見ておらず、何の先入観もなく読み始めたのでぜんぜん思いがけず...

    やっぱりこの人の作品は不思議なふわっとした感覚のファンタジーで、好きですね~。

    この作品は長すぎないし、文体も優しいし、
    もしかしたらかのこちゃんでも楽しく読めるのでは?

    ふらりとやってきたアカトラ猫のマドレーヌ夫人は、かのこちゃん宅の飼い犬玄三郎と言葉が通じる。
    ただ、通じる犬は玄三郎だけ。
    そしてほかの猫たちは、どの犬とも言葉を通じることが出来ないので、マドレーヌ夫人を尊敬してる。

    かのこちゃんの名前の由来のシーン、
    「わお!」ってときめいた人も多いのでは?

    なんたってほら、お父さんは「鹿と話が出来る人」だよ。

    ここでもまた、異種の動物と言葉が通じる登場人物(犬猫含め)が出てきますが、ここで思い出すのはやっぱり「鹿男」!

    かのこちゃんのお父さんは、もしかして...(´ω`*)
    てほんわりさせてもらえます。
    (あ、答えは出ないです)

    かのこちゃんとマドレーヌ夫人は、短期間の間にたくさんの悲しい別れを経験します...

    それは幼いかのこちゃんには酷ではないかと思うくらい...

    でも、悲しい別れも繰り返して、成長していくんだよね。
    って分かってはいるけど...

    いつかきっと、「ふんけーの友」と再会出来ることを願って。
    そしてこのお話の結末が、ハッピーエンドであることを願って...

    結末がこちらの想像力にゆだねられているところもいいですね。
    いつかまた、読み返してほっとしたい作品です♡

  • まだあんよもできないような赤ちゃんが、ベビーカーから身を乗り出して、真剣に世の中を観察する様子を見ていつも思う。
    言葉をもたない子どもは、どうやって思考を紡いでいくのだろう。

    小学校1年生のかのこちゃんは、大人よりも少ない語彙だからこそ言葉への興味や憧れを持って、どんどん言葉を、知識を吸収していく。
    指しゃぶりをやめて知恵が啓かれたかのこちゃんの、成長へのきらきらとした喜びが、とても微笑ましい。

    かのこちゃんの両親も、決してかのこちゃんを追いたてることなく、かのこちゃんのペースで成長できるようにゆっくりと、あたたかく、そしてしっかり見守っているところに、非常に好感が持てる。
    「うるさい」とか「めんどくさい」とか言わないところがね。

    かのこちゃんの家で飼っている老犬の玄三郎。
    ゲリラ豪雨の日にその犬小屋に避難したことから玄三郎の妻となったアカトラ猫のマドレーヌ夫人。(名前の由来は、焼き菓子のマドレーヌに色が似ているから)
    この夫婦の静かで穏やかな愛情の交流もまたよい。

    かのこちゃんにはかのこちゃんの冒険が。
    マドレーヌ夫人にはマドレーヌ夫人の冒険がそれぞれあり、頭と体を精一杯使って自分のできること、なすべきことをする。
    もちろんできないことはある。乗り越えられない壁。

    泣きたいほど悲しいことも前向きに受け止め、いつかという日を信じて自分の道を進んでいく潔さ。
    高く広がる青空のように清々しい物語。

    ところでかのこちゃんのお父さんは、「鹿男~」の関係者の方なのでしょうか?
    そして老犬の玄三郎。
    私のイメージは「めぞん一刻」の惣一郎さんでした。

  • 面白かった~!かのこちゃん(※小学生)は可愛いし、マドレーヌ夫人(※猫)は気高くて義理人情に厚いし、夫人の旦那の玄三郎さん(※犬)も、おじいちゃんなのに男らしくて優しくて理想の旦那さん(笑)。小学生の日常も微笑ましくて可愛くて、それを見守る大人たちの視線もとても温かい(鹿と喋れるお父さんはもしかして・・・?)。最初から最後まで非常に良い気分で読めました。

  • かのこちゃんかわいい!!
    とても純粋で、真っ直ぐでとても愛くるしい
    マドレーヌ夫人、あなたに会いたい!!
    とても気高くて、美しい心を持ったあなたが
    とても好きです

    マドレーヌ夫人はふらっとかのこちゃんの家の飼い猫になった。そこで出会った夫で犬の玄三郎と愉快なかのこちゃん一家と生活することに…
    はじめはかのこちゃんの、知恵が拓かれた瞬間を描いた物語。親指をしゃぶる癖が抜けなかったかのこちゃんだが、ふとしたときにマドレーヌに親指を舐められ、その信じられないくらい臭い匂いを嗅いでしまったことから親指しゃぶりを脱することに成功する(笑)
    あとすずちゃんとの出会いも素敵だったなぁ。
    次に描かれたのはマドレーヌ夫人が「猫股」になって、かのこちゃんに助言したり、玄三郎のためにお肉を入手したり、空き地を救うと思いきや、それが夢だったという物語。でも夢でありながらその勇気はちゃんと伝わっていて、心が温かくなった。
    次に描かれたのはかのこちゃんとすずちゃんの別れの物語。2人が夏祭りで過ごす楽しい時間や、別れの瞬間はとても儚くキレイだった。
    最後はかのこちゃんとマドレーヌ夫人の別れの物語。玄三郎をがんで亡くし、かのこちゃんは夫を亡くしたマドレーヌ夫人に家に縛られなくてもいいんだよと首輪をとって解放してあげることに…最後2人は離れ離れになったが、かのこちゃんがいつかマドレーヌ夫人とまた出会えたら嬉しいな。

    本作を通して、
    無垢な心や初心を改めて教えてもらえた。
    万城目さんはいつも私に
    かけがえのない想いを伝えてくれる。
    これからも万城目作品から目が離せない!!

  • 万城目さんらしいファンタジー色は出しつつ、また新しい物語を読ませてくれた。
    最初の「知恵がひらかれた」というので引き込まれた。
    あまりに現実と離れていて冷めてしまう、みたいなことがないのが万城目さんの小説。
    かのこちゃんの可愛らしさや、マドレーヌと玄三郎夫婦が醸し出す空気が魅力的で、別れの話には切なさと透明感があって、総じてやっぱり面白かった。

  • かのこちゃんは、小学校一年生、源三郎という老犬の、小屋に、雨が激しく降っていて、野良猫が、入っていた三毛猫が、かのこちゃんのお母さんの、得意な、マドレーヌの色なので、マドレーヌ、夫人と名前を付けられたマドレーヌ夫人も源三郎犬も、動物同士話ができる普通は、尻尾は、二つに、割れないのに、割れたため、人間の人に、なったりする、かのこちゃんは、親指を、しゃぶる癖が治らず、すずこちゃんという、友達ができ、リアルに、女の子、らしさがあり、私にも知らない言葉を、知っています、思わず笑えます、かのこちゃんの、好奇心や、飼っている、動物達の別れなどで、経験を、することにより成長します、素朴さが、表れて、正直が、大切な事を、学べます。

  • 7-8年ほど前に読んでいたものを再読。

    日常の中でおこる小さな奇跡、そしてもたらされる確かな成長に心暖まります。

  • ◯「ちえがひらかれたのよ、お母さん」とかのこちゃんは自信満々の声で答えた。(22p)

    ◯さようなら、マドレーヌ(212p)

    ★子供の頃の気持ちを、そのまま封じ込めたような作品。

    ★玄三郎さんとマドレーヌ夫人とのやり取りが尊い。

  • かのこちゃんとマドレーヌ夫人(角川文庫)
    著作者:万城目学
    発行者:KADOKAWA
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    老犬と猫と女の子の冒険に満ちた日々を描いた作品です。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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