櫻子さんの足下には死体が埋まっている (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006955

作品紹介・あらすじ

北海道、旭川。平凡な高校生の僕は、レトロなお屋敷に住む美人なお嬢様、櫻子さんと知り合いだ。けれど彼女には、理解出来ない嗜好がある。なんと彼女は「三度の飯より骨が好き」。骨を組み立てる標本士である一方、彼女は殺人事件の謎を解く、検死官の役をもこなす。そこに「死」がある限り、謎を解かずにいられない。そして僕は、今日も彼女に振り回されて…。エンタメ界期待の新人が放つ、最強キャラ×ライトミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~、まさにキャラミスここにありですね(笑)
    最初は携帯小説かと侮っていたけど、
    なかなか読ませます(笑)


    北海道は旭川の情緒あるモダンなお屋敷に
    ばぁやと二人きりで住む
    正真正銘のお嬢様、九条櫻子(くじょう・さくらこ)は
    傍目には男物の白いワイシャツにジーンズという素っ気ない服装に身を包む
    黒髪長髪の長身美人。

    しかし、そんな完璧なバックボーンや目を引く美貌とは裏腹に(笑)
    その実体は
    ヘヴィメタルを愛聴し、
    生きている人間より
    死んだ生き物の『骨』に恋い焦がれ、耽溺しているという
    かなりの変わり者(笑)

    骨採取の為、絶えず動物の死骸を探し周り(苦笑)
    素っ気ない男言葉で誰彼かまわず毒舌を奮い、
    高校生の少年に向かって
    自慰や射精についての知識を披露する(笑)
    およそ、女性らしくはないキャラに
    まずぶっ飛びます(笑)
    (ところがどっこい、この櫻子さん、甘いものに目がなく、子供のように唇を尖らせて拗ねてみたり、誰をも骨抜きにするキラースマイルを持ってたりと、所謂ギャップ萌えの要素にも事欠かない魅力を持ってたりするのがミソなのです笑)

    そんな櫻子さんに翻弄されながら、
    いつも食べ物に釣られ助手を務めるハメになる
    平凡な高校生、舘脇正太郎の
    未来からの回想というスタイルで綴られていく連作短篇集です。

    少年が密かに恋い焦がれていた薬剤師が亡くなった密室事件、
    海で見つけた頭蓋骨と心中事件の謎、
    秘密の降霊会の裏に潜む一人の男を巡る愛憎劇など、

    死体や骨という言葉から
    猟奇的な展開を想像してしまいがちだけど、
    心配は無用です(笑)

    ラノベへの偏見がある人には
    あえてオススメはしないけど(笑)、
    捻りのあるオチと
    法医学の知識もよく調べてるなぁ~って思うくらい感心させられるし、
    どの話もどこか物悲しくて
    人間の愚かさを上手く描いてます。
    (自分はドラマ『ケイゾク』のあの暗いテイストを思い出してしまった笑)

    骨の知識やうんちくが書けてるのは勿論だけど、
    旭川が舞台なため、北海道に関するあるあるや、道民以外は知らない情報や
    ほっぺが落っこちそうな美味しい食べ物が随所に出てくるのも
    ちょっとした楽しみがあります。

    なんといっても
    少年が年上の女性と出会い大人になっていくストーリーは
    甘酸っぱくもほろ苦くて
    自分の好きなテイストなんですよね~(笑)
    (モニカ・ベルッチがまばゆかった『マレーナ』とか、リン・ミンメイと早瀬未沙の間で揺れ動く一条光を描いた初代マクロスとかね笑)

    甘ったれで幼い正義感や道徳観しか持たない少年の鼻をへし折ってくれる年上の女性という構図にもニンマリやし、
    櫻子さんを異性として意識する禁断の展開もお約束ではあるけど、期待してしまいます(笑)


    それにしても姿を現さない櫻子さんの許婚の存在や(笑)
    まだ明かされてない正太郎少年と櫻子さんとの出会いの事件も気になるし、
    なんやかんやと次巻も読んでまうんやろなぁ(^^;)

  • 北海道旭川のBONES!?
    古めかしい館に住む、お嬢様の九条櫻子。
    骨への情熱がすぎて、動物の死骸を拾ってきては庭に埋めたり、鍋で煮たり。
    そんな櫻子に振り回される高校生の正太郎は、今日も櫻子さんに引っ張りだされ、また事件に遭遇。
    姉と数日前から連絡がとれないと連絡があり、マンションのオーナーの母に駆り出された正太郎たちが発見した遺体。
    海辺の街で起きた心中事件の真相。
    櫻子が訪れた薔薇園のオーナーの家で行われた降霊会で暴かれたものとは。

    櫻子さんと僕が遭遇する事件たちは陰湿で後味が悪い、のだけど、櫻子さんのブレナンばりの空気の読めない、率直さが空気を変える。
    悶々としている気持ちの整理を強引につけるような。
    北海道旭川の周辺観光も兼ねたような描写も楽しい。

  • 昔からお気に入りのシリーズ。
    内容の読み応えに加え、登場人物も魅力的であり、更には舞台となっている旭川についても知る事ができる。
    私自身、この本を読んで北海道に行きたくなった。

    この本の大きな特徴は、ご遺体の状態がかなり詳しく描かれている事である。
    他のミステリーでも、「腕時計の位置」や「倒れていた場所」といったことは出てくるが、櫻子さんはそれらに加え、法医学の観点からも謎を解くヒントを探っていく。
    法医学で分かることとして、例えばご遺体の何を見て死亡推定時刻を決めているのかなどがある。

    ミステリーを読む中で、あまり気にした事のなかった事に注目している面白い本である。


  • 旭川が舞台と聞いて、読んでみた。

    「ライトミステリ」なるジャンルを初めて読んだ。
    確かに、全体的に雰囲気が軽く、読みやすい。

    主人公の少年は平凡な高校生で、RPGの主人公(笑)のようにキャラが薄く、ありがちな設定。
    一方、タイトルにもなっている櫻子さんは、「骨好きのお嬢様」という風変わりな設定で、そのキャラを生かして物語が進行していく。

    しかし、登場する各人物の描写が甘いために、誰の台詞か分からないものがあったり、会話の流れに違和感があったりする部分が何点かあった。
    読んでいて、文章の構成を直したい衝動に駆られてしまう。

    ストーリーやミステリ要素も、ありがちなものに感じられた。

    一方で、テーマである「骨」と「北海道」に関しては、よく調べられていて説明も分かりやすかった。

    特に旭川ネタについて、ザンギ、ゆめぴりか、ななつぼし、ほしのゆめ、などなど名産の美味しい食べ物の描写がでてきて、食欲がわいてくる。
    他にも、「夕方の地元情報番組」って「どさんこワイド」か?とか、「道内経済誌」って「北海道経済」か?とか、地元ネタが色々と分かってしまっておもしろい。

    増毛のエビもおいしそうで、とてもよい。

    こんなにローカルネタ満載の本が、全国で売られていて、「王様のブランチ」などでも紹介されていることに驚きである。

    「僕は時間の死んだ街で生まれた。「良くも悪くもマイペースで強情で、変化を嫌うこの街では、澱んだ時の流れすら平穏だとか、安寧と呼ばれる。変えられない、変われないのでは無く、そもそも変えたいと思わないのだ。まるで大腿骨のように強靭なまでの真一文字さが、この街には絶えず横たわっていて、人々の心までせき止めている気がする。」
    「この街には、いたる所に退廃や、停滞といった、鈍重な空気が漂っている。」「旭川の人間は、生来変化と異端を嫌うのだ。」

    まさにそのとおり。

    そんな旭川でも、このような小説の舞台になるということに驚き、喜ばしく、誇りに思う。

    旭川関係者にも、北海道好きにも、ミステリ好きにも、いろいろな人に読んでもらいたい小説。

  • タイトルにインパクトがあるし、シリーズ化されているので本屋さんで見かけることもしばしば。
    気にはなっていたけど、「そのうち読もうかなぁ」と保留本でした。
    で、TVドラマ化されるというので、読んでみました。

    さくっと読了。
    うん。軽い(笑)

    「エンタメ界期待の新人が放つ、最強キャラ×ライトミステリ!」

    とのことですが、確かに。

    骨が大好きなお嬢様の櫻子さんは、なかなか個性的で魅力のあるキャラです。

    そしてストーリーはミステリーというには浅いというか薄いというか物足りません。が、なるほど、だからライトミステリなんですね?と納得(笑)

    突っ込みどころは色々ありますが、なかなか面白かったです。

  • 太田紫織による骨に魅了されたお嬢様とその知り合いの高校生が繰り広げるライトミステリ第一弾。
    なぜか骨が大好きなお嬢様・櫻子の性格はとてもお嬢様とは言い難いが、骨好きに伴う知識の幅広さは、叔父が監察医という設定とも相まってマニアックなまでにすごい。さらに、動物でも人間でも、骨に関わりそうなら腐敗臭もなんのそので、ある意味お近づきになりたくない人物だ。
    そんなお嬢様となぜか親しく、何かあればご飯まで食べさせてもらう奇特な高校生・正太郎も頼まれたことは断れない、流されやすく巻き込まれやすい人物だ。
    ぱっと見はよくあるような設定ではあるが、骨にまつわる物語の軸としてこの設定がうまく効いていて、物語ひとつひとつも程よい長さでまとめられているため、さらりと読める。
    体裁はライトノベル然としており、実際そうなのかもしれないが、法医学や骨にまつわるウンチクについては非常に高度かつ端的にまとめられていて読み飛ばすこともなくヘェ〜と思う場面も少なくない。
    本書一冊でまとまるなんてことははなから考慮されていない感じで、当然のように続巻が刊行されている。

  • 死体は出るけど、グロいけど、どこかマイルド。これぞラノベマジック。
    櫻子さんはまあいいけれど、正太郎が凡庸すぎて面白みがない。さらに幼すぎで違和感がある。
    ネタはまあまあ。

  • ホームズ美人令嬢&ワトソン高校生コンビミステリー謎解き短編集

    令嬢櫻子さんの「骨標本」趣味と孤高の人格が、物語を圧倒的な力で牽引しています

    櫻子さんは自分のツボです

    伏線いっぱいで、続きも是非拝読いたします

  • 既視感のあるキャラ、最近こういうの多いですね
    高校生が助手というのも違和感あり

    その割に、推理のほうは奇をてらうことなくまともです
    しかし、標本士という設定はいまいち生きていません
    校閲しているのか?というミスも目につきます

    死を感情的に捉える高校生に対し、生き物には避けられない事象の一つとしか見ていない櫻子さんという対比とも読めますが、ん~・・・

    以後の展開に期待させる記述も見られますが、続編を読みたいかと言われると微妙なところ
    暇があれば手に取るかも?

  • 漫画的なミステリーとでも言いましょうか、コナン的というか?なんというか?
    サクサク読めるけど、飽きる、、、かも。
    犯人との関係とかその裏にある心理描写は火サスばり。笑

    だね。そんなもんだよね。

    と、実際にはなさそうな設定の中の、よくありそうな人間ドラマです。笑!

    舞台が旭川で、作者も旭川出身の人なので、旭川人はまた違う楽しみ方ができるかも!?です!!!
    暇つぶしには最適だし、小説苦手でも読めそうな一冊!

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著者プロフィール

北海道札幌市出身。2012年まで旭川市在住。小説投稿サイトE★エブリスタにて作品を発表し、高い筆力で人気となる。同年、「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」にて、E★エブリスタ 電子書籍大賞ミステリー部門(角川書店)優秀賞受賞(Eleanor.S名義)。他に、怪盗ロワイヤル小説大賞 優秀賞、E★エブリスタ×『カルテット』小説コンテスト 大賞を受賞。著作に「昨日の僕が僕を殺す」シリーズ、「涙雨の季節に蒐集家は、」シリーズ(共に角川文庫)などがある。

「2022年 『後宮の毒華』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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