- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041007075
作品紹介・あらすじ
彼女と会ったとき、誰かに似ていると思った。何のことはない。その顔は、幼い頃の私と同じ顔なのだ。生徒に対して距離をとって接する私が、彼女にだけ近づいたのは自然な流れだった-。夜の海辺で、恋人と過ごした日日を回想する私。だがその裏には、これまで見えていなかった真実が息を潜めていた。(「眠りの海」)「このミステリーがすごい!2000年版」第10位!透明感溢れる哀切と驚きにみちた、デビュー短編集。
感想・レビュー・書評
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どの短編も語り手の温度が低いと感じられた。たぶん、彼は世界を客観的に眺めていて、向き合う相手の傷に直接手を触れずにいるからだと思う。相手は傷について触れて欲しくないと思いつつ、実は触れて欲しいんじゃないかと思う。ひとりでは抱えきれない荷物をほんの少しでいいから持ってほしい。けれど、彼はそれを許してくれない。そんな印象だった。
だから、怖いと思った。
その時の読み手の心持ちで、読後感が180度代わる世界だと思ったから。人は何かをなくしながら生きていく。そして何かを残し死んでいく。そこに希望を見いだす人もいるだろうし、救いのなさを見る人もいると思う。今回わたしはどちらかといえば後者だった。
ただ、どちらにとっても言えること。人は決して綺麗な心のままでは生きられないということ。なくしたものは簡単には見つからないということ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
MOMENTに引き続き、今度はMISSING。「瑠璃」ってのが良かったという感想が多かったので期待して読んでみました。が、なんか、個人的にはいまいちだったな。「蝉の証」は良かったけど。質的にはMOMENTの方が上に感じます。本屋に行ったら文庫で新作"正義のミカタ"が出てましたぁ~。今読んでいるのが終わったら読んでみようかな。
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久しぶりの本多さん
どこか遠いような世界でそう遠くないような世界
いや、やっぱ遠いのか?
そんな絶妙な世界観というか人間関係というか
綺麗事抜きの人間の本質を描くのがうまいなあ
本多さんは。 -
p.2022/10/10
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2回目。覚えてない話半分くらいあった。ちょっと村上春樹っぽい雰囲気(病んだ男の子の話とか)あるかも。好き
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3.5。普通人には見せない仄暗い感情や後ろめたい感情、綺麗なだけではない人間が描かれている。瑠璃が私はすきだった。
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このミステリーがすごい2000年版第10位。
短編5編。
各編それぞれどこか切なさを感じる。
それとちょっとしたミステリー要素が入ってる?ような気がする。短編なのでサクッと読める。面白かった。
個人的には「眠りの海」と「蝉の証」が好きな作品。