- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041007884
作品紹介・あらすじ
死ぬことだけ考えて生きている、うつの男。死に場所と決めた廃屋で見つけたのは朽ちる寸前の手紙の束。男は放置された7通を郵便局員に代り配達することにした。すべて届けたら自殺してラクになる、そう決意して……
感想・レビュー・書評
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32歳、ウツ、妻子あり。
感情は喪失し、毎日を芋虫のように暮らす澤野。
ある日、死に場所として入った廃墟で、届けられず捨てられた7年前の手紙の束を発見する。
そうだ、この7通の手紙を届けてから死のう。
心を亡くした男が届ける、心を繋ぐ7通の手紙の物語。
知人に勧められて借りました。
著者がうつ病だったということがあり、鬱の描写がとてもリアル。
感情の喪失や色のない世界、動けない体に、取り纏う希死観念。
体験記ではなく小説でこんな風に鬱独特の症状を描いている作品は希少かもしれないですね。
7年前に届けられるはずだった手紙が時を越えて届くことで様々な物語が生まれますが、共通して思ったのは、タイミングって大きいなということ。
タイミングが違えば結果は違っていた。そういうことは現実にたくさんあって、むしろそういう些細なタイミングのズレや一致で生まれた結果の積み重ねが人生を創っているように感じます。
一般的な「良い」「悪い」という物差しとは別のところで物語が紡がれているのもよかったです。
時を越えて届けられる手紙って、なんだかいいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
思いは届けるためにあり、そうして、人は届けるために思う。それがいつまでも、途切れることなく、くりかえされる。
7通の手紙を届けてから死ぬって決めて、配ってるうちに鬱の自分の心の変化に気づく。植物状態になってはじめて、生きていないと伝えられないことを知る。心から生きたいと思う。誤解だらけの世の中、人間関係。終わってからじゃ遅い。公開も全部受け止めて前に進むしかない。思いも口にするべきって知らされた。
教師も誤る。親も間違う。社会に理不尽な差別を受ける者もいる。まっすぐ進めるかは本人次第。 -
うつの怖さ
人とを結ぶもの
最後の描写にドキッとしました。
え、、、
最初は、もっと軽く読めるものかと思っていましたが、
進めれば進めるほど
7年前の手紙が紡ぐ思いに心を打たれました。
1人だと孤独を感じている人には読んでいただきたい一作です。 -
目的を達成する頃には回復するかと思いきやそう来るか!意外な顛末ながらうつ病は深刻だ、本当にそう思う
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言葉の選び方が一色さんらしいのと、経験上うつ状態の主人公がとてもリアルでした。各章がマイナスからプラスに増えて行くのもほのかな希望を感じました。しかし、ドラマ版を見られなかったことを悔いています。DVD化されてないようだし。。