- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041008225
感想・レビュー・書評
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江戸の袋物屋である三島屋に身を寄せているおちかは、「黒白の間」で江戸に住む人々の不思議な話を聞く。
ある丁稚の周りでは水が逃げ(逃げ水)三島屋の隣家での嫁入りは不思議なしきたりがあり(藪から千本)幽霊屋敷に住む→
“くろすけ”は三島屋の丁稚である新太の知り合いの師匠と出逢い(暗獣)偽坊主の過去には恐ろしい村があった(吠える仏)
「暗獣」のお話がとにかく良い……やさしい、やさしい怪談……泣いちゃうぅぅぅ!!
「逃げ水」もかわいいお話。まぁ、大人の身勝手なところもあるけれども、平太とお旱様が→
かわいい。
「藪から千本」はなんとなく針千本飲んだような話で「吠える仏」に至っては普通に怖い怪談だったけど。
2作目ではおちかちゃんの周りの人間が増えて、“おちかちゃんの物語”に厚みが出た感じ。時代小説感があっていいよねぇ。
青野先生が今後どう絡むかも楽しみ!
以下、リアルタイムツイート
1話目から子供の話で、好き!ってなってる(宮部さんが描く子供が好き)
おちかちゃん、だいぶん大人になったなぁ。しっかりしてる。まぁ、前作のラストみたいなことがあれば色々肝も座るわな(笑)
2話はなかなかにヘヴィなおはなし。
そう落ち着くのかぁ……からのラスト!お民さんに笑っちゃった(笑)
お勝さんがとても良い。おしまさんとの対比が楽しいなぁ。
そして3話はまた新太のお話だぁ( *´艸`)この巻、子どものお話が多くて好き!
くろすけぇぇぇぇ。・゚(´□`)゚・。
(あんじゅう、第3話読書中)
何という……何ということなんだ……。あんなにニコニコしながら読んでいたら、うっかり泣きかけた……てか、一人なら号泣レベル。
まだだ、まだ終わりじゃない……きっとこの先にしあわせが……てか、本件がまだ片付いてないじゃないか。
「おまえは再び孤独になる。だが、もう独りぼっちではない。(中略)お前がここにいることを知っているのだから」(481ページ)
こんなん、泣くしかないやん!うわぁぁぁぁん。・゚(´□`)゚・。
世間に交じり、良きにつけ悪しきにつけ人の情に触れていなくては、何の学問ぞ、何の知識ぞ。(502ページ)
うわぁ……キッツいなぁ(笑)
そうだね、そうだよ。だからこその
人は変わる。いくつになっても変わることができる(502ページ)
なんだね。
ぐぁぁぁ。この話すごいな!
ちょっと放心してる……。めちゃくちゃええおはなしを読んだ……。
このお話読んでから書影見たら……ぐぁぁ!!
あんじゅう、を昨夜読み終わる。
とても良い短編集だった……。
三島屋ファミリー、最高……フィクションだからこその最高さがある……。
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ご飯もなんも世話のいらない可愛いくろすけ!
うちのマンションもクソボロいので、くろすけ出てこないかな〜って思いながら読んでいました。
色々な三島屋助っ人キャラクターが出てきて、賑やかになって面白くなってきました。
一層先が気になる展開に。。 -
シリーズ一作目の『おそろし』も雰囲気・内容ともに好きでしたが、『あんじゅう』に収録されている話が圧倒的に好みです。
特に「藪から千本」のドロっとした生温い沼みたいな怖さ、次の「暗獣」の不思議さと切なさという緩急に、しばらく読後の余韻が引きませんでした。
一作目以上に人の内面にクローズアップした話になっていたように思います。
「どんな幽霊よりも結局生きた人が一番怖い」みたいな感想は怪談好きとして安直に言いたくはないのですが、今作は生きた人の浅ましく恐ろしい部分と、神仏や怪異の超自然的な恐ろしさのバランスが、私としてはとても丁度いい塩梅でした。 -
「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」(宮部みゆき)を読んだ。 三島屋変調百物語 シリーズ二作目です。
『くろすけ』の経緯(ゆくたて)に涙する。
〈結局、人の心の闇がいちばん怖いんだよな。とは言え、人の心の優しさがなにより一番暖かくて救いをもたらしてくれるのも確かだから。〉 などと今更わかりきったことをあらためて思う65歳の老人なのである。 -
このシリーズで一番好きかもしれない。あんじゅうの無垢なる愛らしさと哀しみが何ともいえない。
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神田三島町の袋物屋の三島屋。
主人伊兵衛の姪のおちかは、実家の川崎宿の旅籠丸千から行儀見習いの名目で託されている。
おちかには、三島屋に託されるわけがあった。
「人は、身体を動かしていると物想いを忘れる。だからこそおちかは働きたがったのだし、同時にそれは、厳しく躾けられ使われることによって己を罰したい、罰してほしいという切実な願いでもあったろう」(序 変わり百物語 P6)
少しの偶然から伊兵衛の趣味の囲碁部屋「黒白の間」で、一度に一人ずつ、一話語りの百物語の聞き集めが始まった。
「『神様でも人でもさ、およそ心があるものならば、何がいちばん寂しいだろう』
それは、必要とされないということさ」(第一話 逃げ水 P113)
「人は、心という器に様々な話を隠し持っている。その器から溢れ出てくる言葉に触れることで、おちかはこれまで見たこともないものを、普通に暮らしていたなら、生涯見ることができないであろうものを見せてもらってきた。
そこに惹かれている」(第二話 藪から千本 P151)
「『世間に交じり、良きにつけ悪しきにつけ人の情に触れていなくては、何の学問ぞ、何の知識ぞ。くろすけはそれを教えてくれた。人を恋ながら人のそばでは生きることのできぬあの奇矯な命が、儂の傲慢を諫めてくれたのだよ』
だから加登新左衛門は、子供たちに交じって暮らす晩年を選んだのだ。
人は変わる。いくつになっても変わることができる。おちかは強く、心に思った」(第三話 暗獣 P502)
「『騙(かた)りが易しいのは、己は信じておらんことを、言葉だけをつるつると吐いて、他人に信じさせようとするからじゃ。真実(ほんとう)のことを語るのが難しいのは、己でも信じ難いことを、ただありのままに伝えようとするからでござろうな』」(第四話 吼える仏 P598)
人間にとって、最も難しいことのひとつは、人間関係だろう。
お互いに、そして世間に関わり合うからこそ、悩み、傷つき、苦しむ。
だが、それを癒やすヒントも人との関わりの中にこそある。
百物語は、始まったばかり。
おちかと、彼女の大切な人々が、現実の中で前に少しずつ進んでいく物語。
その姿は、心の奥の大事なものに火を灯してくれる。 -
あんじゅうは何度読んでも泣いてしまう…
くろすけの師匠と奥方に懐く姿がいじらしい。