檸檬 (角川文庫)

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感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008386

感想・レビュー・書評

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  • 「檸檬」
    常にそわそわふわふわした感じが普段のわたしと似ているなと思った。でもきっとこの人も側から見ると少し変わっているだけで、常軌を逸した訳ではないのだろうな、と。

    「城のある町にて」
    目の付け所が無邪気で少年のようだった。言葉選びもわたしと違うけどわたしと似ていた。すごい読みにくいのに読みやすい。同族嫌悪かな。本読んでてこんなに「どうしてこう書いてるの?」って思わないの初めてかも。梶井基次郎がどう思ってたか分からないけど似通ってる。わたしならこう思ってこう書くって考えやすい。

  • この評価はあくまで作品に対する一般的な評価ではなく、現時点の自分においての評価となります。
    というのも、馴染みのない言葉で書かれていることや、話の展開も起承転結がなかったりすることで、正直ほとんど納得しながら読むことができなかった。読み終えるために読んでしまったような側面がある。この作品は純粋に楽しいと感じながら読める方、すごいなぁ。

    ただ、これだけ世の中に評価されている作品を、今後読める自分になっていきたいので、文豪の名作は継続的に読むようにしていきたい。

    その中でも以下は比較的楽しみながら読むことができて嬉しかった。
    「冬の日」
    語彙も平易で、ストーリーも入ってきやすく、文章性もあり、よかった。
    病気に衰弱していく彼の心情の変化を感じることができた。

  • 目次
    ・檸檬
    ・城のある町にて
    ・雪後
    ・Kの昇天
    ・冬の日
    ・桜の樹の下には
    ・冬の蠅
    ・ある崖上の感情
    ・闇の絵巻
    ・交尾
    ・のんきな患者
    ・瀬山の話
    ・海
    ・温泉

    堀辰雄に続いて読んでみた梶井基次郎。
    同じく病弱で、散歩が唯一の治療というような日常だけど、文章が全然違う。

    小説の文章というよりも詩?哲学?
    余計な描写を削ぎ落した文章は、切れ味が鋭くて色気がある。ような気がする。

    『檸檬』『桜の樹の下には』『冬の蠅』などは何度か読んでいるくらい好きだけど、今回は未完の習作と遺稿の『瀬山の話』『海』『温泉』が気になった。
    特に、『瀬山の話』の中に、完成稿になる前の『檸檬』が挿入されている部分。
    または同じモチーフを何度も書き直している『温泉』。

    当たり前だが、改稿後の方が明らかに出来がいい。
    だけどこれは、病み疲れ体力を失った体でできるものでは、なかなかない。
    言葉を足し、引き、表現を変え、視点を動かし、ひとつひとつの文章の最善を探すには、どれほどのエネルギーを必要とするのだろう。

    堀辰雄よりも前の時代の人だけれど、精神的にはいまの時代に近い人なのではないだろうか。

  • 先日まで三島由紀夫を読んでいたため、短っ!と驚いた。とにかく端的。内容も分かりやすい。

    今は教科書に載っているのかな?
    それを聞いて、教材として素敵だなと思った。
    解釈することでだんだん檸檬が生きてくる。

  • 梶井基次郎の短編集
    大体の主人公は病気を患い(主に肺病)
    病鬱を抱えている
    その鬱屈を時に散文の様に
    時に物語に織混ぜて書く

    リズムとユーモアと哀惜が入り混じる独特な短編集
    生のきらめきや喜びより患う苦しみに多くの行を割くが、生へのあからさまな執着心は描かない
    死への恐怖も
    いつもの景色の昼と夜
    路地裏、溪間など風景描写や生活に病気と共存する煩わしさ、悲しみを書く

    陰鬱なはずの言葉なのにそうとは感じないのがとても不思議で魅力なんだろう
    感傷を誘うかと言うとそうではない
    読みやすいかと言われると散文的でストーリーがない部分が多く読みにくい
    それでも、ページを繰ってしまう

    そういう妙な魅力を持つ本
    夭折が惜しまれる
    もっと多くの著作を読みたかった

  • 難解で読みづらいけど、読み切れた
    情景が想像できたら、もっと面白く読み切れるはず

    梶井基次郎の生い立ちを知って読み直したいと思う作品だった

  • むかし読んだ本をふと読み返したくなり、檸檬を読んだ。
    全編通して読んだら加筆します。

    人生山あり谷あり。
    病気をしたり、貧乏したりして弱ってしまった時、主人公はふと、これまで楽しかったはずのものが、重苦しかったり、煩わしいものになってたりすることに気付く。
    と、同時に、昔の自分であれば気付かなかった檸檬の美しさに気付く。
    「つまりは(檸檬の美しさの根底にあるものは)この重さなんだな」だなんて本気で思ったりして、鬱屈した気分が晴れたりする。

    私も、炎のゆらぎや、煙ののぼる様を見ると癒やされる時があったりして、こんなどうでもいいことが、どうしてこんなに落ち着いたりするのだろうかと思ったりする。
    やらなければいけないことと向き合うことが出来なくなったりして、中途半端に手を付けたものの、逃げ出したりもする。
    そんな主人公の感覚が、文章表現が、私の人生とも重なる部分が多く、とても共感して読むことができました。
    貧乏して、病気になって、弱ってしまっても、弱ってしまったからこそ、こんなただの檸檬に美しさを見出だせるのなら、人生って捨てたもんじゃないなと、美しいんだなと、思いました。

  • 檸檬の他、「瀬山の話」が面白かった。

  • 檸檬 読書メモ

    何だかよく分からない鬱屈感を、何だかよく分からない方法で解消させる。それは自分にも身に覚えがあるかも。

    主人公は、檸檬を用いたマインドフルネスをしているようにもみえた。五感をフル活用して檸檬を観察して、不安を解消しようとしているのかも。




  • 日本橋の丸善にいくと思い出す作品ですね。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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