- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041008386
感想・レビュー・書評
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全体を通して陰鬱な雰囲気と独白的な文章が多いのであまり面白さは分からなかった。
いつか魅力に気付くときが来るのかしら?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
病鬱と神経衰弱、不眠。そんな日々から見つける刺激や興奮や妄想。内容は重々しいのに、描写が詩的でとてもきれい。
何度も読み返せば、また違う目線、捉え方ができそうなので、これから何度も読みたい短編集です。 -
重松清の「エイジ」作中で表題作が引用されていて購入。心地よくて気を抜くとすぐ眠くなってしまう一冊。冬の蠅まで読了。表題作は檸檬を持つと元気になる気の病んだ人が丸善に行って檸檬を置いて、「檸檬爆発したらおもしろいなあ」と空想する話。全体的に病人の気の弱った雰囲気が伝わってきて、加えてきれいで詳しい情景描写がまた哀愁を出してるように感じた。「桜の樹の下」や「冬の蠅」の着目点も面白かった。
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「檸檬」
常にそわそわふわふわした感じが普段のわたしと似ているなと思った。でもきっとこの人も側から見ると少し変わっているだけで、常軌を逸した訳ではないのだろうな、と。
「城のある町にて」
目の付け所が無邪気で少年のようだった。言葉選びもわたしと違うけどわたしと似ていた。すごい読みにくいのに読みやすい。同族嫌悪かな。本読んでてこんなに「どうしてこう書いてるの?」って思わないの初めてかも。梶井基次郎がどう思ってたか分からないけど似通ってる。わたしならこう思ってこう書くって考えやすい。 -
この評価はあくまで作品に対する一般的な評価ではなく、現時点の自分においての評価となります。
というのも、馴染みのない言葉で書かれていることや、話の展開も起承転結がなかったりすることで、正直ほとんど納得しながら読むことができなかった。読み終えるために読んでしまったような側面がある。この作品は純粋に楽しいと感じながら読める方、すごいなぁ。
ただ、これだけ世の中に評価されている作品を、今後読める自分になっていきたいので、文豪の名作は継続的に読むようにしていきたい。
その中でも以下は比較的楽しみながら読むことができて嬉しかった。
「冬の日」
語彙も平易で、ストーリーも入ってきやすく、文章性もあり、よかった。
病気に衰弱していく彼の心情の変化を感じることができた。 -
先日まで三島由紀夫を読んでいたため、短っ!と驚いた。とにかく端的。内容も分かりやすい。
今は教科書に載っているのかな?
それを聞いて、教材として素敵だなと思った。
解釈することでだんだん檸檬が生きてくる。 -
檸檬の他、「瀬山の話」が面白かった。
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冒頭の「えたいの知れない不吉な塊」とは何なんだろう。病気のことかと思ったけど、その後にそれとは違うようなことが書いてあるし…。抽象的な暗い何かなのかな。 色彩の表現が多かった印象。「想像の絵の具」、花火の描写で「あの安っぽい絵の具で赤や紫や…」、檸檬の描写で、「レモンイエロウの絵具をチューブから絞り出して固めたようなあの単純な色も…」など。わたしは色が好きだから気にとまっただけか。みすぼらしくて美しいものに強く引きつけられていたという表現もすき。
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(3.2)
エモいという言葉の、そして僕の大好きな意味不明だけどなんかいいという感覚の代表にして原点であると思った。こういうのって今時の感覚かと思っていたけど1925年に書き上げた梶井さんは天才だと思った。現代の若者にぶっ刺さる表現を100年前の人が書くなんて凄すぎる。例えば気分が鬱になっている時、好きな音楽も本も動画も3秒でやめてしまう。分かる。華やかな景色よりも裏路地のような汚れた薄暗い空間が落ち着く。分かる。大好きな買い物に出かけても心が躍らない。もう帰ろうってなる。分かる。すごすぎる。またそこで檸檬に魅せられ、勇気づけられ、檸檬が爆弾だという妄想で1人で盛り上がる。なんて健気で素敵だろうと思った。正攻法、常識、型にはまった感動なんて薄っぺらい。大衆に理解されなくていい。かと言って人と違うことを誇ってもだめ。自分自身が心から心揺さぶられることが正解だと思う。それがたとえ檸檬だとしても。人によって受けとめ方が全く違うであろう不思議な名作だと思う。