雪国 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008461

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  • 無為徒食の男・島村は、駒子に会うために雪国の温泉を再訪した。駒子は許嫁と噂される男の療養費のために芸者となっていた。島村に情熱を注ぐ駒子だったが、島村は汽車で会った女・葉子に心を奪われ始めていて──。

    「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」
    有名すぎる開幕の一文。なんとなくその美しさに引き寄せられて、大人になって初めて読むことに。とにかく雪国の描写が研ぎ澄まされている。ぼんやりと眺めても読めるし、どこまでも読み込める底知れなさも感じられる。

    心理描写については半分も読み解けていない気がする。退廃的で現実を浮遊する男・島村と、一途さは伝わるものの破滅的で機嫌がころころ変わる駒子。繋がろうとするほど遠いその関係性は、まさに徒労のようにも思えるが、人生とは徒労が降り積もる雪国ではないか。そう考えると、これも美しさの形なのかもしれない。

    『こころ』や『人間失格』は感情移入して読めたものの、『雪国』はよくわからなかった。というか、わざと会話や場面を飛ばして書いているのでは?という噛み合わなさを感じた。あと、島村が「左手の人差指だけが女をなまなましく覚えている」とか、「匂いを嗅いでみたりしていた」とか考え始めて、いやいやそういう意味じゃないよな、ぼくの心が汚れているんだ…そういう意味かい!ってなってびっくりした。

    p.73,74
    いつも山峡の大きい自然を、自らは知らぬながら相手として孤独に稽古するのが、彼女の習わしであったゆえ、撥の強くなるは自然である。その孤独は哀愁を踏み破って、野性の意力を宿していた。幾分下地があるとは言え、複雑な曲を音譜で独習し、譜を離れて弾きこなせるまでには、強い意志の努力が重なっているにちがいない。
    島村には虚しい徒労とも思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、凛と撥の音に溢れ出るのであろう。

    p.131
    「ううん、いいのよ。私達はどこへ行ったって働けるから」
    その素直な実感の籠った調子は、親譲りの財産で徒食する島村にはひどく意外だった。
    「ほんとうよ。どこで稼ぐのもおんなじよ。くよくよすることない」

  • 初めて手に取ったが、なかなか物語に入り込めず。年内に再読したい。

  • 当時の時代の常識などが今とかけ離れすぎてて理解に苦しんだ。また、人物の動きも不明。ただ、言葉のセンスは良い。

  • 歳を重ねてからもう一度読みたい。

  • 時代背景をある程度把握しておかないと
    わかりにくいかも知れません。

  • むつかしい。

  • 綺麗な文章
    内容は余り好きじゃない

  • 『舞姫』よりカスくないですかこのおっさん?????

  • うーーん、どの登場人物の言動にも理解も共感もできなくて困った。

  • 川端康成さんの長編を読むのは初めてです。情景描写は綺麗でしたが、登場人物たちをどう捉えたらいいのか、難しかったです。駒子も葉子もくるくると言っていることが変わるので…。島村もなんだかぼんやり。まだわたしには長編は早かったようです。いつか、味わえるようになるのかな。

著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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