人造人間キカイダー The Novel (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009086

感想・レビュー・書評

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  • 小説を書くには特別な才能が必要だと常々思っていますが、ジャンルを問わずに様々な分野の小説を書くというのは、さらに特別な才能が必要なのではないかと思います。今回読んだ一冊は、そんな「特別な才能」を感じさせてくれる一冊でした。

    "2014年映画化。石ノ森章太郎の伝説的名作が本格SF冒険小説となり蘇る。震災後の日本、二足歩行ロボット開発に革命的進化をもたらした研究者が姿を消した。時を同じくして、彼の娘である女子大生の周辺にあやしい男たちの影がちらつきだす。赤と青半身ずつという異形のアンドロイドはなぜ誕生したのか。『催眠』『万能鑑定士Qの事件簿』『ミッキーマウスの憂鬱』の松岡圭祐により生まれ変わった、驚異的な面白さを誇る長篇登場。(「BOOK」データベースより)"

     「人造人間キカイダー」は石森正太郎さん原作の特撮ヒーロー物で、昭和47年にテレビ放映が開始されました。「不完全な良心回路を持ち、善と悪の狭間で苦悩する人造人間」という設定で、ヒーローなのに苦悩するというところが他の変身ヒーロー物とは異なっていました。

     私も当然のことながら毎週楽しみに放映を見ていました。今でも主題歌をそらんじることが出来るぐらい熱心に見ていたんですよね。

     人造人間キカイダーは他のヒーロー物と違い、見てスカッとするというよりはキカイダーが苦悩するのを見て「大人はなんだか大変なんだな~」と思っていました。ある意味では、当時のヒーロー物としては異質だったんですね。

     松岡圭祐さんの小説は「催眠」や「千里眼シリーズ」でたちまち虜になってしまいましたが、その後「万能鑑定士Qシリーズ」や「ミッキーマウスの憂鬱」など、それまでのシリーズとは趣の異なる小説も素晴らしいなと思っていました。

     そこにきて今回の「人造人間キカイダーTheNovel」という、さらに趣の異なる作品を書かれているというのには驚かされましたし、その内容も非常に素晴らしくてグイグイと読み進めてしまいました。

     この作品の素晴らしいところは、私達のようなテレビでの放映を知っている世代が記憶しているキカイダーの世界を踏襲しつつ、現代のテクノロジーや実際にありうる近未来の技術などが織り込まれているところだと思います。

     そして何よりも素晴らしいのは、石森正太郎さんが描かれた「善と悪の狭間で苦悩する人造人間」という原作の設置がそのまま持ち込まれているだけではなく、それを松岡ワールドでさらに奥深いものに仕上げているところだと感じました。

     大人が読んでも子どもが読んでも楽しめる一冊。人間の業の深さや哀しさなども味わえる一冊です。

  • 原作しらないけど、現代にもすんなりあってた感じ。

  • 元の作品は実は読んだことないのですが、松岡圭祐さんの新作だったので買ってみました。
    震災後の現代版、面白かったです。
    松岡さんの最近の作品は、人の死なないミステリ・万能鑑定士シリーズですが
    本作品は全然そうでなく、千里眼シリーズを思い出しました。

  • さあ、機械的に行こうか。
    平成の世にあの懐かしのキカイダーが甦る。

    この本を見つけた時は「なんで今更キカイダーなの…?」だったけど
    うわーこれおもしろいわ!さすが松岡圭祐!!
    千里眼シリーズも「んなバカな!?」と思いつつも読まずにいられなかったけど
    これもまた細かいツッコミをぶっ飛ばすだけの疾走感あり。

    何も考えずにとにかく読もう。
    全てを忘れてこの物語に没頭すれば明日の奇跡を信じられるかもしれない。

  • 2014年映画化。石ノ森章太郎の伝説的名作が本格SF冒険小説となり蘇る。震災後の日本、二足歩行ロボット開発に革命的進化をもたらした研究者が姿を消した。時を同じくして、彼の娘である女子大生の周辺に怪しい男たちの影がちらつきだす。
    赤と青半身ずつという異形のアンドロイドはなぜ誕生したのか。
    「催眠」「万能鑑定士Qの事件簿」「ミッキーマウスの憂鬱」の
    松岡圭祐により生まれ変わった驚異的な面白さを誇る長編登場。


    私、原作?のキカイダーは知らないのです
    何となく名前だけ知っていたって感じです
    だからキカイダーが好きだから買ったわけでは無くて、松岡圭祐が好きだから買ったんです
    でも面白かったよ~
    昔のアニメなのに、現代風にちゃんと変えられてあって、もちろんSFだから
    現実味は無いけど、今の時代のものとして読めました
    そして、途中からキカイダーが可愛いそうで、ロボットなんだけど
    健気に戦う姿、心に近いものを持ってしまった切なさがなんとも・・・青い色の医療救護救難用のゼロダイバーと赤は戦闘用のフュージティブ・フロム・ヘル 両方兼ね備えたキカイダー,
    本人は(人ではないか)全身ブルーになりたいんだよ・・・・切ない
    あとは変身時のセリフがカッコイイ
    「コンバージョン、アンドロイドモード」”ミッションコード=キカイダー”
    戦う場面が多すぎて、眠くなっちゃってなかなか読み終えられなかったんだけど読み終えたときには達成感 面白かったです

  • キカイダーも映画化?
    漫画をちゃんと読んでいないから、探そうかな。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。

    他愛のない昭和の子ども向け特撮番組を、徹底した後付け・理屈付けでよくぞここまで合理化できたものだね( ´ ▽ ` )ノ。
    空想科学読本ぽいけど、あっちよりずっと上質かつ原作愛にあふれている( ´ ▽ ` )ノ。
    「変身」の超科学的説明に感動( ´ ▽ ` )ノ。
    悪の組織(ダーク)の成り立ち・経済収支の考察にも恐れいった( ´ ▽ ` )ノ。


    博士の「変装癖」とかエレキギターなのにアコギの音色とか4色セットのハカイダーとか、往年ファン向けのくすぐりも楽しい( ´ ▽ ` )ノ。
    キカイダーのピノキオコンプレックスやロボット心理学については、原作漫画と異なる突っ込んだアプローチがなされている( ´ ▽ ` )ノ。
    「来世に希望を持てないロボットは人間以上に『死』を恐れる」という考察は、斬新でとても興味深かった( ´ ▽ ` )ノ。
    これだけでもノベライズした意味はあったといえる( ´ ▽ ` )ノ。

    難点を上げると、用語使いの癖が強くて、具体的にどんな動きをしてるんだかよくわからないところ(特に戦闘シーン)が多々あったのが残念(>_<)。
    あとミツコのキャラ、必要以上に自意識過剰だったり趣味が極端だったり(恋愛ゲーム好きとかプリキュアコスとか)、少々いじくりすぎかな?(´ェ`)ン-…。

    01につながるようなラストだけど、続編は書かれたのかな?( ´ ▽ ` )ノ。
    シャドウはたしか、宇宙人組織だったよね( ´ ▽ ` )ノ。
    どんな展開になるんだろう?( ´ ▽ ` )ノ。
    イチローはどんな過程で仁王像に隠されたのかな?( ´ ▽ ` )ノ。
    でも、それよりこの調子で「ロボット刑事」をやってほしいな、と強く思った( ´ ▽ ` )ノ。シリーズ化前提で( ´ ▽ ` )ノ。絶対面白くなること間違いないと思うよ( ´ ▽ ` )ノ。

    ブクログレビュー、キカイダーファン世代と全然知らない世代に完全に分かれているね( ´ ▽ ` )ノ。
    ハワイじゃ「キカイダーの日」が制定されたくらい、大々大人気の番組だったんだよ( ´ ▽ ` )ノ。

    2016/05/03

  • 石ノ森章太郎の名作マンガを松岡圭祐がアレンジして再構成した作品。
    幼少の頃にテレビシリーズで見たキカイダーのおぼろげな記憶だけを頼りに読み始めたが、どうやらいろいろなところで指摘されているように、テレビシリーズのオマージュがそこかしこに散りばめられているらしい。舞台を現代に置き換えているため、キャラクターの名前が古っぽかったり、サイドカーやギターを抱え、サングラスを額にあげたスタイルなどはややそぐわない印象もあるが、概ねあの頃見たキカイダーを彷彿とさせる。
    とはいえ、ストーリーはほとんど記憶していなかったのである意味新鮮に感じた。命の尊さや善悪など、深いテーマを内包しているが、アクション娯楽作品として読むこともできる。
    松岡圭祐特有のタッチというべきか、様々なシーンが実にアッサリと、サラリと描かれているため、テンポはいいが深みが足りない印象もある。いろいろな要素を詰め込み、なんとか時間内におさめるために駆け足で展開して内容が浅くなってしまった映画を見ているようで、面白いのだが物足りない。
    が、ザコキャラであるはずのアンドロイドマンの視点から描かれているシーンなど、より立体的に説得力を持たせようとする試みは成功し、これが後にジローとミツコの関係に絡んでくるなどの展開はさすが。
    本作を読みながら、石ノ森先生のマンガの方にも手を出したくなってきた。

  • 面白い! 良心回路やデジエンドなど、懐かしい名称が出て来て昔テレビで観たことを思い出しながら読めた。

  • 映像化すればいいのに、、きっと面白い

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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