マリアビートル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.14
  • (1974)
  • (2171)
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  • (128)
  • (29)
本棚登録 : 22154
感想 : 1594
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009772

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂さんの物語の魅力は何といっても登場人物の造形にある。
    独特の世界観に加え、登場するひとりひとりが本当に活かされてる。
    「グラスホッパー」の続編ということで、顔見知りの人物が出てくるのも嬉しかった。
    いったい何人の殺し屋が出てくるのか。
    早々に姿を消す狼。
    トーマス大好き人間の檸檬と相棒の蜜柑。
    あの「お前の捜し物は、鍵は、盛岡のコインロッカーにある」はよかった。
    何というかグッときた。
    小狡くて冷酷で俺様で頭でっかちの王子。
    世界中の運のなさを一手に引き受けているような天道虫。
    こっそりと背中を押し続けている槿。
    誰にも知られずに一刺しで相手を葬る蜂。
    そして伝説の寝起きの悪い最悪な殺し屋。
    鈴木に引き続き登場していて、彼特有の雰囲気が物語を転換していくきっかけにもなっていた。
    それにしても、本物を怒らしちゃダメだろ…と。
    どんなに優秀だろうと、頭の回転が速かろうと、王子は所詮子供だ。
    多くの経験を積み、あらゆる修羅場を生き抜いてきた者には叶わないのは当たり前だ。
    運の良さだけである程度のところまで来れたとしても、それは王子の実力ではない。
    殺し屋なんだけれど、ずっと前に引退した老兵なんだけれど、木村のおじいちゃんとおばあちゃん。
    半端なくカッコ良かった。

    閉ざされた空間でのやりとり。
    タイムリミットが迫る中、それぞれの事情を抱えた殺し屋たちが動き回るストーリーはスピード感もあって少しも飽きさせない。
    次にこの殺し屋たちに会えるのはいつになるだろうか。
    次回作でまた鈴木に会えるだろうか。それを楽しみに続編を待ちたいと思う。

  • 懐かしい?登場人物に「おっ」とニヤける自分がいた
    前作同様さすがに読み進める推進力のある作品でした

  • 「777」を読んだので再読。やっぱりこの新幹線のような物語の疾走感が面白い!!伏線の回収も気持ちいい。欲を言えば、『悪』が落ちていく様は見たかったけど、そこは読者の想像に任せてるところがまた憎い!サイコーです。これから「グラスホッパー」読みます。

  • 伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズ最新刊発売を記念して、数年ぶりに再読しました。

    500ページを超える本作は、分厚い文庫本の部類に入るかと思いますが、このストーリーにはぴったりの長さだと感じました。

    個性的な登場人物がたくさん登場し、入り乱れる思惑は絡まり合いながら、物語のゴールへ向けて加速度的に面白さを増していきます。

    長編小説にありがちな読後の疲れが一切なく、1から10まで楽しめる素晴らしい物語作品で、読んだばかりの続編(最新作)も改めて読みたくなりました。

    それにしても「本一冊」という媒体を通して描かれる作品とは思えない密度と完成度な気がします。面白すぎる。

  • あーー、面白かった‼︎
    久しぶりの伊坂幸太郎さんでした。私としては珍しく、映画の方(ブレット・トレイン)を先に観てから読みました。
    結論、映画はよく出来てる!と思った(^o^)別の星の日本という感じや、東京から京都までどんだけの時間?とか(原作では盛岡に向かってるけど、映画的には富士山が見えたり京都…ってのが分かり易い日本なんだろうなぁ)ツッコミどころはいっぱいだけど、コレは良いのよ〜‼︎ 楽しいから。

    すごく正直なこと言うと、私は今回、やっと伊坂さんの『良さ』に気付いたかもしれない⁉︎
    伊坂さんは、10作くらいは読んでるのですが、面白いんだけど「別の世界のお話」という雰囲気が好きな時とそうでない時とあって、なんというか、フワフワした印象が強かったのです。

    今作も、いつも通りの読みやすい文体で、殺し屋たちがいっぱいの、超エンタメ作ですが、さまざまな場面で繰り広げられる、お喋りともいうべき、彼らの言葉が、すんごく面白かった〜!
    そして、解説にあった通り、伊坂さんは『悪』それも『悪意』を追求してる作家さんなのだわ、とつくづく思ったのでした。

    何年も前に「魔王」を読んだ時のことをちょっと思い出し、再読してみようかなぁと思いました。

    ネットで、伊坂さんのインタビュー見つけました。私が感じていた、「この世にない違う世界の話」という印象は、ある意味その通りだったのだと、改めて小説の力を感じ楽しく思いました(^^)

  • ハリウッド映画の公開を前に再読。
    やっぱりおもしろい。登場人物のセリフがひねくれているようなのに、くすっと笑ったり、心に染みたり、、、。
    グラスホッパーも再読したくなった。

  • ブラットピットが主演で映画化されたと言う事で読んでみました。約600ページと長いですが、楽しめた。複数の殺し屋が東北新幹線に乗り合わせ殺し合うバトルコメディアクションかな。とにかく運の悪い殺し屋の天童虫こと七尾が笑える。まさしくマーフィーの放法則そのものだ。檸檬、蜜柑の殺し屋コンビの何でも機関車トーマスに例える会話は面白かった。それにしても伊坂幸太郎さんの悪を描く心理描写は迫力があると言うかエグい。映画公開が楽しみです。

  • 東北新幹線、東京から盛岡までの閉ざされた空間で、危ない職業の人たち(殺し屋)がなぜだか知らぬ間に大勢乗り込んでいましたとさ。
    何が起こるか予測不能な展開。
    グラスホッパーの続編。前作に登場した人物も登場しているのもお楽しみ。
    本作品は、映画化が決まっており、どんな作品になるのか楽しみだ。2022年4月公開予定とのこと。
    この小説を読むと、誰かと話をしたくなる。たとえば・・
    お気に入りの殺し屋は誰?
    カタルシスを感じるところはどこ?
    ハリウッドで映画化が決まり、ブラッド・ピットさんが主演とのこと。どんなキャスティングにする?

    それぞれを、語りだすと必ずネタバレになるのでここでは控える。
    前作同様に、憎めない殺し屋たちのやり取りが楽しい。映画向きな作品だとは思うが、映像化も難しい作品だと思った。殺し屋っぽくない殺し屋が、もうひとりの殺し屋を殺す場面はどんな風に描くか考えると夜も眠れなくなる。

  • さすが!伊坂さん。新幹線の車内にいるだけなのに、こんなにいろいろ楽しませてくれるなんて。
    ただ、王子だけは最後まで嫌なやつでした!

  • 2020年11月6日読了。

    東京駅を発車した東北新幹線《はやて》。
    その車両の中で、酒浸りの元殺し屋『木村雄一』はある人物の殺害を目論んでいた。
    標的は、見るからに真面目で優等生然とした中学生の『王子慧』。
    木村の一人息子『渉』が『王子』の手によってデパートの屋上から突き落とされ意識不明の重体になってしまい、その仇を討つのが目的だった。
    だが、何もかも見透かしていた『王子』のスタンガンによって『木村』は気絶させられ捕らえられてしまう。
    あどけない優等生の仮面を被った『王子』の中身は強運を持ち合わせた悪魔だった。
    『木村』は息子の命を手玉に取られ、『王子』と同行するハメに…。

    一方、コンビの殺し屋・文学好きの『蜜柑』と機関車トーマスを愛する『檸檬』の2人も《はやて》の車両に乗り込んでいた。
    彼らは、裏業界で知らない者はいないと言われる『峰岸』からの依頼で、囚われの身の息子を助け、トランクと共に連れ戻すようにと指示を受けていた。
    『峰岸』の息子を助けだし、あとは帰るだけと思っていた矢先。
    少し目を離した隙にトランクは何者かに盗まれ、『峰岸のぼんぼん』は座席に座った状態で不審死。
    2人は言った。「すげえやばい」

    さらに、《はやて》に乗り込んだ殺し屋がもう1人。
    とにかく運が悪く、ツキのない気弱な男・『七尾』。通称『天道虫』。
    タッグを組んでいる『真莉亜』からの「とても簡単ですぐに終わる仕事」という指示で東京駅から《はやて》に乗り、誰かのトランクを奪って、上野駅で降りるという任務を遂行していた。
    トランクを難なく発見し、到着した上野駅で扉が開き、今まさにホームに降りようとした。
    すると前から乗り込んできた男が、過去に一悶着あり『七尾』に恨みをもつ殺し屋・『狼』である事に気付いた。
    『狼』も『七尾』に気づき、無理やり車内に押し戻され、無情にもそのまま新幹線は発車。
    七尾は思った。「勘弁してほしい、やっぱりこんな事になるんだ。」

    新幹線という密室で繰り広げられる、様々な殺し屋達の物語。


    殺し屋シリーズ・『グラスホッパー』の続編。
    前作にも負けず劣らず、殺し屋達のキャラが立っていて面白かった。
    個人的に、機関車トーマス大好きな息子を持つ父親として『檸檬』になんとも言えない親近感を抱いてしまった。
    『マードック』や『サー・ハンデル』などマイナー過ぎる名前が出てきて読んでいてニヤついた。

    そして何より『王子』の憎らしさが尋常ではなかった。
    過去に読んできた小説にサイコパスキャラは何人も出てきたが、トップクラスの『悪』だったと思う。
    何度こいつを早く痛い目にあわせてくれと思った事か。
    本当の『悪』とは、見るからに悪い人間なんかではなく、外見では判断出来ない内側に『悪意』を抱えている人間なんだろう。

    何度も問われる「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問の答え。
    『それは人の命は取り返しがつかないから。
    世の中に一冊しか存在しないレアな漫画本が燃やされて、もう二度と手に入らないのと理屈で言えば一緒だ。
    だから「どうして、人を殺してはいけないのか」と「どうして、レアな漫画本を燃やしたらいけないのか」という質問は同義である。』
    なるほどなるほど。


    『グラスホッパー』を読んでからかなり期間が空いていて内容もうろ覚えだったが、『蝉』や『鯨』の名前、『鈴木』『槿』『スズメバチ』が登場したりと前作との関わりがかなりあるので『グラスホッパー』を読了後の方が楽しめると思う。

    で、これがハリウッドで映画化ですか?
    ブラッド・ピットが『七尾』?
    どうなんだろう…笑
    『鈴木』を生田斗真、『槿』を吉岡秀隆のままで日本で映画化して欲しいと私は思います笑

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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